政治は力を出せるのか?

「まるで津波の被害のよう」

図らずも被災者にそう言わしめた台風12号による豪雨。台風による洪水被害があっても、今まではそういう比喩はされかったろう。東日本大震災の津波による惨劇がいかに人々の胸に焼き付いているかの証だが、それが悲惨さを一層際立たせる。

新聞によれば、豪雨による洪水被害に見舞われ、未明から行方不明になっていた和歌山県那智勝浦町の寺本眞一町長の長女早希さん(24)が翌朝、遺体で確認されたという。

結納の日を迎えた娘の変わり果てた姿。

寺本町長は同日「午後」10時頃、寺に安置されていた早希さんと悲しい再会を果たした。先に着いていた早希さんと来春結婚する予定だった婚約者と一緒に約30分間、早希さんの傍らに座り静かに過ごした後、役場に戻って災害対策の指揮を執ったという。

町長という公職にある身ゆえ、この痛ましい災害と再会の報道がことさら眼に入る機会が多かったのかもしれない。同じような境遇に置かれた被災者は、東日本大震災の時でも決して少なくなかっただろう。それぞれの悲しみに違いがあるはずもない。

だが、やはりこういう事実を伝える記事を目にすると涙を禁じえない。

娘にとって人生最大の喜びが訪れるはずだった日が、残された父にとって人生最大の悲しい日に一変してしまった現実。遺体発見から12時間以上経ってようやく果たせた対面。どう受け止めたらいいのかさえ整理のつかぬまま、町長として公務に戻って行く。その間、わずか30分…。

「娘とは子供の頃よく遊んだ。走馬灯のように思い出す。今は昌子を早く見つけてやりたい」

妻の昌子さんの行方はまだ分かっていない。

・・・・・・・

朝日新聞「天声人語」から

約4万の仮設住宅に、明日を描けぬ人々が暮らす。2万人は親類縁者に身を寄せ、1万人が旅館やホテル、数千人がなお避難所にいる。震災から半年後の「住まい」は、砕かれた将来設計の象徴だ▼被災者ならずとも、多くの人生観が揺らぎ、企業は経営の見直しを迫られた。ところが、平成を災前と災後に分かつこの「断層」を楽々またぎ、素知らぬ顔で続くものもある。たとえば、埼玉県朝霞市で進む国家公務員宿舎の建設計画だ▼さいたま新都心で働く職員のため、米軍キャンプ跡地に13階建て2棟(計850戸)を造る。総事業費は百億円強。2年前の事業仕分けで凍結となりながら、今年度予算で「解凍」され、このほど着工した。未曽有の災害を経ても再考せぬ感覚が解せない▼昨年末に建設を認めた財務大臣は、どじょう首相その人である。財政危機の下、国民に復興増税を求めておいて、公僕の、公僕による公僕のための低家賃住宅では、示しがつくまい▼公共事業の暴走を止めるかと期待された政権交代なのに、鳴り物入りの仕分けもこれしきのものらしい。朝霞の場合、事業費は古い宿舎の売却で埋め合わすというが、大企業が社宅を手放すご時世に、そもそも官舎なるものが必要だろうか▼住み心地の良い家が、良い公務につながることもあろう。ただし平時の話である。国の正念場にも微動だにしない最強の「耐震住宅」は、増税論議をBGMに鉄骨を組み、2年後に完成する。住み心地がよかろうはずもない。

さんざん議論を呼び、地元住民の反対運動もある中でついに着工である。凍結を解凍した張本人が野田首相。一方で事業仕分けをやりながら、結果的にその判断を反故にする。これでは官僚の操り人形と言われても仕方ないだろう。

問題は野田氏本人どころか野田内閣にも内在している。

既に官僚の操り人形化が懸念される安住氏が野田財務相の後任である。外相の玄葉氏共々、百歩譲って40代の若さは良しとしても、問題山積のこの重要実務の実績もない。もちろん素質も未知数である。そうかと思えば、早くも死刑執行業務を放棄した平岡法相、思いつきでタバコの値上げを口走る小宮山厚労相。

大臣なりたい病と囁かれる山岡氏が国家公安委員長というのもいかがなものか? 彼は外国人参政権推進派であり、昨年、民団の新年会で「外国人参政権法案が一日も早く、今国会で必ず実現するように、全力を挙げて取り組んでまいりたい」と述べたという。また彼は消費者担当相も兼務しているが、マルチ商法業界との癒着問題があり、この点でも問題視される。

中国漁船問題や領土問題などで国家の危機が迫る中、名前も知らなかった一川氏が防衛相初入閣した。さっそくシビリアンコントロールの意味を履き違えた軽率発言が飛び出す始末。この人物を諸外国はどう見るだろうか、すでに不安だらけである。

小沢グループへの配慮から、日教組出身の輿石氏が幹事長に起用された。政界に長年の顔があるかものしれないが、活動量が求められる幹事長職としてはもはや賞味期限切れと言えよう。これのどこが実務重視なのか?

サザエさんに出てくるアナゴさんに似た国対委員長の平野氏。鳩山内閣時代に幹事長として普天間移設問題に「移設反対候補が当選した名護市長選の結果を斟酌しなければならない理由はない」などと不用意発言を連発した御仁である。

巷間、野田内閣は実務重視内閣のように言われているが、果たしてそうだろうか? 私にはこの内閣の色と輪郭がよく見えて来ないのである。

何度も書くが、国民の審判を受けていないこの内閣の存在価値はただ一点、かかる諸問題に対し国民の目に見える実績を出すことのみ。それができなければ解散して下野すべきである。






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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

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