お呼びが掛かるヒト、掛からんヒト

日本列島を舐めるように過ぎて行った台風2号。出社時には小雨、退社時には雨が上がっていたのでほとんど被害はなかった。だが、台風をよそに社内では別の被害が勃発していたのだった。

・・・・・・・

1年ちょっと前、がん領域の営業部隊からウチの部署に異動してきたF子。アラサーに至る豊富な現場経験に基づく研修トレーナーとしての資質に大きな期待が寄せられた。と言うのも、彼女のいる部署は、がん領域などの専門営業部隊に対する研修を主業務とする高いレベルを求められるチームだからである。にもかかわらず、ここの男性トレーナーの中の2人は少々「残念な人」なのだ。

一人は他社からこの部署に入社したH、もう一人は専門営業部隊から異動して来たI。

40代後半のHは営業経験はなく、元来の気質からか、研修を自分で組み立てて実施する能力に疑問があると指摘されていた。それゆえ、彼が行なう専門営業部隊の研修や中途入社社員研修の受講者からの評判も芳しくなく、一回り以上も年下のF子やF子の前任のM子などとよく衝突したりしていた。

同じくアラフォーのIは、彼の所属していた専門営業部隊が分社化される事になって異動して来たのだが、こちらも営業部隊当時から評判が芳しくなく、しばしばユーザーを怒らせたりもしていた。過去に会社の企画募集に応募した彼の案が採用され表彰された事があり、それ以前の事情をよく知らない部長殿は、その時の印象で彼の受け入れを承諾したらしい。

そんなメンバーに囲まれているとF子にせよM子にせよ、日々ストレスが溜まる一方なのだが、それは逆に自らが光っていく事になる。事実、この二人は研修業務に関する能力は優れていた。

当然の事ながら彼女らの評判は担当製品のマーケ部門の耳にも入る。やがてM子がマーケ部門の情報担当部署へ引っ張られて行った。急な話だったせいもあり、このままではこちらの業務が回らないという事で現場から補充されたのがF子であった。

ほどなくF子とHの間でも、かつてのM子とのバトルそのままが再現される事になる。そして1年ちょっとが過ぎた先日、F子がまたしてもマーケ部門へ引っ張られる事になったのである。日頃、冗談半分にマーケからご指名が来るとからかわれていた彼女は「ぜぇ~ったいに行かないから!」と頑なに拒んでいたのだが…。

それを聞いたHの反応が面白かったという。

「オレは研修業務が面白くなくてイヤになってたんだ。違う仕事がしたくて他の部署からのオファーを待っているんだが、M子やF子ばかりが先に行って、肝心のオレにはちっとも声が掛からない。いっそ辞めてやろうかな…」

自ら研修プランを作る事もせず、ただマーケから提供されるコンテンツをコピペして作った研修じゃ、やる側も受ける側も面白くないだろうし、そんなだからマーケから評価されないのよ。声が掛からないのは当たり前じゃん、とF子は秘かにつぶやくのだった。

・・・・・・・

昼食時以外は屋外であろうとも全面禁煙という本社にいながら、しばしば業務の途中で姿を消すI。彼が戻ると周囲のメンバーはタバコ臭い息に悩まされる事になる。

飲み会ともなれば、Iの隣りや対面の席には誰も座りたがらない。タバコのせいもあるが、飲むほどに彼のオンステージが始まるからだ。自分がいかに仕事を頑張っているか、それを周囲がいかに理解せず評価していないか…などの独演会が延々と続くのである。終いには自分を棚に上げて、会話相手に上から目線のご意見まで浴びせるそうな。

それは飲み会だけでなく昼食時にも炸裂するらしい。なので昼食にも誰も誘わなくなり、しばしば彼のマネジャーKがその相手をさせられている。もちろん、とっくに本業の研修に対するセンスには疑問符が付いている。

F子の異動話を耳にしたIも面白かったという。

「オレほどの能力があれば、どこの会社だって放っておかないはずだ。ここでそれが理解されずに正当な評価が得られないんだったら、いっそ辞めてやろうかな…」

ダチョウ倶楽部じゃないけど「ど~ぞ、ど~ぞ!」、お二人揃ってどこへでも行ってくださいませ。ただし行ける所があればの話だけどね、とF子は秘かにつぶやくのだった。

・・・・・・・

そんなF子を囲んで、いつもの昼食早飯隊のメンバーを中心にささやかな送別会が開かれた。会社近くの焼鳥屋でメニューの片っ端から注文し、焼酎は一升瓶をキープ! といっても最後にはほとんど空いていたと思うけど。それにしても我々は客単価が高くてお店にとって実にいい客なんだろうな、といつもながら思う。

お後は久しぶりのカラオケボックス。それぞれにストレスを抱えていたのだろう、我々のカラオケ初参加だというF子がビックリするくらいに次から次への大熱唱が繰り広げられ、大盛り上がり大会となったのは言うまでもない。

おかげでマンツーマンで始まった中途入社者研修の2日目が辛かった。水分補給しつつも声が荒れ模様。それでも小さなビジタールームだったのが幸いして、声への負担はそれほどでもなかった。

実は、今回の異動を部員に知らせる部長殿のメールに「昨年のM子、先日のK子に続いてまたも有能なメンバーの突然の異動に驚愕。こんな事を続けていると研修部門のバリュー低下につながりかねない」と半ば抗議の返信をした。「ちゃんと後任あります」とだけ返ってきたが、だったらその後任者とやらを初めからマーケに異動させればいいじゃないか、と却って憤ったものだった。

とまれ、決まってしまった事は変わるまい。今後のF子の活躍をここは素直に願うとしよう。またまた寂しくなるけれど…。





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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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