こんぷりぃと!
山形へは余震による交通障害を避けるため、往きは敢えてJAL便にて空路を選んだ。ところがこれが大正解で、逆に帰りの新幹線は節電の影響か3時間以上も掛かってしまった。結果として飛行機+乗合いタクシーの方が時間が短くずっと楽だったのである。
帰京翌日は金沢への移動日。連チャンじゃないというだけでこんなにも身体に楽だったとは。先週の5連チャンはいったい何だったのだろうか。
久しぶりの金沢だったが、小松空港から金沢駅へ向かうリムジンバスから見える「美川県一の町」なるインパクト抜群の広告塔が消えてしまっていた。去年あたりに経営会社が倒産したと聞いてはいたが、実際になくなってみると、何だか金沢に来た気がしなくなるのが不思議だ。
さて、金沢と来れば「くろ屋」である。パートナーのMと元同僚だったS子が会う予定があると言うので、ならば3人でこの店で飲む事にした。
金沢便の時間帯の都合から、5時半の開店時間には悠々間に合うので予約はせずに飛び込みで行った。カウンターは1組の客だけで空いていたものの、2階のテーブル席は1席を残して全て予約済みとなっていたから、この店の人気に改めて驚かされた。いや~、危なかった。
一匹売りの生のノドグロは岡山の「岩手川」で食べて以来だった。せっかくだから半分を刺身に半分を塩焼きにしてもらった。この季節にサワラの刺身があった。これまた岡山の専売特許かと思っていたが、身は若干赤かったものの、美味だった。
美味と言えばアジの刺身。実は、私はこの店のアジ刺しが日本一キレイで美味いと思っているのだが、アジを下魚のように見ていてあまり食べないというパートナーのM、一口食べるなり「こりゃ目からウロコですわ! 甘みがあって、今まで食べたアジで一番ですわ!」と、もう一匹お替りまでする始末。どうだ、参ったか!
浅ジメの能登サバ、特大のサザエやバイ貝などを食しながら話は進む。S子は現在、地元の卸の医薬品情報室に勤めているが、もしもウチの会社の組織変更でニーズが生じたらまた戻って来いよと私は誘った。
合併当初、全国の各支店にいた学術研修メンバーが組織変更によって一元化された時期に、地元を離れられない事情を抱えた多くが辞めざるを得なかった。それが今になって復活させようという実に身勝手な議論が一部にある。だが、流出してしまったあたら優秀な人材に、これを機に再び活躍の場が開かれるのならそれに越した事はなかろう。覆水盆に帰れ、である。
ま、それやこれやの話が弾み、シメのビーフシチューまでシェアした挙句、最後には駅前のスタバのテラス席でコーヒーを飲みながら名残りの歓談。暑くも寒くもない心地よい空気の中、金沢の夜は静かに更けていくのだった。
・・・・・・・
1週間後に迫った担当製品の説明会オブザーバー(説明は営業担当者がやり、質疑応答要員として臨席する)への参加回答がI子からまだないらしい。この製品のサブ担当者のI子、これが現場デビューとなるのでどうやらあれこれビビッてるようなのだ。
相手は愛知県にある市立病院。採用の懸かった勝負の説明会ではあるものの、営業担当者と二人掛かりの上、それでも答えられない質問があったなら堂々と後日回答とすればよいだけの話だ。それで採用自体がボツになるなんてのは聞いた事がない。
なのにI子は渋る。
これまでI子を新人研修や学会聴講などを通じて製品担当として育成して来たが、その仕上げとして早めに現場の説明会をやらせようと思っていた。今回のオブザーバーはその手始めにはうってつけの機会だったので、ずいぶん前に彼女に振ったのだが、最初の返事は「考えておきます」だった。
デートや飲み会じゃあるまいし、仕事に「考えておきます」なんて回答なぞそもそもあり得ない。それともアラフォーのプライドとやらが二つ返事をためらわせたのか。私も敢えて放っておいたので、ただ時間だけが過ぎて行ったというワケだ。
仕方がないので、この機会がI子にとって如何に貴重であるかを改めて何度も説き、想定される質問への対応などをいちいち丁寧に教えてやって、ようやく彼女は納得したようだった。ホント、扱い辛いったらありゃしない。
週明けはそのI子と分担して、たった一人の中途入社社員のための4日間研修が始まる。今回は成田のホテルではなく本社内で実施されるものの、人財部よ、五月雨式の採用もいい加減にせいよ! 1人でも10人でも掛かる時間と手間は一緒なんだよ! せめてまとめて採用するなりして要らぬ手間を掛けさすなよな、まったく。
・・・I子、オマエもだぞ。
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