栄枯盛衰、大阪。
それでもその初日の今日、大阪天満の研修会場には2つの研修が並行して行われていた。という事で、本日の夕食は4人のトレーナー+他部署トレーナーの計5人で天満駅前の焼き肉屋に集った。ところがこの店は、かなり昔から研修のたび毎に通い慣れた焼肉屋ではなかったのである。
通い慣れた焼肉屋は、いつの間にか焼肉とは真逆の魚介料理屋へと変身していたではないか! 通りに出て呼び込みをしていた女将の姿も見えない。で、今回来店した競合店の焼肉屋の女将に訊いてみたら、どうやらちょっと前に火事(ボヤかもしれないけど)を出して閉店に追い込まれたという。屋号こそ同じだが、オーナー(線路下なのでJRから借りている店舗らしい)が同じかどうかは不明。
よって、このエリアで残った焼き肉屋は狭い通りを挟んだこの店だけとなり、我々6名は必然的にその店に入って行くのみだったというワケだ。
断わっておくが、ここは天満であって全国的に名高い焼肉の聖地である鶴橋ではない。でも今まで訪れる事がなかったこの店のテッチャンも、閉店した店同様に実に美味だったのは良かった。もちろん、その他のホルモン類や焼肉も高レベルだった。ただ、時節柄「ロシアンルーレット・ユッケ」でもOKという意気込みで臨んだユッケは、風評被害もあって出していないとの事。本場のプライドからすれば、ここでメゲてどうすると言ってみたところで、こればかりはどうしようもない。
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そんな状況でも集まった男女5人は、真露のマッコリと共にあれやこれやの焼肉をたらふく堪能した。シメのカルビクッパも平らげて最後の会計も終わり、やがてそれぞれのホテルへと散っていったのだが、私だけは前日のホテルとは違う定宿(ホテル阪神)へ移動するため、大きな荷物を抱えてタクシーへ飛び乗った。
去年の秋、ホテル阪神近くのお気に入りの焼鳥屋の女将が「今年いっぱいで店を閉めちゃおかな…」と呟いた事を真に受けて、もはやその焼鳥屋は無くなってしまったと同僚達に吹聴していた手前、それを実際に確認したいと思った。天満の焼肉屋でしこたまマッコリを飲んだにも関わらず、その店の場所に足を運んでみた。
何とその焼鳥屋はしっかり営業しているではないか! 女将がいたのでそれとなく訊いてみたところ、あれは冗談ともボヤキとも言えずに呟いたのだと。でも半分は本気だったとも。たまに来る出張族でしかない私がどう協力できるかはハナから知れてはいるが、私のとってこの店の存在意義は決して小さくないという事を精一杯訴えた。
東京ではなかなか巡り会えない「膝ナンコツ」がこの店にはある。ナンコツと言ったって、よくあるヤゲン(胸ナンコツ)はお断りだ。そんな事もこの店に私を通わせる大きな理由だったのだが、今日は膝ナンコツを仕入れていないと言う。膝ナンコツを大阪の客が硬くて食べられないと言うからだそうだ。
それを聞いた私は、仮にも食い倒れの街にいる大阪人たるもの、いくらなんでもそりゃないだろと思わず叫んでいた。
結局、次回の訪問前日までに連絡さえすれば、きちんと膝ナンコツを仕入れて貰えるとの確約を女将と交わせたのは幸いだった。これでこの店をスポイルせざるを得なくなる理由を回避する事ができる。
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しかし、長くやっていたはずの天満の焼肉屋と言い、焼鳥屋ひしめく福島の店と言い、味と値段にうるさい大阪人にダメ出しされたワケでもないのに、それぞれの理由はともかくとして栄枯盛衰の図を描かざるを得ないという現実を思う時、改めてこの食い倒れの地の厳しさを感じずにはいられない。
願わくば、今後ともこれらの店が元気に存在して、たまに寄せてもらう我々に人懐っこい愛嬌を振りまいてくれる事を願わずにはいられない。
今夜はちょいとボヤキだったかな。
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