ばいばいキャンディーズ

元キャンディーズで女優のスーちゃんこと田中好子さんが逝ってしまった。結婚の翌年、30代での乳がんの発症から20年近く再発と治療との戦いの末、55歳で力尽きた。心からご冥福をお祈りしたい。

言うまでもなくキャンディーズは、青春真っ盛りの私の高校時代にデビューした。それはアイドルという存在が当たり前だった時代、彼女ら3人組は爽やかな風のように登場した。今でこそ「ラン、スー、ミキ」の順に呼ばれるが、デビューから4曲目まではスーちゃんがセンターだったから「スー、ラン、ミキ」が元祖の呼び順である。初めて見た時からスーちゃんが一番好きだった。

アイドルと言えば、現在ではAKB48あたりを指すだろうが、オタク相手のマーケットから発生したAKB48とスクールメイツ出身のキャンディーズとはカラーが違う。AKB48のメンバーの殆どを知らない人は多いが、キャンディーズは老若男女すべてにファン層があった。この時代を席巻していたベストテン番組やドリフターズの「8時だョ!全員集合」などに出演し、歌に踊りにタンブリングにと文字通りお茶の間の期待にしっかり応えていた。

彼女らが大活躍した70年代は、一方で喪失の時代でもあった。海外ではビートルズやサイモン&ガーファンクル、国内ではかぐや姫やグレープなどのフォークグループがこの年代に解散していった。大きなものが誕生する時には物心が付いておらず、ようやくそれらと巡り合って好きになった頃にいなくなってしまう。我々のジェネレーションはそんな「喪失の世代」だと思っている。

だから、デビューから解散コンサートまで足掛け5年程度だったものの、誕生から解散までの全てを同世代の人間としてリアルタイムに見て来られたというのは貴重だった。数あるキャンディーズの歌の中で、私が一番スキだったのは「アン・ドゥ・トロワ」である。曲より歌詞が多い「字余りフォーク」の吉田拓郎によるバラード調のこの曲が、彼女らをアイドル歌手からアダルトな雰囲気のグループに脱皮させたような気がした。

「普通の女の子に戻りたいんです!」というセリフは、「本当に私たちは幸せでした!」と共に今も語り継がれている。

と言いつつ、何だかんだで芸能界に復帰したのは「おいおい、そりゃ普通の女の子じゃないだろが」とツッコミたくもなったが、ピンクレディーなどのように再結成に走らなかったのは実に潔いと思う。女優としてのスーちゃんは、決して歌唱力が優れていたわけじゃなかったキャンディーズの時よりも存在感があったように感じた。特に、大人の女役だったランちゃんに比べ母親役のスーちゃんは、より適役で板に付いていたように思われた。

それは彼女の本来の性格に拠るところももちろんだろうが、静かに乳がんと闘い続けて来た強さに拠るところでもあったに違いない。それらは彼女の演じる母の愛と強さに繋がっていたはずだ。

キャンディーズを揃って見る事は事実上かなわなくなってしまった。この話を会社でしても、若い連中には全然通じなくなってしまった時の流れにも寂しさを覚える。過去の歴史と片付けてしまうにはいかにも早過ぎるだろう。

スーちゃんが愛くるしい笑顔で歌ったあの顔、演技で見せた強さを秘めた女のあの目、きっといつまでも忘れない。 合掌






関連記事

COMMENT

>空蝉さん
私のiPodには「やさしい悪魔」を入れてます。

キャンディーズ 今も聴いています

寂しいですね

>PEKOさん

あの頃は、アイドルでもポッチャリ体型が結構いましたね。それも含めて懐かしく、そして寂しいです。

私はたしかまだ子供でしたが、理由は分からないけどスーちゃんが一番好きでした。

解散コンサートのTVは、まだビデオなんてなかったからテープレコーダーで録音して何度も聞いたなあ…

寂しいですよね…
ご冥福をお祈りします。

EDIT COMMENT

非公開コメント

Number of Access
Since 25. Dec. 2001
Day by Day ・・・
My Profile

Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

Recent Comments
データ取得中...
Search
Translation
PDF Exchanger

Weather Forecast

-天気予報コム- -FC2-