史上最高額の国内旅行
という事で、2泊3日で箱根&伊豆半島一周の予定。初日は箱根・芦ノ湖畔の玉村豊男ライフミュージアムに併設されているイタリアンレストラン「ラ・テラッツァ」を目指す。ハイシーズンだったらムチャ混みの東名~小田原厚木道路~箱根新道ルートがガラガラで、目的地までほとんどノンストップだった。
ここまでの120iクーペの走りは、高速では全くストレスフリーの加速、箱根新道の登り坂でもプジョー並みの回頭性の良さを発揮、どのシーンでもFRならではの後ろ足で蹴って進む感覚が伝わってくる。簡単に言うと、FFのプジョーは車を引っ張って進むような感触だが、FRの120iクーペは車を押して進んでいる感触だ。
ハンドリングは想像以上に軽くキレが良い。うっかり力を入れて回すと切り過ぎになってしまうくらいだ。そして切った方向へ俊敏に向く頭が、まるで軽量のコンパクトカーを運転しているかのような気持ち良さを味わわせてくれる。これまでは大きく重くなるばかりのボディがエンジン特性を帳消しにしているというイメージを持っていたBMWだったが、これはかなり意外な印象だった。
・・・・・・・
箱根から初日の宿泊地である西伊豆・土肥温泉「粋松亭」までは、これが本日最大の狙いだった峠道。シフトレバーをマニュアルモードにし、3速固定で駆け上がり駆け下る。時折ペースカーに行く手を阻まれもしたが、もっと大きな障害は実はカミさんだった。カーブのたびに右へ左へ身体が振られ、コーナーに突っ込む前の減速と立ち上がりの加速に「気持ち悪い」を連発され、強制的にペースダウン。これからは峠道は一人で来ようと心密かに誓った。
夕方早目にチェックイン。檜の露天風呂は眼前に海が大きく広がっていたが、どうも我々は海に沈む夕日を見ようとすると天気に恵まれない。一昨年の新潟・瀬波温泉旅行の時も重く垂れこめた雲にやられたが、この日も同じような雲できれいな夕焼けはとても望めそうになかった。ま、本当に見たいのなら旅行じゃなくて住めってなモンだわな。
室内はやたら女性好みの赤やピンクの派手めの設えで、悪く言えば高級ラブホとも。それでもこの宿の最大の魅力は露天風呂のロケーションである事は確かだ。源泉かけ流しの檜風呂に浸かりながら絶え間なく打ち寄せる潮騒に耳を傾けていると、心が洗われて生まれ変われるような心地良さを感じる。もはや生まれ変われるはずもないけれど。
・・・・・・・
翌日は暑いくらいに気温が上昇、こりゃたぶん夏日だろう。お約束の恋人岬から堂ヶ島遊覧船へ。返す刀で加山雄三ミュージアム。旅館の仲居さんお勧めの広い土産物スペースで職場関係の土産物などをゲット、ミュージアムショップでは懐かしの若大将シリーズのDVDとご対面。期待していた若大将まんじゅうは売ってなかったが、入場料をケチってミュージアムに入らなくても十分楽しめた。最後にソフト部の活動。本日は小豆粒入り「北海道小倉ソフト」、伊豆で北海道というアンバランスさにそそられた。
その後は下田に移動して、これまたお決まりの下田ロープウェイで寝姿山頂から下田港を見下ろす。遠くには伊豆七島がぼんやり浮かんでいた。そして2日目の宿泊地である東伊豆・河津温泉「桐のかほり 咲楽」へチェックイン。
ここの露天風呂も檜だったが、ロケーションは海は見えたものの、粋松亭のように全面海とはいかなかった。だが私好みのぬる目の湯だったので、いつまでも何度でも入れる。和風の落ち着いた館内と室内は、文字通り上品な隠れ家という趣がある。部屋数もわずか4つと少ない。また面白い事に、ここは火曜~木曜は営業していない。したがって我々がチェックアウトした後は閉館となる。
近頃の旅館は食事に特に力を入れているようだ。初日の粋松亭もそうだったが、夕食のみならず本来シンプルな朝食も10品目前後が並び、かなり充実した食事を摂る事が出来る。咲楽は夕食の刺身もこれ以上ないほどのレベルのイセエビ、サザエ、キンメ、クロムツ、イサキなどの地魚がズラリと並び、松茸の土瓶蒸しや伊豆牛の焼き肉などに舌鼓。朝食も地魚のカルパッチョ、エボ鯛、湯豆腐、自家栽培野菜の数々に大満足。値段を考慮してもリピートしたいと思った数少ない旅館の一つだった。
・・・・・・・
BMW120iクーペに驚かされたのはドライブフィールだけではなく、その燃費にもだった。積まれているのは確かに広領域リーンバーンエンジンだが、だからと言ってエコドライブなんてまるで意識せずに思う通りのアクセルワークをしたにも関わらず、ほとんど一般道や山道の400km強でおよそ30Lの消費量。これはプジョー206XS(1.6L/AT)と同等かそれ以上と言っていい。
デザイン的には、プジョー206はナナメ後ろからのラインが一際艶っぽかったが、BMWはフロントフェンダーからドアを経てリアフェンダーに至る曲面の妙がクーペスタイルになるとより際立つ。カミさんも120iの控えめなエアロパーツやフカヒレアンテナなんてのが付いていないシンプルな外観が気に入ったらしい。
総合的にこのサイズが一番楽しいだろうし、私のライフスタイルに最も適したサイズでもある。これ以上大きなBMWはもういらない。
全行程中、ハッチバックの1シリーズとは何度か遭遇したが、クーペは赤い135iクーペとすれ違っただけだった。不景気のせいであんまり売れてないのかもしれないが、少なくとも私にはベストバイだったと確信できた。
- 関連記事
-
- 想像を裏切ってくれたホテル (2011/05/15)
- ソフト部史上最悪の活動 (2011/04/17)
- 史上最高額の国内旅行 (2010/10/26)
- 男だらけの秋キャンプ (2010/10/17)
- 五十肩の憂うつ (2009/10/28)