ワクチンでがんが防げるということ

女性にとって子宮頸がんは、乳がんなどと同様に恐しい疾患である。

子宮頸がんとは子宮の入口(頸部)に発生するがんで、日本における罹患率は乳がんに次いで多い。20~30歳代の女性ではがんの中で最も高い発症率とされ、特に若い世代の発症が多いのが特徴とされる。2005年の報告では、子宮頸がんの罹患数は8500人以上、死亡数は2500人以上で現在は3500人以上とも言われている。毎日ざっと10人が亡くなっている計算になる。

治療法はがんの進行度によって異なるが、外科的な切除術が一般である。しかし若い世代の女性ほど進行が早く、転移のリスクも高い。進行がんの場合の5年生存率はわずか10%台とされている。生命の脅威以外にも、子宮全摘の場合は将来的に出産をあきらめなくてはならないという苦痛をも抱え込むのである。

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幸いな事に子宮頸がんは他のがんと異なり、原因が解明されている。それはほぼ100%、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものだ。HPVは100種類以上の型が存在し、このうち約15種類が子宮頸がんを発症させる「発がん性HPV」と呼ばれている。中でもHPV16型とHPV18型は子宮頸がん発症患者に最も多く検出されている、いわば主犯格である。

HPVは性交渉によって感染するが、90%以上が体内から排除される。残りの10%程度が持続感染となるが、がん細胞まで進展するためには数年~10数年の時間を要する。また、高い確率で排除はされるものの、それゆえ免疫が得られ難くく容易に再感染を起こす。それはたとえ今はがんを発症していないとしても、次の感染でがん細胞への道を運命付けられるかもしれないという事でもある。

このように持続感染への「確率」とがんへの進展までの「時間」という要素をかい潜って子宮頸がんの発症に至る確率は、HPV感染の1%未満という事になる。だが、がんを発症した本人にとっては、それがどんなに低い確率であっても関係ない。発症した本人から見れば「一分の一」に他ならないのである。

一般的な女性のライフスタイルからすれば、おおむね30歳代までに結婚、出産、育児という人生の一大イベントを迎えているだろう。その時、もし子宮頸がんを発症したら、一瞬にしてそれは暗転する。家族の入院治療などで仕事も家庭もガタガタになるだろうし、常に死の恐怖に怯えながらの人生は想像を絶するものがある。

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原因が解明されているのなら予防も可能なはずだ。

現在、このHPVを感染部位でブロックできるワクチンが発売されている。半年の間に3回接種するが、少なくとも子宮頸がんの主犯格であるHPV16型、18型を実に20年以上に渡って感染防御できるのである。すでに海外では100ヶ国以上で使用されている。

詳しくはこちら→ allwomen.jp (・・・ちょっと重いかも)

成人女性本人はもちろん、10歳以上の娘を持つ親にとってはワクチンの早期接種は娘の将来への「生命保険」とも言えるだろう。セクシャルデビュー前の年代の接種が最も効果が高いというデータもある。

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ところでHPV予防ワクチンは、その登場からニュース番組でも取り上げられ注目度が高かった。しかしながら実際のワクチン接種率となると、現在まで決して高くはない。これはどういう事なのだろうか?

まずは接種すべき女性が子宮頸がんの実態を正しく認識していない。当事者という意識が薄いからだろう。きっと自分だけは感染や発症はしないだろうと思っているのかもしれないが、このように感染を繰り返すありふれたウイルスに対する認識としては全く見当はずれと言わざるを得ない。明日は我が身なのだ。

次に、ワクチン接種は任意の自由診療であり、3回接種で5万円程度の自己負担になるという問題がある。公費負担制度を導入している市町村もあるが、まだ全てではない。制度導入まで待つという選択肢もあろうが、感染機会は待ってはくれない。生命を脅かす疾患に対する20年間の保険料として5万円という金額はそれほど高いものだろうか?

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医学的知識に詳しくない一般市民へ正しい理解と認識を持ってもらい、接種への背中を押してあげるための啓発活動として「DTC(Direct to Consumer)」と呼ばれる方法がある。

これは、製薬会社が一般消費者(Consumer)に対してメディアを使って直接(Direct)行なう医療用医薬品に関する広告宣伝活動を指し、米国では重要な企業戦略として急増している。勃起障害(ED)、男性型脱毛症(AGA)や禁煙治療などでも知られている。しかしながら、日本では医療用医薬品の製品名を出せないという規制があり、その費用対効果は確立していない。

だからここに「プライベートDTC」として及ばずながらも試みたいと思った次第である。

ワクチン接種によって、大切な家族や友人・知人を子宮頸がんの脅威から可能な限り守ってあげようではないか!




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COMMENT

>3tarouさん、はじめまして

ご承知の通り、医薬品の承認はデータに基づき国が行ないます。その段階では臨床試験という限られた使用経験での判断であり、発売後に多くの使用実態下における成績で再審査が行なわれます。そこで未知の副作用が発現された場合、改めて判断が下されます。ワクチンにおいては副作用ではなく副反応と言いますが、同様です。

ご指摘の副反応はアナフィラキシーだと推察しますが、これは特にワクチン製剤では必須の副反応です。インフルエンザワクチンでも見られます。また、発現頻度も特に高頻度というわけではないようです。原因もアジュバントと特定されたわけではありません。

ワクチンに対していたずらに危機感を持ってしまう事も行き過ぎのように思います。事はがん発症につながる感染予防ですので、一過性の感染症予防と同列には論じられないと思います。要はリスクベネフィットです。子宮頸がんの予防というベネフィットと副反応のリスクを考えて判断すべきというご提案には同意です。

「アジュバンド(免疫増強剤)」の安全性について

日本で始めて認可された子宮頚癌ワクチン「サーバリックス」発売元グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)には「アジュバンド(免疫増強剤)」という物が含まれています,これはワクチンの効果高めなおかつ持続性維持するために使われていますがこの物質の安全性がまだ十分検証されていないないのです。子宮頚癌ワクチン先進国の欧米では、サーバリックスとガーダシルがよく使われていますが重篤な副作用の報告例がありユ-チュブには動画も投稿されています。事は命に関わることですので慎重なご判断をおすすめいたします。

若い世代への広告活動としてFMラジオは有効だそうですね。たしか中京地区でパイロットプロモーションをしていると聞いてます。公費負担活動もやっているようです。

ワクチンというと、季節性インフルエンザワクチンのように「当たるも八卦、外れるも八卦」というイメージを抱きがちですが、これはそれとは比較にならない予防効果が得られます。ましてや相手はがんですから、まずは若い順にいかがですか。

これ、ちょっと前からがんがんCMとかで流れてるね
「しきゅうのおはなし~♪」って可愛い歌でw
ZIP-FMでもよく出てくるよ~
気になるけど他の物より金額高いのは否めない気が。。。
もう少し自己負担金が安くなれば嬉しいな~
親子3人で15万かぁ ちと考えるw

内科でなくても産婦人科クリニックでも接種可能です。子供(~14歳)なら小児科でも。紹介したwebsiteからも接種可能な施設が検索できます。

ふぅむ。。。
内科、ですかね。。
ぁ、アタシじゃなくて ^^;

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最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

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