甘い世界はどこにもない
会場は銀座に程近い一等地、元都庁跡に約1600億円を費やして建てられたものの、毎年90億円にものぼる赤字を出していると言われる「東京国際フォーラム」。確かにデカい割りにムダの目立つ設計の建物で、ダダッ広い1FフロアではソフトバンクのCM撮りをやっていた。
ここに全国から200名を超える現場の所課長と100名を超える本社部門スタッフが集まって、これまた軽く10品目を超える主要製品の次期プロモーションについてシェアを図るというイベントである。製品領域別に少人数の分科会形式で行うため、同じ内容の説明・討議を2日間で述べ7回繰り返さなくてはならない。喋る側のマーケ部門のスタッフもオブザーブしている我々も大変だった。
ここで合意されたプロモーションの実施のために必要な研修を、我々研修部門のトレーナーが今月中旬から全国を回って行なうという段取りである。今回で2回目の会議開催となったが、前回よりも参加者の当事者意識が向上して来たという声が多い。まあ、マネジャー200人もいればそのレベルもクオリティも玉石混交だろうが、ぜひ自ら考えて行動し、優秀な部下を育てられるリーダーを目指して欲しい。
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このところ政治家の二世議員が取りざたされているが、TV番組などで有名芸能人二世の露出が目立つ。ざっと挙げても明石家さんま・大竹しのぶの娘のIMARU、石橋貴明の娘の穂のか、矢沢永吉の娘のyokoなど、なぜか娘花盛りである。
二世芸能人は、政治家の場合と違って特に害悪を及ぼすという事がないから黙って見ていれば良さそうなモンだが、どっこい芸能界だって甘い世界じゃない。松田聖子の娘のSAYAKA、北野武の娘の北野井子を引くまでもなく、有名芸能人の子供という地位と本人の成功とはイコールにはならない。
親は少なからず才能に裏打ちされたハングリー精神とチャンスをモノにして来た運と実力で今の地位を獲得した歴史を持っているが、その子供は親が獲得した地位(ポジショニング・パワー)によって、マスコミに露出するチャンスが初めから与えられている。これは一般人からすれば相当大きなアドバンテージなのだが、多くの場合、肝心の才能に裏打ちされたハングリー精神というものが欠如しているのだ。
成功した親の裕福な環境で育ったのだから当然と言えば当然だが、なぜか年頃ともなると芸能界入りを希望する子供が多い。成功した親の姿しか知らないゆえ、その親のいる世界をも甘く見てしまうのだろう。よせばいいのに、私もやれると錯覚する。親も親でそのポジショニング・パワーをフルに使ってチャンスを与える。
だがそこまで。芸能界だって商売だ、バカじゃない。話題先行で注目されるのは最初だけ、後は親の時と同じ生き残り勝負の世界が待っている。安易な考えだけで、運と実力がなければ消えて行くだけである。
もっと昔の時代のスターの子供達がそこそこ成功しているのは、芸能界が映画や演劇という限られた世界を基盤にしていた時代だったからこそで、娯楽が多様化し、平気で使い捨てされる現代にあっては、大スターと呼ばれるような俳優や歌手はそうカンタンには育たないだろう。
結局、いっときの打ち上げ花火に終わるか、短期間で使い捨てられて行くのが殆どである。昨今のJ-POPシンガー、お笑い芸人しかり。何人が来年残っているだろうか?
「芸能界はね、一旦座った場所は絶対に空けちゃいけないのよ。空けると必ず誰かに座られちゃうから」
いつだったかのTV番組で、大成功者の泉ピン子をしてこんなセリフを吐いていた。甘い世界などどこにもないのである。
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