選挙対策と訃報

麻生首相が先月30日に発表した総事業規模26兆9000億円に及ぶ追加景気対策については賛否両論(否の方が圧倒的)だが、一番簡単な事は、これらの対策で喜ぶ人と悲鳴を上げている人を考えてみれば良い。

我々に身近な順で言えば、まずは「定額給付金」だ。しかも今のところ収入に関係なく4人家族で約6万円相当が貰えるというものである。金額の多寡はともかくとしても、これで喜ばない人はいないだろう。私でも貰えるに越した事はないと思う。そして喜ぶ人の大多数に有権者が含まれている。

次に高速道路料金の引き下げだ。ETC搭載の普通車で、土日の遠出で大都市圏外の通行料が1000円程度になるという。私もドライブは好きだしETCも搭載しているので、これは嬉しいと思う。少なくとも自家用車を所有している人にとっては同じ喜びだろう。その大多数も有権者だ。

だが、今悲鳴を上げている人は生活保護家庭や年金生活者などに代表される低所得者層である。同時に保育所不足や産科不足が拍車をかけている少子化問題、保険料を払えない世帯の無保険児童などの社会問題も放っておけないはずだ。そういう立場の人達や問題に直面している人達にとって、所詮一時凌ぎに過ぎない定額給付金や生活に縁遠い通行料引き下げなどは、ほとんど意味を持たないだろう。

確かに、介護報酬アップ、介護人材の拡大・確保、第二子からの「子育て応援特別手当」、妊婦健診の無料化なども追加対策に挙がってはいる。だったらここに定額給付金も上乗せして、後期高齢者医療制度や産・育児関係の改善を進めればいいではないか。万人にいい顔をするよりも、早急に救うべきところに手を差し延べるべきである。

また、日本経済の足元を支えている中小・零細企業も悲鳴を上げている。強者である金融機関は生き残りのために貸し渋りや貸し剥がしを行ない、それにより弱者である中小・零細企業が倒れて行く報道が後を絶たない。追加対策には緊急信用保証や政府系金融緊急融資の拡大が盛り込まれているが、それがきちんと末端に対する融資拡大につながって行かなくてはならない。資源の乏しい日本の最大の武器である「ものづくり」を衰退させてはならない。

このような現状を見るにつけ、政府は「景気対策」などと大言壮語を吐く前に、思い切って「弱者救済」に財源を集中させ、同時に「経済政策」として中小・零細企業(これも弱者だろう)の救済をやらなくてはならないのである。それが出来るのが国家であり、政治家であるはずだ。

「日本の将来のために、まずは弱者救済策から早急に実行したいと思います。そして今後のさまざまな対策を含め、国民全員でそれを支える財源の確保のために皆さんのご協力をお願いします」と、勇気を持ってなぜ言えないのだろうか。

確固たるビジョンとポリシーを持って訴えれば国民の多くは支持するだろう。だが、どうしても目先の有権者を気にしてしまうらしい。気にしているワリには3年後の消費税率アップとの抱き合わせだとシレッと言ってるし、挙句の果てに民主党案の焼き直しなどと揶揄される始末である。何だかんだ言ってはみても、やっぱり本音は選挙対策でしかなかったのか。

日に日に首相の存在感が薄くなっているような気がするのは私だけだろうか。

・・・・・・・

歌手のフランク永井氏が先月27日、自宅で死去していた。享年76歳だった。

ムード歌手と言えばフランク永井の代名詞で、独特の低音で歌う「有楽町で逢いましょう」や「東京ナイト・クラブ」、「おまえに」などのヒット曲は、私も昔の営業時代にDrをお店の女性と踊らせては歌っていたのを思い出す。でも、どうしてもあの渋い低音のマネすらできなかった。

忘れもしない1985年10月、いつも通りに訪問した大学病院の前の道路に何台ものTV中継車が停まっているのにビックリし、彼が自殺未遂をして担ぎ込まれた事を知った。中継を待つ間、レポーターの東海林のり子氏が車中でタバコを吸っていたのも覚えている。

あれから23年、正直まだ存命だったとは思わなかったが、死去を伝えた記事の中でひときわ目に付いたのは夫人についての記述だった。夫人はリハビリに長年付き添ったが、何と1991年に自殺未遂、翌年に離婚したという。そのため、彼はここ数年は実姉と生活し、記憶障害も抱えながらリハビリ・療養生活を送っていて、車イスでの生活だったという。

どんな理由だったかは知らないが、たった一度の早まった行為で家族もろとも悲惨な生活を余儀なくされてしまうのは本当にたまらない。それが自らの手でというのでは、返す返すもいたたまれない。

彼の生の歌声を今の私の年齢で聴けたとしたら、どんなに感慨深く素晴しい事だったろう。大好きな歌手の一人だった。ご冥福を祈りたい。




関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

Number of Access
Since 25. Dec. 2001
Day by Day ・・・
My Profile

Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

Recent Comments
データ取得中...
Search
Translation
PDF Exchanger

Weather Forecast

-天気予報コム- -FC2-