それぞれのRETRY
1995年から約10年間、苦楽を共にしてきた小出義雄氏の口からは未練ばかりが出た。「Qちゃんは40歳前後までできるし、次のオリンピックまでメダルを獲れる範囲にいると思っている。まだ、2時間20~22分で走れるよ。完全燃焼したって? やり方が分からなくて完全燃焼したんだよ」
2日の清原和博選手に続いて、今月2人目のビッグアスリートの引退である。どちらもピーク時の引退ではなく、あくまで現役にこだわり続けた上での引退だったところが共通している。そのため体力の衰えやケガとの戦いを強いられ、結果としてはボロボロになるまで自分を追い込んだ末に身を引くという形になった。
だが、引き際が遅過ぎたなどとマスコミなどがどう言おうが、自身が納得するまで選手生活を全うし、自身の決断を持って幕を引く生き方を外野からとやかく言われる筋合いは無かろう。マスコミを始めとした世間も、選手達の活躍によって大きな話題とビジネスチャンスを与えてられて来たはずだ。むしろここまで頑張って来て天晴れと称えてしかるべきである。間違いなく彼女はそれだけの貢献をして来たはずだ。
そしてこういう時の常套句の一つに「今後は後進の指導」とか「マラソンの普及・発展」のために力を発揮して欲しいというコメントもよく耳にするが、現実はかなり厳しい。プロスポーツでさえ、引退後も恵まれた環境に身を置ける者はごく少数だ。ましてやアマチュアスポーツであれば、そのための環境を整えるだけでも至難の業ではなかろうか。心あるなら、せめてそれらを整えた上でその道を歩かせてあげて欲しいと思う。
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原辰徳巨人軍監督がWBC日本代表監督を務める『原JAPAN』が正式に誕生したが、イチロー選手がWBCの日本代表に選出されれば出場する意思を固めたという。彼は10日前まで「最強のチームを作ると言う一方で、現役監督から選ぶのは難しい、では本気で最強のチームを作ろうとしているとは思えない」と日本代表監督の選出問題に注文を付けていたが、ようやく納得するに至ったのだろう。連覇のための原動力を期待する。
本気で最強チームを作るなら、現役メジャーリーガーの日本人選手を全員招集するべきである。少なくとも松井秀喜、松坂大輔、城島健司、福留孝介、黒田博樹の選手らは外せないのではなかろうか。日本の各球団の協力はもとより、メジャー球団との交渉がその可能性を決めるとすれば、コミッショナー特別顧問の王貞治氏を始めとする支援方の手腕に期待したい。これ以上望めないという最強の日本代表こそ皆が求めるチームであり、求める戦いに違いない。ぜひ一度見てみたいものだ。
それと、監督就任要請を二つ返事で快諾したと言われる原氏。ゆめゆめ自身の実力だと勘違いする事なかれ。やれミラクルだレジェンドだと騒いでいる13ゲーム差逆転優勝は、あなたの采配など必要なしと言ってしまえる強力な「カキ集め戦力」に負うところ大で、それをもって戦力的には格下とばかり闘って来たのだから。
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23日の園遊会で、天皇陛下の問いかけに対し「ロンドン五輪は目指しません」と発言した毎度お騒がせ男の北京五輪柔道男子100kg超級金メダリストの石井慧選手。ついに総合格闘技「DREAM」入りを決めたようだ。彼は五輪前から、将来の目標として総合格闘技挑戦を公言していたが、念願かなっての転身だったのだろう。
常識を疑うような言動の数々、それでも金メダルの威光からか、マスコミはそれらを都度取り上げてきた。最初こそユニークなキャラと面白がられたものの、それもそろそろ呆れ果てられそうになって来たところでのギリギリのタイミングだったと思われる。彼の父親が言っていた通り、21歳という年齢からも転身はロンドン五輪後でも決して遅くはないと思うのだが、何を焦ったり、あるいは恐れたりしているのだろうか。
プロ格闘技のヘビー級は熾烈だ。エメリヤーエンコ・ヒョードル選手を頂点に、セーム・シュルト選手、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ選手など圧倒的に外国人勢が強く、日本人の強豪では吉田秀彦選手がいる。また所属予定のDREAMにもミルコ・クロコップ選手がいる。筋書きでもあれば別だが、普通に見れば簡単に勝てるほど甘くはない世界だ。せいぜい曙や西島洋介選手みたいな「人寄せパンダ」の二の舞にならぬよう。
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