ヒゲとプロ意識

日本郵政グループの近畿支社に勤務する男性(55)が、口ヒゲを理由にマイナスの人事評価をしているのは人権侵害に当たるとして、大阪弁護士会人権擁護委員会に救済を申し立てた。同会は「無精ヒゲまで認めるべきとは言えないが、手入れされている場合は人格権の一部として保護されるべきだ」と判断し、郵便事業会社に是正を求める勧告書を昨日送付したという。

個人の人権という面から見れば弁護士会の言い分にもうなづける。どんな髪型であれヒゲであれ、それが公序良俗に反するものでない限り個人の自由である。しかしそれが職場となれば話は変わってくる。社内、社外の対人関係にも影響を及ぼすからである。

この男性の場合は、採用後から口ヒゲを生やしていたが、民営化を控えた郵政公社は4年前、「接遇・マナーレベル」の認定制度を設けた。その中で「ヒゲは不可」とするガイドラインを作成したため、上司が問題視、男性は不認定となり、顧客との接触がない業務に配置転換され、人事評価でも比較的低いランクになったという。

この男性はそれまでは顧客と接する部署にいたのだろうが、実はここが重要なのだ。宗教上の理由でヒゲが当然とされる民族ならイザ知らず、日本人においてヒゲはあくまで少数派だ。しかもヒゲを生やす事で、顔がキツくなる事があっても穏やかになる事はない。勝負の世界にいるイチローや日ハムの頃の小笠原などのスポーツ選手がヒゲを生やしている事からもそれは明らかだろう。

だが、これが接客業となれば話は別だ。接客業においては、顧客に対してフレンドリーでありホスピタリティを与える事が最優先される。だからその業務に従事する者は、身だしなみから言葉遣いに至るまで、かなり気を配っているはずだ。それがその企業の業績や顧客評価に直結するからである。

人と人との接触において、第一印象は非常に重要である。そこに厳しい顔に映るヒゲを蓄えた人物がいたら相手はどう感じるだろうか? 顧客は親近感を抱くだろうか? 考えなくてもわかるはずだ。

今回の件でも、たとえ顧客から直接クレームが上がっていなかったにせよ、業を営む側が慮るべき事なのは論を待たない。少なくとも接客の最前線にいるプロと呼ばれる人たちは、皆一様にダークスーツに白いワイシャツ、髪も短めにしている。ヒゲはほとんどいない。ホテルマンしかり、銀行マンしかり。それをプロ意識と言うのだ。

ここに個人の自由以上のプライオリティが存在する。平たく言えば、「仕事なんだから、当然でしょ」である。この男性も、社内ガイドラインがあるにも関わらず、それでも個人を優先したのだから配置転換は仕方ない。その前後で個人の自由を主張した事で、その後の評価に影響したとしても組織の論理としてあり得る話である。弁護士会も何でもかんでも人権だと主張する前に少しは知恵を使いなさい。

ウチの会社の内勤部署の中には、チョイワルオヤジを気取っているのかは知らないが、中田英寿よろしく髪を立てたり無精ヒゲを生やしている輩が何人もいる。人事部曰く、それは個人の自由らしい。ポロシャツやジーンズ、サンダル履きで社内を闊歩している輩もいるが、それも自由だと言う。その格好で外部の人と接触する場所に行っても、それが来客や同じ会社の外勤営業者の目にどう映ろうとも構わないらしい。

そこに気付いた来客や不快に感じた社員はいたに違いない。けれども、それぞれの立場からあからさまな声を上げはしないだろう。だからと言って、それでノー・プロブレムのワケがないのだ。

ウチの本社が営業会社としてプロ失格な理由の一つがここにある。



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Chaie<チャイ>

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最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

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もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

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