優勝とシード権とリタイア
東海大のエース佐藤悠基選手が、7区で区間新記録をマークし、3年連続で区間新記録を樹立した。何より彼がすごいのは、毎年別の区間を走り、その3区間全てが新記録だという事である。来年も別の区間で新記録をマークすれば、何と全10区間のうち4区間の記録保持者になるのである。今からそれが楽しみだ。
試合は、首位早大を追う駒大が9区でついに追いつき、しばし並走状態になった。やがて早大を振り切った駒大「太もも筋肉マン」堺晃一選手が単独トップに躍り出ると、タスキはそのまま10区のアンカーへとリレーされた。また、中央学院大の篠籐淳選手が区間新記録をマークし、同校初の3位に浮上した。
同じく9区で熾烈なシード権争いのデッドヒートを展開したのは日大と東洋大。破れた方が11位となりシード落ちになる。ここがある意味、優勝争い以上に天国と地獄の境目だ。優勝争いの行方が見えてくると、代わってこのシード権争いに観衆の注目が集まる。最後の鶴見中継所では日大が落ち、東洋大と帝京大との10位争いに変わって行った。
だが、これでドラマは終わらなかった。
持ち直した日大アンカー笹谷拓磨選手が東洋大を猛追、ついにゴール2.5km手前で捉えた。これで東洋大が無念のシード落ちかと思われたその瞬間、何と前方に東海大の荒川丈弘選手が倒れていたのだ! これで往路の順天大に続き、復路では見たくはなかったが、大東大と東海大が途中棄権となってしまった。特に10区で棄権した東海大は、ゴールテープを切る走者さえもいなくなったのである。
危なげなく走り切った駒大の太田行紀選手が大手町のゴールテープを切り、3年ぶり6度目の総合優勝を飾った。大八木監督自身も3大大学駅伝15勝目の節目だったそうだ。
こうして2日間フルに観戦してみると、各校のランナーにとってこの箱根駅伝が何年経っても人生の大きな部分を占めるほどの影響を及ぼしているというのがよく分かった。挑戦あり、失敗あり、挫折あり、そして栄光ありと、箱根駅伝とは、そのまま人生のプロセスと結果の表れだからである。
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