野球にF1にボクシング
昨日はパ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)で、2位のロッテと3位のソフトバンクによる第1ステージ決勝戦だった。試合はロッテが勝ち、日ハムとの第2ステージ3本勝負に進んだ。これでダイエー時代からソフトバンクは、優勝してもしなくても、どうしても日本シリーズに行けないという状態が続いている。
CSのそもそもは、消化試合解消のために2004年からプレーオフ制度としてパ・リーグで始まった。だが、結局は3位以内に入りさえすれば、結果次第で日本シリーズに出場し、日本一になる事さえ起こり得るのである。そうなるとシーズン優勝の重みも意味もない。ならば、メジャーリーグのようにワイルドカード制にすれば、同一リーグの日本シリーズという意外性も出るだけまだマシだろう。
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7日のF1中国GPでは、大方の予想を裏切るルイス・ハミルトン(マクラーレン)のリタイアで、ルーキーのワールドチャンピオン誕生という偉業がお預けになった。優勝はキミ・ライコネン(フェラーリ)で2位にフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が入り、この結果、ハミルトン107、アロンソ103、ライコネン100ポイントとなり、王者決定は最終戦ブラジルGPに持ち越された。大差のリードを奪っていたハミルトンも青天の霹靂だったろう。
セナ・プロ・マンセル時代以来のF1ファンとしては、近年稀なる三つ巴のファイナルバトルは大歓迎だ。史上最年少のルーキーチャンプ誕生か、3連覇を狙うアロンソか、はたまたライコネンの初チャンプへの執念か? 決勝の21日は深夜からの中継になると思うが、こうなったら何時になろうともこの目で結果を見届けるつもりでいる。
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さて、内藤大助vs亀田大毅のWBC世界フライ級タイトルマッチだ。下馬評では王者内藤が有利だそうだ。上体をトリッキーに振り、見えにくい角度からパンチを繰り出す「戦術の引き出し」の多さに加え、リーチでも約10cm上回る。それでも33歳の遅咲きチャンピオンの年齢と18歳の大毅の体力と勢いを比べれば、いくら判官贔屓の連中でも王者の絶対有利とは言い切れないだろう。大毅のビッグマウス「負けたら切腹するよ」の行方を思いつつ観戦した。
頭を低くしてガードを固めて前に出る大毅、足を使って左右に動く内藤。様々な角度から繰り出す内藤のパンチがヒットする。威力はともかく、その手数は大毅を凌駕した。前半4ラウンドが終わって発表された途中スコアは3-0で内藤で、私の採点も同じだった。
ボクシングは一発KOのパンチ力だけじゃない。攻撃、防御の総合力の勝負だと今さらながら感じる。同時に、チャレンジャーの手数が少なくて勝った試合はほとんどないとも。動き回った内藤よりも手数が少ない大毅の方が、不思議と背中の汗の量が多いのも気になった。前に出てプレッシャーを与えているように見える大毅も、逆に言い知れぬプレッシャーを受けていたのかも知れない。
中盤8ラウンドまでのジャッジも最大6ポイントの大差で内藤が優勢。試合は後半に入った。ここでクリンチ後に強引に投げ技を出す大毅にキレた内藤が、大毅の後頭部へパンチ。1点減点を食らう。しかし、ポイント大差でもはやKO以外に勝機のなくなった大毅も、焦りからか最終ラウンドで二度に渡り相手を投げ、3ポイントもの減点を食らった。
ここに来てついに大毅の未熟さ、脆弱な人間性が出た。もはやボクサーとは呼べない。いやらしい程に亀田寄りのTBS実況アナウンサーに加え、TBSポチ解説者の鬼塚氏は「ポイント差以上に接戦で僅差だ」とか「18歳でチャンピオンと渡り合ってるのがスゴい」とか、相変わらずの亀田ヨイショのバカコメントをしていたが、勝負は誰の目にも明らかだった。
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ふと、昼食後に明治通り沿いのカフェテラスに座って、行き交う人と車を眺めていた時の事を思い出した。
目の前の車道に、襲った小型のハトと共にカラスが落ちてきた。カラスはハトの柔らかいノドの辺りをクチバシで攻撃していたが、すぐに飛び立った。後方から車が来たからだ。おかげで難を逃れたハトが、ひっくり返った体をバタつかせて路上に立ったその時だった。一台のタクシーがあっという間にハトの頭を轢いて行った。その時の「クシュッ」という、無残にもあっけない音が、私の脳裏に鮮明に記憶された。
たとえ自分の生を信じきっていたとしても、諸行無常というものは思いがけない時に、思いがけない形で降りかかってくるものである。
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