弟子にあらず師匠にあらず
高砂親方は9日、謹慎中の「急性ストレス障害」などの診断を受けた朝青龍の自宅で再度面談し、ファンへの謝罪会見や入院治療など今後の打開策を提案したが、本人の了承は得られなかったという。
「説得に失敗しました。とりあえず記者会見を開こう。それから通院、入院して治そうよと言い続けた」
「明日も行きます。納得できるまで行きますよ」
まずは朝青龍。
親方と力士がどんな関係だったにせよ、「全治6ヶ月の診断書を書かせて、巡業欠場の承認前に勝手にモンゴルへ帰国」し「モンゴル政府の依頼であれ、サッカーを全力プレー」という行動をしたのは他ならぬ彼である。すべての発端は彼のこの行為だという事を忘れてはならない。
この行為について、悪意のあるなし、過失のあるなしに関わらず、弟子であり部下であり選手である力士がしでかした不始末は、しでかした側が師匠であり上司であり監督である親方に詫びを入れに行くのが筋である。その上で師匠が弟子を連れて共々頭を下げるはずなのに、どうにもおかしい。
次に高砂親方。
師匠が弟子に対して「説得」ってなんだ? それを言うなら「指示」「命令」だろうが! 「納得」ってなんだ? どこの世界に師匠が弟子に「納得してもらう」があるんだ? させるんだろうが!
そんな親方に対し朝青龍は「どうしてこんな事態になったのか」と語り、大きな騒ぎになってしまった事に納得していない様子だったという。また、時には涙ぐんだりするなど感情を出す面もあり、「話もできたし、本人も気持ちをぶつけてくれた」と語った。
師匠が弟子に対して「くれた」ってなんだ? 全くわけがわからん!
弟子を満足に叱れない師匠は、もはや師匠とは呼ばない。彼は「師匠」でも「上司」でも「監督」でもないと自ら言っているのと同じなのである。こんな事を公言して恥ずかしくないのだろうか?
第一、診断書を書いた四日市の病院医師が改めて説明するほど大ごとな「全治6ヶ月」の「緊急手術を要する重症」で「深刻な状態」の左肘靭帯損傷と腰椎疲労骨折の治療こそ優先すべきだろう。再度診察を受け直させるか入院加療させる事こそが真実の証明だろうに。これではやっぱり仮病だったと言われても仕方なかろう。なぜ放ったらかしにしているのか?
事ほど左様に、周囲もいつのまにか本筋からそれ、マスコミも呼応して論点のスリ替えがまかり通る。気付いてみると、横綱の品格だの何だのと言いつつも、結局は誰も彼もが26歳の若造に振り回されている。だから親方のみならず協会もナメられるのである。
伝統と格式が代名詞のはずの相撲界ですら、こんなにも師匠と弟子の絆が揺らいでいる。いわんや、ほかの世界をや。
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