情より実

現役市長候補の射殺事件で注目を集めた長崎市長選挙の結果が出た。

後援会に推されて投票日の3日前に急遽出馬した娘婿の西日本新聞記者横尾誠候補(40)を、同じ日に出馬した「市政熟知」の市課長田上富久候補(50)が破り初当選を果たした。

前市長伊藤一長氏(61)の盤石の支持基盤に加え、通常こういうケースでは有権者の「情」に訴える「弔い合戦」の構図が有利に働くと見られるのだが、「世襲批判」の声を前に、思うように票が伸びなかったようである。

当選した田上氏は、娘婿が後継として出馬した事に「市長は世襲制ではない。肉親の情は分かるが、自治の担い手は別問題。リーダーは市民が選ぶべきだ」と批判。世襲に危機感を感じたのが出馬の動機の一つとも語っていた。また彼は、昨年私も訪れた観光イベント「長崎さるく博」を企画立案したアイデアマンでもあるという。まさに市政の「実務者」であろう。

長崎の有権者は冷静にこれらに答えた形に見えたが、その差は千票にも満たなかった。期日前投票の「伊藤票」は無効なのは分かるが、昨日投票された中にも「伊藤票」は少なからずあったという。その数は到底千や二千の単位じゃあるまい。前市長へのお礼投票が大半だとしても、もしも横尾氏が伊藤姓を名乗っている立場だったとしたら、姓のみの「伊藤」票は本人にカウントされ、それによって当選者が変わっていたと、かなりの確率で言えないだろうか? 

こうして見ると、過去に当たり前のようにあった情が働いた選挙と比べても、結果としては紙一重の差だったに過ぎない。まだまだ有権者は情に脆いが、それが日本人の良さであるのも確かだ。横尾氏の妻の優子さん(36)は憔悴しきった様子で「これでは父は浮かばれません」と声を振り絞り、崩れ落ちそうになるのを関係者に支えられ、泣きながら事務所を後にしたという。

いくら身内とは言え、それまで長崎市政と全く関係のなかった人物よりも、伊藤市政の実務者が後を継いだ事こそ「浮かばれる」事だと思うのだが。身内の無念さを叫ばざるを得ないのが情実選挙なのだろう。

鹿児島の知覧に続いて、私に平和というものを深く考えさせてくれた長崎。今後も、前市長が強く思っていた「悲しい歴史を歩いてきたからこそ発信できるメッセージ」を新市長と共に期待したい。



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Chaie<チャイ>

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最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

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