いわれなき侵略
独裁政治を敷いてきたルカシェンコ大統領のベラルーシもロシアの侵略を支援している。ルカシェンコは自身の立場が危うくなった時にプーチンに助けられた過去があり、それ以来ロシアに足を向けて寝られないから当然だろうが、このままこの侵略行為に引きずり込まれなければ良いが。
ロシア軍は三方向からウクライナを侵略し、東部からは侵略直前に独立を承認した親ロシアのドネツクとルガンスクに軍を進めた。また、北部からはベラルーシ経由で首都キエフへ、ロシアから直接第二の都市ハリコフへ、既に併合したクリミアから南部のオデッサ、マリウポリなどにも空爆や砲撃を行った。
これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領はキエフに留まりつつ戒厳令を発して国民に徹底抗戦と世界からの支援を呼びかけている。領土死守に燃えるウクライナ軍の抵抗により、士気の上がらないロシア軍の侵略は予定外に滞っているという。
それでもプーチンは事もあろうにチェルノブイリを始めとする原発施設を攻撃して占拠し、挙句の果てには核爆弾の使用を仄めかすなど、ウクライナどころか人類にとって最悪の事態も起こしかねない危機を呼んでいる。
一方で、市民を避難させる人道回廊の行き先を自国ロシアやベラルーシに設定したり、病院や学校への無誘導弾による爆撃など常識はずれの戦争犯罪にも及んでいる。その爆撃により日に日に死傷者の数も激増している。
昨夜、2011年に起こったシリア内戦時に医師と結婚、出産した女性ジャーナリストのドキュメンタリー映画が放映されていた。人道回廊への攻撃や首都アレッポを包囲した後の無差別爆撃にはアサド政府軍と組んだ、チェチェン紛争で名を挙げたプーチン率いるロシア軍も軍事介入をしたので、そのやり口は手慣れたモンだろう。
戦略核の使用もチラつかせるプーチンの言動に対し、NATOはウクライナが非加盟国である事を理由に軍事行為をせず静観し、アメリカも核戦争や世界大戦を恐れて経済制裁止まりの対応である。
それでもBMWなどのカーディーラー、マクドナルドやスタバ、コカコーラやペプシコなどの飲食企業、アメックスなどのカード会社や金融会社などがロシア国内から次々と撤退している。営業継続を目論んでいたユニクロも遅ればせながら営業停止したようだ。
アメリカ国防省によれば、すでに首都キエフ近郊まで迫っているロシア軍の一斉攻撃は数日内とも言われている。
このままではまだ避難しきれていない市民や残らざるを得ない市民も犠牲になり、死者負傷者数はこれまでの100倍以上に及ぶ事が確実視される現状である。
ロシア軍兵士の中にはこれが訓練だと聞かされて来た者や平和維持活動と言われて来た者もいるという。ロシア人とウクライナ人の人種の関係性は深く、言うなれば親類同士の戦いとも称される。親類相手に誰も殺し合いなんてしたくはなかろうに。
それなのにここまで無分別な命令をするプーチンの思考回路はどうなっているのだろうか。今のままでもロシアを攻めて来るはずのないNATOや西側諸国を恐れ、無理筋の理屈を弄してウクライナを敢えて侵略する大義はどこにあるというのか。
ロシア国内は反戦運動は徹底的に弾圧され、マスコミは抑圧され、国民はプーチン政権大本営発表の自己主張とフェイクニュースのみ配信され、中にはロシアは正義の戦いをしていると洗脳されてしまっている国民も多いという。例え騙されていると分かっても、口にすれば拘束されるから言えないだろうけど。
核を恐れ、世界大戦を恐れ、世界がこのままプーチンの横暴を制しなければ、ウクライナは世界が許さないはずの暴力による現状変更の犠牲となるのを座視するに等しいと言わざるを得まい。犠牲とするにはあまりにも残酷な現実が更に展開されるのは分かりきっているはずなのに。
ともあれこれでウラジミール・プーチンという名前は、かつての明晰な政治家の名前から常軌を逸した残虐な独裁者の名前として歴史に残る事になったのは確実である。
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