過払金請求
本来、クレカは現金を持たないでも支払い可能な便利なものであり、現金で払った時と同じに一括引き落としが原則だ。なのに、近年の銀行のサラ金合併のせいで「リボ払い」なんてのが盛んに宣伝されている。それだけ潜在的なものも含めた利用者が多いという証左であろう。
このリボ払い、当然だが手数料という名の金利が付く。だからこれを使うと、本来現金で一括に支払う買い物をクレカに代えて一括払いするという原則が崩れ、一転、借金をして支払うのと同じ事となる。これはキャッシングでも同様だ。
いずれにせよ、その利息が法定利息より多いから、その差額を返還させようとして司法書士や行政書士などの法律事務所がCMしているわけだ。そう、今までもあったサラ金の過払金請求ビジネスと同じで、そのターゲットを今度はクレカに移したという図式である。
一方でクレカにも従来から「キャッシング」という純然たる借金方法がある。こちらの方が額が多くなりがちなので、法律事務所のターゲットとしてはむしろメインだと思われる。
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ここで考えていただきたいのは、なぜクレカ利用者は安易にキャッシングやリボ払いを使うのかという事だ。
それは、合併により銀行と身一つになったサラ金にお金を借りて払っているのと同じだという事に気付くべきである。クレカを扱う銀行、キャッシングやリボ払いを扱うサラ金は同じ穴のムジナなのである。
キャッシングであれリボ払いであれ、支払い月に残高を残して次の月に入れば、その人はまた買い物にクレカを使うだろう。何せその時には手元に現金が要らないのだから。そしてさらに返済が膨らむ悪循環。
結局、便利さに溺れて支払いを先送りにした利用者は社会問題となったサラ金利用者と同じで、業者に金利ばかりをむしり取られるハメに陥るのだ。まあ、利用者本人が納得の上でそうしているのかもしれないが、だとしたらあまりに思慮が足らないと言わざるを得ない。
たとえ過剰な利息分が返還されたって法定金利分は戻っては来ないし、戻った分も依頼した事務所の手数料に取られた残りが手元に来る過ぎない。
結局損しているのは誰か? 得しているのは誰か?
簡単な理屈だから少し考えれば分かる事である。
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それに加えて、今も盛んに法律事務所がCMをしている「B型肝炎補償金」がある。これは集団予防接種によるB型肝炎感染者に対する国の補償制度を感染者に代わって申請し、補償金を受け取るというものだ。
たまたまCMソングが私の好きな寺尾聰「出航」だったのが皮肉だけど、このCMもしつこく流れているから、それなりに需要があるのだろう。
実は私も小学生の頃の集団予防接種によりB型肝炎に感染した過去があるので、法律事務所に問い合わせた事があった。
結局、その時にはすでにB型肝炎ウイルスが体内から消失していた事と今さら本人も含めた家族全員の検査が億劫な事もあって、たかだか数十万円の補償金を得てそこから法律事務所の手数料を引かれた金額を手にするのも面倒だと思い直して断った経緯がある。
今や弁護士と言えど、既得権者を除いてその資格に見合った十分な収入を得るのも難しいと言われている。いわんや司法書士や行政書士をや。少しでもビジネスになるのなら何にでも食いつくというのも分からないではないが、パチンコ屋のTVCMに代わってやたら目立つようになったのを苦々しく見ている毎日である。
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