郷のお客さん
事例1)
応援レジに呼ばれてレジに向かおうとした時、アラフィフと思しきオバさんが、
「ちょっと〜、清涼飲料水が欲しいんだけど〜」
清涼飲料水なら店奥のストッカーなので一緒に歩いて案内したら、
「アリナミンVがいいのよね」
と唐突に言い出した。
「えっ? アリナミンVは医薬品ですのでストッカーは入口の横です」
と再度案内すると、途中に数人のお客さんが並んだレジをチラ見して立ち止まり、
「あらぁ、レジ混んでるわねぇ」
「…時間帯によりますけどね」
「ほら、一人しかレジやってないから混んでるんじゃないの〜?」
と、モロに批判的な目で睨まれた。
そのレジ応援にさっきから私が呼ばれているんですがねぇ。
事例2)
「すいませーん、オモテの洗剤なんですけど〜」
呼ばれて行くと、なぜか電卓片手のアラフォーと思しき女性。
「この洗剤の本体と詰替でどっちが得か計算したいんだけど、どうやったらいいか分からないのよ〜」
はあ? それって小学校の算数だろよと思いつつ、価格÷容量を本体と詰替でそれぞれ計算させ、容量単価を比較すると何と本体の方がわずかに安い。
「今のセール価格ですと少しばかり本体の方が安いですが、わずかな価格の差よりも環境問題や捨てる手間が生じるのでどうでしょうか?」
「本体はもう持ってるんだけど、安いから本体を2つ買うわ」
彼女の関心はひたすら価格だけだった。
・・・・・・・
新しい勤務店舗周辺の住民は、前店に来ていたお客さん達よりも総じてキャラが濃い印象だ。ハッキリ言えば粗雑な言動が目立ち「お客様は神様」な感覚が旺盛なお客さんが多い。毎日がまるでシニア割引デーに増殖する「構ってチャン」全開のお客さんみたいである。
毎日のように買い物に来ているだろうお客さんなのに、目的の品物を自分で探す事なくスタッフと見るや声を掛けて来る。それが他のお客さんと話をしていてもお構いなしに。
「少々お待ち下さい」と言って、先客と話をしていると再度声を掛けて来て「電車の時間があるので急いでいるんですけど〜」だったらまず自分で探しなさいよ。
さらにやたら居丈高な物言いをして来る中年のお客さんも目立つ。やっぱり自分は神様だと勘違いしているお客さんの割合は他地区よりもいくぶん高いと思われる。
それを同僚の社員に話したら、彼も着任当初、常連と思しきお客さん達からシビアに接せられてビックリしたと言う。どうやら一部のお客さんは新顔と見るとワザと強目に当たる傾向があるらしい。
近年、地下鉄が通るまではここから最寄りの駅まではそこそこ距離があるものの、古くからの住民も多かったこの町。良くも悪くも村社会気質を引きずっているのかもしれない。私の生まれ育った古き良き下町とはちょっとばかり違う匂いがした。
それでもその地に生活しているお客さんのお役に立ちたいという、この仕事を選んだ初志に変わりはない。少しでもお店にとって優良な顧客創造のために頑張ってコミュニケートして行きたいと思っている。
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