消えたぁ?
10月の尿細胞診で出たclassⅤの悪性細胞の居所を発見するべく、先日の検査入院で膀胱内から6ヶ所、左右尿管から各1ヶ所の組織をサンプリングしていた。
カミさん同席の上で主治医のT先生からのお告げを待つ。サンプリングした組織のいずれかからclassⅤが再検出されれば、今度はそれに対する治療方針が語られるはずだった。最悪、腎・尿管全摘となる。
ところが結果は、あにはからんやいずれもclassⅡ以下の判定‼️
すなわち細胞の一部異型は認められるが悪性度は認められないという、いわば「シロ判定」だったのだ。その時に観た膀胱は相変わらず綺麗なままだったそうだから、classⅤがいるとすれば尿管組織だろうとT先生も当たりをつけていたようだが、それも良い意味で裏切られた。
でもこれってどういう事?
サンプリングした組織で検出されなかったという事は、犯人はまだ網にかからず逃亡中か、はたまた何らかの理由で忽然と姿を消したかのいずれか?
実はこの結果は、決して私の想定外ではなかったのである。以前も少し書いたが、それはこうだ。
初発ならいざ知らず、二度も再発しBCG膀注療法も行なって来たプロセスの中でその度に感作されたリンパ球は、異型度の高い細胞に対して「非自己」を認識する免疫情報を獲得したのではなかろうかという仮説である。とはいえ特にエビデンスがあるわけじゃなし、言ってみれば「根拠のない自信」のようなものだけどね (^^;)
仮説を続けよう。免疫を獲得したリンパ球は、classⅣまでだと「自己」と「非自己」の区別は曖昧なため攻撃するまでには至らなかったかもしれない。だが悪性度の高いclassⅤに対しては「非自己」と認識して攻撃するようになり、その結果、まだ腫瘤を形成する前の極めて少ない細胞数であった事も幸いし排除されたという理屈だ。
・・・・・・・
私の膀胱がんは、前立腺炎を疑っていた6年前の発見時から超早期発見で、その都度TUR-Btにより外科的治療を受けていたから、芸能人が命を落としたような膀胱壁を突き破るような腫瘤が形成されるはるか手前で処置されて来たし、もちろん周辺リンパ節や多臓器への転移も生じる事はなかった。
今回も、もしこれが初発だったらそれを疑わせる症状はほとんど見られなかったから、たぶん受診にすら至っていなかっただろう。その間に密かに芽生えたclassⅤが増殖し、気づいたら腫瘤を形成し進行していたという事態になっていたかもしれない。今回のclassⅤも超早期の段階での発見に至ったのは定期的な追跡検査の賜物だと感謝している。
一方で、どこかに身を潜めていたclassⅤが、実はこの先ジワジワと増殖して悪さをするかもしれない可能性はもちろん捨てきれない。その予測は当然あり得るし、それが臨床上は普通なのかもしれない。
今後は今まで通り、定期的な尿細胞診とCT、膀胱内視鏡を淡々と行なっていくのみである。いよいよのXデーがいつ到来するのかは全く見えないが、生きていればまた何かが起こっても不思議はない。それまではこの幸運に感謝しつつ、これからの日々を送って行こう。…なーんて殊勝なセリフは今さら私らしくもないけどね (^^)
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