ショーケ〜ン!
ど真ん中世代の我々には、萩原健一というよりも何と言ってもテンプターズ時代から「ショーケン」だ!
1960年代、グループサウンズ(GS)の中心的グループだったザ・テンプターズのボーカル。代表曲「エメラルドの伝説 」の「湖に〜 君は身を投げた〜」は永遠に歌われ続けるフレーズだろう。
百花繚乱のGS全盛期、ジュリー率いる西のタイガースに対抗して東のテンプターズと言われ、かの吉田拓郎の「青春の詩」で「ジュリー! ショーケン! キンちゃーん! … ああそれが青春 」と歌われた事でも有名。
その後、ジュリーとツインボーカルをやった「PYG」を経てソロ歌手としても活動。活動期間が短かった事もあって、残念ながらその頃の曲はあまり覚えていない。
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だが、彼の本当の転機は俳優だった。「約束」という映画で、降板した俳優の代役として出演した事がそのスタートだった。その後、活動の幅はテレビドラマに広がった。
まずは言わずと知れた「ボス」故・石原裕次郎主演の七曲署を舞台とした刑事ドラマの「太陽に吠えろ!」1972年〜
ショーケンはGS時代そのままの長髪にスリーピースという型破りのマカロニ刑事役だった。
初回から出演し、最後は負傷した同僚刑事ゴリさん(竜雷太)の見舞いの帰り、立ち小便の直後に小銭狙いの通り魔に刺されて落命という、その後のゲスト刑事役に繋がる意外な絶命スタイルのハシリとなった。
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続いてショーケンがヘッドフォンをしながら牛乳をガブ飲みしたりコンビーフを缶のままかぶりついたりと粗雑に朝食を食べ続ける強烈なオープニングで始まる「傷だらけの天使」1974年〜
ショーケンは探偵事務所の調査員木暮修役。その弟分の乾亨役を水谷豊が演じ、「アキラ」「アニキー」の掛け合いが、当時のモノマネの定番だった。
ロケ地である代々木駅前にあった「代々木会館」は私の勤めていた会社の近くだったのでよく見に行った。外観はまるで禁酒法時代のアメリカや香港にあった九龍城を彷彿とさせる茶色と白の雑居ビルで、そのペントハウスでオープニング映像が撮影された。
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さらに、倉本聰の脚本で有名な「前略おふくろ様」1975年〜
東京の下町深川を舞台にした、照れ屋な板前の青年をショーケンが演じ、周囲の人々との触れ合いを描いた青春ドラマ。
当時まだ無名だった桃井かおり(恐怖の海ちゃん!)と故・川谷拓三を知ったのもこのドラマだった。故・梅宮辰夫が熟練の渋い板前役に初挑戦していて、それまでと打って変わった無口で、実にいい味を出していた。
番組タイトルは、主人公が母親宛に書き綴る手紙の冒頭で、劇中のナレーションもショーケンがその手紙を読む構成で、これはそのまま純が一人語りする「北の国から」へ受け継がれた手法という。
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こうしてみるとショーケンは歌手としては勿論だが、それ以上に俳優として燦然と光り輝いていたなと思う。間違いなく彼しか出ない色気があり、それが役柄を通して強烈な存在感を打ち出していた。だから観る者に忘れられないインパクトを与えるのだ。
それとは逆に私生活では、いしだあゆみらと4度の結婚、大麻や恐喝などで4度の逮捕と、まさにアウトロー的な生活を送ったりもしていた。
だが、世間はそんな彼を切り捨てずに寛容にも受け入れて来たし、それが許された時代でもあった。
それを良くも悪くも「昭和の匂い」と表現し、その匂いがまた一つ失なわれた事に残念至極と嘆く我々もまた「昭和の匂い」の一部なのだと思わされるのだった。合掌
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