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インターン薬学生

先日の日曜日、一人の薬学生(4年生)がインターンとしてウチの店にやって来た。

先月、その旨を伝える業務メールが一本あったので取り敢えずその認識はあったが、インターンの研修内容はおろか、それは彼女の大学が企画したものか、それとも企業側が企画したものかも知らされず、ましてや私の公休日の代替薬剤師の派遣などの手当ても不明瞭という、いかにもウチの人事部らしいいい加減さのままその日を迎える事となったのだった。

彼女にその辺りを訊いたら、今後、病院実習や調剤薬局実習は必修科目として予定されているが、ドラッグストア(OTC薬剤師業務)の実習は必修科目ではなく、彼女の研究室からの任意参加だったようだ。そして、医薬品のみならずドラッグストア業務全般を経験するという趣旨だという事も明らかになった。

というワケで、初日の日曜日はちょうど納品日だったので、薬剤師の役割や業務の概要の説明をした後、品出しを手伝ってもらった。この日は発注品目が200弱と多めで、加えて本部からの送り込み品もあったので、終わるまでに数時間を要した。もちろんその間にお客さん対応をする私の傍らでその様子を観察してもらった。夕刻には私がメモしておいた発注品の入力を手伝ってもらったりもした。

何せ、彼女の立場は薬学生であって薬剤師ではないし、さりとて登録販売者でもない中途半端な立場なので、お客さんの治療相談に対して答える資格は持っていない。許されるのは、せいぜい尋ねられた商品の場所を案内する程度なのだが、そんなものは初日から頭に入っているワケもなく。なまじ持参した白衣を着用しているモンだから、お客さんからすれば立派なスタッフに見えて遠慮なく尋ねて来るし、その都度私がバトンタッチするから二度手間となって効率が悪いが、これは仕方ない。

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彼女が毎日書く一枚のレポート(日誌)にコメントを書くのも私の仕事。お客さんが途絶えた時間などに、問われるまま進路の話などをしたり、薬剤の違いや選択の基準などを答えたり。それらを踏まえて数行のコメントを書く。

卒業後に薬剤師の進む道は、私の時代は公務員は別として、せいぜい製薬企業か病院薬剤部の二択だったが、近年の調剤薬局を含めたドラッグストアチェーンの拡大に伴ない、3つ目の道も出て来たと思われる。

いくら薬学部が6年制になろうとも、こと医学の知識に関しては卒業後に学ぶ事が遥かに多いし、医療従事者の一人としてその必要性は言うまでもない。その環境が最も整っているのは製薬会社だろう。特に営業職であるMRは、様々な社内研修に加え医療現場で直接医師などの医療関係者から教わる機会に恵まれている。しかしながらMRは直接患者とのアクセスはご法度で、医療関係者を通して情報を得るしかないので、ある意味の隔靴掻痒感は拭えない。近年、MR数の削減が検討されている現状で、就職先としてどこまで開かれた門戸かは不透明となって来つつある。

病院薬剤師は今や調剤室に留まらず、病棟などへ積極的に参画している。何より直接患者との接触機会が豊富なので即戦的でリアルな学習機会が得られるのは大きい。但し、病院薬剤師として修得すべき専門資格も多岐に渡り、一旦別の進路に進んでから途中参入するのは難しいと聞く。ましてやこのご時世からか退職者も出難くく、いきおい狭き門戸となっている病院も多いという。学会や講演会などを通じて最新の医薬情報や調剤技術に接する機会も他の業種に比べて多いと言えるだろう。

さてドラッグストアはどうか。この進路に進んだ場合、最もツブシが効くのは調剤薬局である。調剤薬局の薬剤師は看護師同様に人手が不足していて全国レベルで求人が多いので、より良い条件での転職もしやすい。但し、会社からジェネリック薬の推進やかかりつけ薬剤師指名などの各種加算取得のためのノルマを求められる事も多く、これが少なからぬストレスとなっているという話も聞く。保険調剤の知識とスキルを習得してしまえば独立開局する事も可能だろうが、これまた近年の医薬分業の停滞から簡単ではなくなっている。

こうして見ると、初めは製薬企業や病院などで医学知識を学びつつ経験を重ね、いずれ調剤薬剤師かOTC薬剤師としてその土地の患者に接し感謝される存在になれたら幸せなのかもしれない。何れにしても人が人に関わる仕事ゆえ、専門知識と共にコミュニケーションスキルが重要と考える。この仕事を選ぶ限り、人に興味を持ち、人と関わる事に抵抗があってはならない。特に最近の薬学生は、先輩と関わらざるを得ないクラブ活動もせずに帰宅部に徹する者が増え、加えて基本的にしゃべりが苦手な薬剤師が多いと言われるが、そこは是非改めて欲しいと思う。

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昨日で現場研修も終わり、今日は仕上げに親会社の本部に集まって半日研修を受けているようだ。彼女の日誌へのコメントには、現場で見えた事、聞けた事、知り得た事(すなわち見聞と知見)を整理・理解して、実りある人生のための進路を選んでくださいと書いた。

ウチの店の近くに自宅があると言う彼女、あと2年したらどんな道を選んでいる事だろうか。機会があればその答えを聞いてみたいなと思っている。





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COMMENT

No title

コミュニケーションが不十分なために要らぬクレームになったり、医療事故を招いたりという事例は少なからず発生していますね。
ドラッグストアでも「ありがとうございます」や「申し訳ありません」などが普通に言えないスタッフを見ることがあります。
一方、公共の場でのマナーがなっていない人もよく見ます。こちらは一般常識の欠如でしょう。

非常識とコミュニケーション能力の欠如

医者であろうが薬剤師であろうが研究者であろうが、一番必要なのは一般常識とコミュニケーション能力。

いくら専門知識や技術があっても、非常識とコミュニケーション能力の欠如は根本的な問題として残る。

そう思います。

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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコースティックギターやウクレレを弾いて70年代フォークを弾き語ったりするのが大好きです。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2などの弦楽器に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きはコンパクト欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経て2010年から「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

某企業でプロフェッショナルな社内研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、2nd Stageは頼れる薬局のOYAJIを目指したいとDgSで張り切ってます。

2013年から膀胱がんサバイバーを継続してます。無病息災よりも一病息災くらいがちょうど良いのかもしれません。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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