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前出し

「先生のお店は前出しがしっかりされていてキレイで気持ちがいいですね」

定期的に店に訪問してくるメーカーのラウンダーから、最近こんな言葉が聞かれるようになった。さらに複数エリアを管理担当する自社のSV(スーパーバイザー)も同じセリフを口にした。

「前出し」とは業界用語で、買い上げられて凸凹になった商品陳列棚の商品を引っ張り出してフェイス(棚の最前面)を揃える事で、ヘンな意味はない (^_^;)。これが出来ていると見た目にキレイで気持ちがいいので、お客さんの購買意欲が刺激されるし万引き防止効果も得られるという。それゆえ、前出しは商品の如何を問わず、小売店の基本ルーチンとして入社研修などでもしっかり教えられているはずである。

だから私はそれらの言葉に少なからぬ違和感を覚えた。競合店なども見ているラウンダーの社交辞令ならともかく、自社SVまでがそんな当たり前の事にコメントするのは変な話で、まるで他の店舗では為されていないかのように感じられたのだった。まさかねぇ。

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知らない間に台風3号が長崎県に上陸し、こちらの雲行きも怪しくなっている今日の公休日、お出かけドライブは止めて、ウチの店の近隣エリアの他店舗訪問をする事にした。それらの店舗の成功事例の抽出のための訪問と言えば大袈裟だが、商品陳列方法やPOPの文言などで参考になるものをパクって取り入れたいというのが本音である。もちろんお忍びで。

訪問店舗を選んだ基準は、第一に車で回るので駐車場のある店舗、そして常勤薬剤師が配置されている店舗である。薬剤師がいれば医薬品売り場のメンテナンスはされているだろうし、さまざまな工夫もされているだろう。これが薬剤師不在店舗だと、社員である登録販売者は他の売り場も担当しているため、どうしても医薬品売り場への注力が疎かになりやすいからである。

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それらの条件に叶う店舗がそのエリア内に3店舗存在していた。仮にA店、B店、C店とする。まず開店30分後の10:30頃にA店へ。さすがに駐車場完備の店舗、ウチの店の2倍以上の売り場面積がある。店内を見渡すと、レジや品出しなどをしているスタッフが3名くらい視界に入った。

医薬品売り場に行くと、そこには薬剤師不在を知らせるプレートが掲げられていた。偶然私と同じ公休日だったようだ。さっそく売り場に目を移した瞬間、そこには目を疑うような光景が展開されていたのだった。ほとんどすべての棚の商品が凸凹どころか、グチャグチャ同然になっているではないか!

まだ開店1時間も経っていないから、この状況は今朝のものではなく、少なくとも薬剤師が在店していた昨日以前からこうだったのだろう。それにしてもこの子供が遊び散らかしたような陳列棚では、どう見たって購買意欲がそそられようもないではないか。しかもあちらこちらに欠品による空スペースも目立つので、さらに情けない光景を呈している。

フェイスの凸凹を歯並びの悪さとすれば、欠品による空洞は歯っ欠けである。歯槽膿漏でもこれほど酷くはないだろう。

暑い日なのにドリンクストッカーもスカスカである。こんな有様だったら、邪な者が商品を一品二品無断拝借しても分からないだろうよ。

正直ガッカリした。ウチの店も公休日の翌日に出勤すると商品が凸凹になっていたりワープしている事があるが、それはあくまでも部分的だ。さらにこの状況は医薬品売り場だけではなかったところが、この店が日常的に基本ルーチンが為されていない事を雄弁に物語っていた。

残念ながら、このような店から参考になるようなものは見出されなかった。

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A店はきっと何か特別な事情があっての事だったのだろうと思い直してB店へ向かった。

B店に着いたのは11時少し前だった。ここもウチの店の2倍以上の売り場面積で、この時4〜5名のスタッフがいたが、薬剤師は不在だった。そして売り場の光景もA店と同様に、あちらこちらで前出しも出来てなく欠品も目立っていた。

A店に続いてB店まで。これは不幸な偶然なのか?

さらに唖然としつつ、11時15分過ぎに最後のC店へ。ここではレジに女性スタッフが2名と店長らしき男性がいた。やはり薬剤師は不在、どうやら火曜日を公休日としている薬剤師は多いようだ。

となると陳列棚の光景は・・・やはり推して知るべしだった。それでもA店、B店よりは欠品が少なく、フェイスの凸凹が目立つ程度だったのはまだ救いがあった。ただし、医薬品に半額シールを貼って現品限りのワゴン上に置いてあったのは疑問だった。いくら売り切り終了品であったとしても、仮にも医薬品を半額投げ売り同然に扱うのは同じ薬剤師として納得いかんわ。

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こうして他店舗訪問が(虚しく)終わった。そしてラウンダーやSVの言葉の意味が分かった。当たり前だと思ってやっていた事は、実は必ずしも当たり前ではなかった。

おまけに私が入店して売り場を回って店を出るまで、いずれの店舗でも「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」の声もなかった。スタッフと目が合ったにも関わらず。正直、ガッカリを通り越して呆れ返った次第。

日頃、休憩室に掲示されているものの、特別に意識もしていない社訓にも「我々は常にお客様の立場に立って仕事を進め、」とか「仕事はまず整理整頓から始めること」とあるが、こういう光景を目の当たりにすると、あながち無用の能書きとは言えず、それどころか再度全社に徹底すべき真理と言っても過言ではないだろう。

私だって決して几帳面だとか整理好きだというワケじゃない。だけど日々、管理している売り場のメンテナンスには自然と気を遣う。時には食料品や雑貨売り場でも前出しを行なっているし、アルバイトにも促している。自宅の整理整頓は疎かにしていても、店の顔であるフェイスの乱れはガマン出来ない。カッコよく言わせて貰えば、それが商人の家に生まれ育った私の矜持かもしれない。



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Re: mixi拝見しました

真間小の同級生の方ですね。恐ろしく久しぶりです。(^_^;)
よろしければ、メッセージにてお名前など教えていただければ記憶が蘇ると思います。
なお、Facebookでは本名でTL書いてますので、そちらもどうぞ。(^ ^)

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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコースティックギターやウクレレを弾いて70年代フォークを弾き語ったりするのが大好きです。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2などの弦楽器に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きはコンパクト欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経て2010年から「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

某企業でプロフェッショナルな社内研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、2nd Stageは頼れる薬局のOYAJIを目指したいとDgSで張り切ってます。

2013年から膀胱がんサバイバーを継続してます。無病息災よりも一病息災くらいがちょうど良いのかもしれません。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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