まさかまさかのトランプゲーム
いくら前代未聞の不人気合戦であったにせよ、ドナルド・トランプのさまざまな暴言がある意味斬新であったにせよ、最後の最後はアメリカ国民の「良識」が「よりマシな方の」大統領を選ぶだろうと私も思っていた。
結果的には総投票数ではヒラリーが上回ったものの、獲得選挙人数では大きく差をつけられ、アメリカ大統領選挙独特のシステムによってトランプの当選が決まったのだった。
トランプと言えば、不動産投資でアメリカン・ドリームを体現した成功者として、数十年前に伝記本まで出版されたビジネス界の偉大な人物である。私の本箱にもハードカバーの彼に関する本が鎮座していた。全部読んではいないけど。その彼がまさかここへ来てアメリカ大統領になるとは、まさに隔世の感、いや青天の霹靂である。
ともあれ、ここまでヒラリーが票を集められなかったとは。まして相手は常識を疑うような暴言癖の泡沫候補だったのだ。評論家は中央政府への不信が大きかったとか中流ブルーカラー層の支持が得られなかったなどと言っている。
・・・にしても、だからと言ってトランプに入れるかねぇ。これじゃまるで勢いでEU脱退に票を入れてしまって後悔しているイギリス国民に被って見えてしまうわ。アメリカの影響力はイギリスよりも遥かに大きいから、そうならなきゃいいとは思うが。
所詮は外野に過ぎない日本では、ここまでの事情を認識出来なかったのは仕方がないのかもしれないが、それほどまでにアメリカ国民のメンタリティは人種、年代、所得層、宗教などが複雑に絡み合って形成されているという事なのだろう。
さてさて、これで本当にメキシコ国境に壁が作られるかどうかはさて置き、年明けの就任後直ちに宣言するとしているTPPからの離脱は実現性が高いと見る。ならば、日本政府はもはやTPP批准の強行裁決などに必死にならず、TPP破綻後のアメリカなど主要国との二国間自由貿易協定(FTA)の推進強化に持って行く位のしたたかさを示して欲しい。
安倍首相は大統領選真っ最中のニューヨークで国連総会に出席した際、他国の首脳は保険を掛けてトランプとも会っていたのに、ヒラリーとだけ表敬訪問を受けたという外交的失態を犯している。今になって慌ててお祝い電話を掛けたり会談を申し入れたりしているが、この外務省の状況判断ミスは大きい。
トランプ勝利で昨日下がった日本の株価は、今日になって1000円近く上げている。昨年、メンドくさいからと退職金の自己運用分を「強気の日本株100%コース」にしている私としてはホッとしている。トランプもあの暴言は選挙用の炎上商法で、実はそれほど非常識な人物ではなかったとホッとする日が来る事を期待している。
あ、それと、選挙戦序盤から一貫してトランプ当選を予言していた木村太郎が、今朝からフジTVにトランプとお揃いの真っ赤なネクタイを締めてドヤ顔で出ずっぱりなのがちょっとウザい。
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