初めて見た大晦日の風景

去年までだったら10日間前後ある年末年始休暇の一日に過ぎなかった大晦日。今年は19時過ぎまで店に立ち、来店するお客さんを通して世間一般の景色を体感した一日となった。

こんな事は学生時代はもちろん、社会人となった後も初めての経験だと思う。少なからず夜更かしをした遅めの起床の後、TVでも観ながらウダウダと過ごしていつしか迎えていた年の瀬。それが一転、朝から何でそんなに買い込むのと思わせるお客さんが一定数は来るものの、やがて陽が落ちて紅白の時間が近づくに連れて飲み物とポテトチップスを買うお客が増え、遂に紅白が始まった頃から閑散としてくる店内。それらのお客を捌きながら伝わって来る一種独特な空気感。これが大晦日のドラッグストアの風景なのだった。

買い物に行く側の風景は毎年大なり小なり見て来たが、逆に定点観測のような立場は初めてだ。それにしても、三が日はどのお店も閉まっていた昔ならいざ知らず、今はコンビニを始めとして元旦も開けているお店があるのだからそんなに買い込む事もあるまいにとつくづく思うのだが、きっとそれをさせてしまう掴み所の無い強迫観念めいたものこそ年の瀬の空気感なのだろう。

そんな今年ももうすぐ終わるが、長い会社勤めから転身した薬屋のOYAJIの日々もあっという間に半年経った事になる。そしてそれは幸運にもこの職種に対して望んだ通りの毎日だった。会社勤めの頃とは全く違って社内評価などをいちいち気にする事もなく、ただひたすら相談客とのやりとりが楽しくて仕方ない。感謝の言葉をいただく事や顔見知りになったお客さんが増えて来た事も大きな歓びとなった。

ただ失敗もあった。

記憶に刻みつけたのは二つ。一つは期限切れののど飴をお客さんが買ってしまった事。前任者の残した在庫を半額処分にしたまでは良かったが、事もあろうにその一部の賞味期限が既に切れていたのだった。もちろん店頭に出す前にチェックはしていた。だがまさか同じ箱の中に異なる期限のものが混在しているとは思いもしなかったというのは言い訳にならない。期限チェックは薬剤師業務の基本なのだから、一部で全てを憶測でもって判断した私の完全なミスである。

店から徒歩15分位の購入客の自宅へ店長と二人で訪問して返金しお詫びしたが、わざわざ電話で知らせてくれたお客さんの気持ちと自分の不甲斐なさに苛まれつつ、再び店へと帰って来た事をはっきりと覚えている。

もう一つはつい最近の出来事。いつものように朝の品出し、台車に乗せられた7~8段の折りコンや段ボールを押して移動させようとした時の事だった。古い店舗のフロアの欠けた溝に台車が躓いた拍子に、積まれていた段ボールが雪崩を打って倒れたのだった。その中にドリンク剤が含まれていたから堪らない。2種類のドリンク剤が破損し内容液が漏れ出て来た。それは同梱してあった他の商品を濡らし、慌てて拭いたもののいくつかが販売不可状態となってしまった。文字通り横車を押した形になったのが敗因だったが、慣れに乗じて迂闊だったのは免れない。

自分のミスでまたもや店に損害を与えるのは許されないなと判断しかけた時、すかさず店長が「先生、それは私もやらかした事がありますよ。破損廃棄処分しますから買っちゃダメですよ」と声が掛かった。さすが店長、こちらのハラはすぐに読まれていた。

・・・・・・・

先週の月曜日まででBCG膀注療法は3回実施した。特に大きな副作用に苛まれる事もなく、だから逆にその効果に一抹の不安を抱きつつ、次回は年明けとなった。

前回の尿検査では混在する赤血球数は減少したものの、依然として異形細胞は確認されているので、まだ膀胱腫瘍に勝てた訳ではないという主治医の判断に異論はない。勝負は年越しとなった。

ともあれ、激動と破壊に揺れた一年が終わろうとしている。職場では今までと変わりなく「良いお年を」という挨拶を交わして帰って来た。「良い年だったかどうかは来年の今日にならなきゃわからんだろが」と思いつつ、これまで半分惰性で発して来た言葉の重みが今年だけは違っていた事に気付く。

そう、過去には無かった激動と破壊だったからこそ、来年こそは少しはマシな年であって欲しいと。





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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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