赤貝にリベンジ!
さて、最終目的地は決まったが、そこへたどり着く前にやっておかなければならない事がある。そう、去年の7月に東北復興支援の旅に出た際、楽しみにしていた閖上の日本一の赤貝を使った赤貝丼が禁漁期(7~8月)に入ったため食べられないという憂き目にあった。今年はそのリベンジを果たさなければならないのである!
世間の人々がゴールデンウイークで金も時間も使い果たした後を狙って、毎日が日曜日=ゴールデンマンスの私はカミさんの休みに合わせて日曜~月曜というスケジュールにした。これなら閖上への移動もさほど時間を要しないだろうし、帰りも平日なので楽だろう。閖上さいかい市場「浜や」へは座席と一日5食限定の赤貝丼を予約しておくという念の入れよう。万が一にも食べ損ねたらショックだモンね。
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雨男なんかではない私を証明するかのような快晴の空の下、午前7時に出発。ルートは開通したばかりの常磐道ルートをチョイス。これなら仙台空港ICまで一直線である。予想通り、日曜の朝なのに車の量はそれほどでもない。例によってチンタラプリウスのパイロン(プリパイと命名)が目立つものの、さすが常磐道、他の高速よりは空いている。途中でトイレ休憩を挟みつつ快調なペースを維持してひたすら北上する。茨城県は日立市、高萩市、北茨城市を通過し、いよいよ福島県いわき市へ。ここから先が新規開通した部分である。
それまでは聞いた事もなくほとんど無名だったのに、大震災を境に全国的に有名になってしまった町の名前が案内板を通して次々と目に入って来る。広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町。そして南相馬から亘理町へ。この高速ルートがなければなかなか行けなかった町。なのに名前だけは記憶に刻み込まれた町。
目に飛び込んでくる家々。中には建て直されていたり洗濯物が干されていたりと人が住んでいると思われる家もあるが、ほとんどは屋根瓦が崩れ落ち、雑草に覆い尽くされている廃屋に近い状態の家。いまだに居住制限されている地域もあったり、帰りたくても帰れない事情を抱えた家もあるに違いない。あれから4年以上も経ったというのにまだまだなんだな。
ふと道路の端に目をやると、そこには線量電光掲示板が。それがところどころに出現するのでその数字を追えば、ほぼ0.2~2mSV/hの範囲だったが、1ヶ所だけ5.4mSV/hを示していた場所もあった。これもまだまだである。
そういう現実に触れられただけでも常磐道ルートをチョイスした意味があったが、逆に困った面もあった。新たに開通した部分は片側一車線だったのだ。つまり、たった一台でもバスやトラック、チンタラ車がいるとそれがペースカーとなり、後ろに長い行列が出来てしまうのである。2~3km毎に追い越し区間の設定はあるものの、それが短か過ぎて先頭までは抜け切れない。おまけにイライラするのは皆同じなので、追い越し区間に来るとミニバンだろうがプリウスだろうが右車線に出て来るから始末に負えない。オマエらは出て来んなぁぁぁ! おかげで出口の仙台空港ICに着いた時にはすでに11時を回っていた。
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さて、1年振りの名取市閖上。
なんとか予約時間までに滑り込み、念願の赤貝丼にご対面~! 丼一杯に敷き詰められたオレンジ色のニクいヤツ。その味は数年前に仙台の高級居酒屋で味わったあの味と同じだった。赤貝によくある特有のクセは全くなく、上品な磯の香りと共にほんのりとした甘みを感じる。うん、このためだけにバビューンして来る価値アリと断言出来るわ!
お店の人に去年赤貝にフラレた事や今年の意気込みなどを話し、わざわざ東京から駆けつけたと言うと大層喜んでくれた。これでリベンジ大成功である。
思いを果たしたらいよいよ東北道から源泉かけ流しへGOである。
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15時のチェックイン開始時間にジャスト・オン・タイムで到着。何せ今回も露天風呂付き客室をゲットしたので早く着けばそれだけ長く楽しめる。しかし、客室露天風呂は一度知ったらホント止められないわ。もっとも我々の室料への許容範囲はかなり低めだから、決して豪華な部屋ではないのだが。
さてさてその露天風呂やいかに。
TV番組では宿の全浴槽を毎日洗浄し、源泉温度(約60℃)から適度な温度へ冷ましつつ供給されているという。だから衛生面や品質に問題はない。さっそく入ってみると、お湯の温度は私好みの40℃あたりではないか! 江戸っ子は熱湯好きと言うが、たぶんそれはウソで単なるヤセ我慢だろう。江戸っ子の私が言うのだから間違いない。ましてやこの温度なら自分のペースでゆっくり浸かっていられるので前立腺炎の温熱療法にも好都合なのである。一人占めの部屋風呂は誰に気を遣う事もなく。
そしてそのお湯の肌触りたるや、これまた絶品なのである! 炭酸水素塩泉類は美肌の湯と言われるが、その名に偽りなし! とろみを感じるそのお湯はたちまち肌に吸い付いてスベスベにして来る。これほど印象に残るお湯も久々だわ。今までに行った美肌の湯と言われる温泉の中では、義弟夫婦がいる鹿児島の日当山温泉、昨年の東北ドライブで訪れた宮城の松島温泉と並ぶ大絶賛の湯質と言える。これからは鹿児島や松島まで遠出しなくてもこんな近場で入れると思うと嬉しくなって来る。さすが温泉の巨匠の宿!
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大満足の食と温泉、これだけで言うことなしの780km余りのドライブだった。最近は前立腺炎のケアのために毎日往復5kmのウォーキングを日課としているので車を運転する機会も減っていた。そうは言っても来月は5年目の車検も控えていて、何だかんだで4万kmを優に超えたため、いよいよタイヤを始めとしてブレーキパッドやバッテリーなどの交換も必要になって来る。さてどうやって乗り切るとしようか。
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