またひとり・・・

話は10年ほど前に遡る。

当時、営業現場のマネジャーをしていたTは、年の瀬も押し迫っていたある日、今年も忙しさに追われて人間ドックには行けそうもないなと思っていたという。ところが、その支店の女性事務員からどうしても今年は受けてくださいとしつこく言われ、仕方がないので予約を取ったら何とクリスマスの夜だけが空いていた。

そのドックで撮った胸部レントゲン写真の肋骨の隙間にそれがいた。肺がんの影だった。あと少しズレていたら肋骨の影で見つからなかったらしい。奇しくもあの吉田拓郎に肺がんが見つかった時期と一緒だった。しかも拓郎よりも小さなものだったのでまだラッキーなのかなとも言っていた。

直ちに摘出手術を受け、大好きだったタバコも止めた。そこから数年間に再発を来たしながらも、闘病生活と共に本社の内勤業務に勤しんだ日々があった。このところ顔を見ないなと思っていたら、先週突然訃報が流れたのだった。私自身が最後にTの顔を見たのは1ヶ月前だった。転移による急変だったそうな。

Tとは合併前の会社からの同僚で学年は一つ違い、かれこれ20年余りの付き合いだった。仕事上の付き合いとはいえ同世代の友人が亡くなるというのは、特に50代も後半に差し掛かった今、とても他人事とは思えない。それでなくても学生時代の同級生達をもう何人見送って来ただろうか。Tの二人の息子はすでに社会人となっていたのが不幸中のせめてもの幸いだった。合掌


通夜の夜には不釣り合いなほど 空一面の銀の星
黒い喪服の弔問客が 今日だけは明るい路地を抜けて

出逢える人の数よりもなお 別れる人の数が増えて来た
いつかは来ると今日という日が いつかは来ると知っていた

谷村新司『玄冬記』


・・・・・・・

恒例の休日研修の福岡出張から帰宅したら、保険組合の社内報が届いていた。

そこにはかねてから寄稿していた私の去年の闘病記が掲載されていた。改めて読むと、あの時の悪夢の日々が蘇る。これからの自分は、こんな風に何があっても病気と闘ってひたすら生を選ぶべきなのか? それとも死は必ず訪れるものと諦観し、楽しめる生のみを選ぶべきなのか?

決して遠い先の事ではないだけに 思い悩むものの、来る日来る日に生きる事をこなしているだけの自分がいたりする。





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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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