温泉三昧&経済回すぞドライブ旅行 ~その1
世間ではまだ夏休み前だが、それでも日曜日とあって東北道の交通量はそこそこあった。こうなると、自車の速度そっちのけで右車線をマイペースで走り続けるパイロン、いやペースカー、いやサンデードライバーの存在に悩まされるものだが、今回は(も)私の車は助手席リミッターが適宜作動したため、巡航速度はぬえわkm以下に制御されていた。
仙台までは、何度も行き来している名古屋までとほぼ同じ距離だったので、ペース配分や休憩のインターバルなどは体感的に把握できる。おまけにBMW120iCoupeはエンジンフィールやシートなども含めた乗り心地がすこぶる良いから、全行程をストレスフリーで駆け抜けられた。7:20過ぎに家を出て、那須高原SAの朝食休憩を挟んで11:30前には現地に到着していたから、東北道は東名よりも案外走りやすいのかもしれない。
閖上さいかい市場は、東日本大震災で被害を受けた港近辺の商店が、高台に建てたプレハブ店舗で営業を再開したものである。震災の数年前に仙台の居酒屋「みのむし」で食した閖上の赤貝の鮮やかなオレンジ色とその身の厚さと甘さに感動し、震災から復興したら必ず訪れようと決めていた場所だった。
市場は思いのほか人出が少なかったが、商店街の中の「浜や」というお店に当たりをつけ飛び込む。目指すはポスターにあった赤貝丼。早速注文したが、意外や「ないんですよ」とのつれない返事。訊けば、7~8月は産卵期のため禁漁となっているそうだ。赤貝と言えば初夏からが旬、まさかその時期に禁漁期があったとは知らなかった。
落胆しつつ、カミさんと同じ海鮮丼にした。海鮮丼も12種類の具が乗っていてもちろん美味い。美味いけど、何だかやっと会いに行った娘が留守だったような虚しさを感じてしまう。こうなったら日を改めてリベンジだな。
重機が並び、堤防工事の進んでいる閖上港に立ち寄る。一角には釣りに興じる大人や子供が集まっていて復興の匂いもする。だが、振り帰って目に入る住宅地には、あの時から傾いたまま朽ちている建物が散見されるのみで、夏草が茂った空き地に新しい家などは皆無である。建設規制中なのかもしれないが、港側とアンバランスな事この上ない。
仙台市を通り越して松島へ。初日の宿は日本三景でまだ未訪問だった松島温泉にある。
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いくら休日とはいえ、いくら景勝地とはいえ、人はそこまで押し寄せるものなのか?
松島の中心街手前までの道はかなり混んでいて車が行列している。街中もハイシーズンの京都と見まがうくらい大勢の人で溢れているではないか! その人出に圧倒されつつも、車があったので取り敢えずチェックインし、遊覧船を求めて発着所に行き、湾内一周50分コースの乗船券(@1500円)を購入。時間に余裕があったので、「松島~の~」の瑞巌寺を訪ね、喫茶店で氷あずきミルクで涼を取った。
乗船時間に発着場へ行くと、そこも長蛇の列。ここはディズニーランドか! おまけに1階席の窓側は既にほぼ埋まってしまっているじゃないの。そうしたら、眺めの良い2階はグリーン席で別料金(@600円!)で提供していますとのアナウンス。冗談じゃないぞ、ボッタクリか! と文句を言う間もなく、お金で解決していた私。
さあ出航。芭蕉に「松島や ああ松島や 松島や」と詠われた日本三景の絶景を期待していたのだが、これが意外に地味。一つ一つに名前が付いているようだが、傍目には同じような岩に松が生えた小島があるだけの風景が続く。何も言われなかったら瀬戸内海の島なみ海道の方が風光明媚だと思ってしまう。松島は陸から臨むべし。
露天風呂付き客室中毒となってしまった我々には、@2万円くらいまでならそれが宿泊施設選定の最優先事項である。ここはバブルゴルフ場のなれの果てかと思うくらいの大型の和風ホテル。だが温泉は、漬かった瞬間にお肌スベスベというビックリ温泉だった。これほどのスベスベ湯は私の知る限り、鹿児島の日当山温泉以来だ。うん、このお湯だったらリピート確定だな。
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翌朝、フレンチトーストが名物というバイキングでたっぷりと朝食を食べ、部屋でもうひとっ風呂浴びてチェックアウト。いよいよ被災地巡礼である。
まずは石巻市立大川小学校跡地へ。
今は慰霊碑も建てられているが、校舎はTVで何度も見たあの時のままだった。小学校の目の前には大きな北上川が流れている。津波はここを4kmも遡って押し寄せ、この校庭で避難待機していた児童らに襲いかかったのである。地震を免れたはずの児童を含む数十名が犠牲になった。校庭にあった児童らが描いた鮮やかな壁画が殊更痛ましい。
現実の圧倒的な迫力とはこういう事なのだろう。子供たちの冥福をただただ祈るしかできなかった。
続いて、あの防災対策庁舎のある南三陸町である。ここも鉄骨だけになった3階建ての骨組みだけが何度もTVで放映された。この防災庁舎の10m以上ある屋上のさらに2.5mの高さまで津波は押し寄せたのである。防災無線で最後まで避難を呼びかけて帰らぬ人となった遠藤未希さんはこの建物の2階の部屋にいたそうだ。
自分が同じ立場だったら果たしてそれが出来ただろうか。自問し続けるしかない圧倒的な現実がここにもあった。
南三陸町にも復興商店街がある。「南三陸さんさん商店街」という。
ここでもせめてささやかに経済を回そう。この商店街の飲食店共通で提供している名物丼を「南三陸キラキラ丼」と言い、すべてが目にも鮮やかな海鮮丼オンパレードである。我々はその中から、丼一杯生うにのみというキラキラうに丼を「志のや」というお店で注文。隣のテーブルに居合わせた地元のおばちゃん達といろいろ言葉を交わしているうちに待望のうに丼到着!
丼一杯に盛られたうにの迫力もスゴかったが、一口食べた瞬間、予想以上にうにの甘さが口に広がった。このうにはミョウバンを使っていない天然そのものの生うにだという事で、それも当然だろう。さすが三陸!
ドルチェは、カミさんが見つけた自然卵「卵皇(ラオウ)」入りのミルクセーキ・フラペチーノ。味もしっかり濃くて美味。さらに地元のパティスリーのお店で焼き菓子の詰め合わせを手土産に購入。そして我々は宮城県を後にし、懐かしい再会の待っている山形県の上山温泉へと一路向かったのである。
(その2へ続く~)
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