Philosophy

いよいよ6月度研修ツアーのコンテンツ作成も終盤を迎え、予演会を通じて仕上げの段階に突入している。

実は、研修に使用する資材は社内審査を通過させなければならないというルールがある。その審査は大きく3つの部署があり、データなどがエビデンスに基づいて使用されているかをチェックする部署、コンプライアンスに則った表現が用いられているかをチェックする部署、そして総合的に専門家がチェックする部署である。要は、これら全ての段階でOKが出ないと、手塩にかけたスライドやテキストも作り直しとなってしまうのだ。

ところが最近、これらの部署の承認基準が俄かに変化している。去年までOKだった部分が今年はNGなんてのは茶飯事、極端な事を言えば、先月OKだったはずが今月はNGだなんて事も珍しくない。

これでは作成側としてはたまったモンじゃなく、タイムスケジュールが大幅にdelayしてしまうのだ。これを我々は「チャブ台返し」と呼んでいて、極めてやっかいであり、ある意味恐怖すら覚えている。今回もNGが出たためにVTRを丸々撮り直したほどだった。

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さて、その審査もどうやらこうやら通過し、いよいよトレーナー間での予演会に漕ぎ着けた。ところがここでも議論百出。

社内研修とは、会社の定めたプロモーションを成功させるために、営業部隊に必要な「知識とスキル」を提供し、それを現場で行動に移す「モチベーション」を付与するための場と心得ている。私が拘るのは、当然の事ながらその視点に立ったコンテンツかどうかという点である。

研修コンテンツ(主にパワポスライド)は原則として当該製品の担当者が、マーケ部門などのプロモーションプランを受けて作成する。だから作成者がそのコンテンツの一番の当事者であるはずだ。コンテンツの完成までには、企画原案の段階で検討する会議、たたき台のスライドベースから検討する会議、そして実際に予行する予演会と進んで行く。

担当製品のコンテンツ作成に直接関わらないトレーナーなどは、そういう段階になって全貌を目にする場合が多い。不思議なのはそれまで散々検討して来たはずなのに、新たに気になる点などが見えて来るという事。だからと言って、いい加減なコンテンツのままでハイ終わりというワケにはいかない。

そんな時、私はまず作成者へその理由を訊く。当事者意識を持って作成しているのならその意図(philosophy)をすぐに説明できるはずだ。意図が明確に伝わって来ない場合や安易に作ったなと判断された場合は遠慮なく異議を唱え、場合によっては作成者を問い詰めながら代替案を導き出す事もある。

いっそ、こちらが引き取って考えた方が時間のムダにならないという意見もあるかもしれないが、それでは作成者に当事者意識を放棄させる事になり、いつまで経っても本人に実力が付かない。時間は掛かるかもしれないが、これもOJTの一環だと考えている。

受講者が「知る歓び」を満足させるためには、まず「解りやすさ」があっての話。だから研修コンテンツは、伝えたい意図を伝える側である作成者の視点で検討し、同時に伝えられる側である受講者の視点でそれを捉える必要がある。

送り手の意思が受け手に理解されてこそ目的は達成される。送り手とは言うまでもなく作成者も含めたトレーナー全員である。だからこそ、ここに妥協をしたくないのだ。

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研修の中には、受講者にテーマを与えて考えさせ、グループ討議などでまとめてもらうという「演習セッション」がある。そんな時は、同じテーマの参考例などを予めこちらで用意しておいて、演習の最後に受講者へ提示し持ち帰ってもらう場合がある。

ここでも私は拘る。持ち帰ってもらう、即ちそれは「お土産」であり、そこには現場活動のヒントとなるクオリティが要求される。それが演習で簡単に導き出される程度のものや通り一遍のものだったら誰が喜ぶだろうか?

仮にもお土産として作成したからには、「視点の意外性(アイデア)」と「現場で使える感(リアリティ)」に満ちていなければならない。だから大いに考えて作成しなくてはならないが、これがかなり難しい。

私はよくメンバーに「死ぬほど考えろ」と暴言を吐く。昼となく夜となく必死に考えているとある時、ふと閃く瞬間がある。それを私は「神が降りた」と表現するが、その経験が次の機会に生きて来る。その蓄積が実力となる。

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こんな事をここで書いてみたところで、ウチのメンバーがこれを読む事はまずないだろう。

時々、敢えて嫌われてまでもトレーナーを育成するなんて事が辛くなって来るし、そもそもトレーナーはそれぞれがindependentな存在なのだから、自ら気付き、自らレベルアップして行くべき職種だろうと思っている。

けれども、研修の向こうには受講者がいる。そのためにだけ今日も鬼になってるバカがいる。自嘲





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Chaie<チャイ>

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最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

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