ギター実験室だより
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まずはギターに張ってあった新品の弦(おそらくMartin SP Phosphor Bronze Medium)をチューニングして弾いてみたところ、D Styleに特徴的ないわゆる「ドンシャリ」が意外にも弱く、低音部の「ボンボン」と高音部の「シャラシャラ」が合わさったような「ボンシャラ」的な音質だった。これは若いギターに見られる「硬さ」なのかもしれない。
若いギターの硬さ対策をさっそく調べてみると、それはギターに限った事ではないらしいが、楽器というのは製造後に弾き込まれていない状態では単なる木箱みたいなもので、板が自ら振動して鳴るという事に慣れていないらしい。大手メーカーの高級品は、大音量のクラシックを聞かせたり、人工的な振動を与えて振動慣れをさせてから出荷しているとも。
そこで浮上したのが「ギターのエージング」だった。
ローコードとハイコードをカポなどを使って一弦ずつ弾き込む方法や、粘着テープで張り付けたものをスピーカーにして音を出す「ナンデモスピーカー」なるもので数日間音楽を再生し続ける方法などが検索できた。
さっそく両方の方法で実験。ローコード&ハイコード法で何度も弾き、ナンデモスピーカー法で弾かない昼夜の時間帯に数日間再生し続けた。
するとどうだろう。明らかに音の出が変わったではないか! 各弦の音のメリハリや音量が確実にアップしたのが体感できたのである。調子に乗った私は再生音楽をロックギターだけでなく、カントリーやクラシックを取っかえ引っかえしてみたのは言うまでもない。バラエティ豊かな音を表板に響かせてやりたいからだった。
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続いて弦そのものを検討した。
何せフルスケールのギターを本格的に弾くのは久しぶりなので、Medium弦だとテンションがキツくて指先が痛くなってしょうがない。おまけにMedium弦でストロークすると近所迷惑にもなりかねない大音量が発生してしまうのである。
という事で、新しい弦を交換してしまうのはもったいないが、ダダリオのCustom Lightに替えてみた。同時に、デフォルトの牛骨製のブリッジピンを外し、試しに購入しておいたブラス(金属)製のピンに替えてみた。
案の定、弦のテンションは弱まり弾きやすくなった。音量も抑えられた。だがブラス製のピンは失敗だった。シャリシャリ感とサスティーンは強調されたようだが、いかにも金属的な音質となり、フォーク路線の私には少なからず違和感が感じられた。
次に試したのはブリッジと同じ材質のエボニー(黒檀)製のピン。一般にブリッジと同じ材質のピンは相性が良いと言われるが、その通り! まさにD Styleの「ドンシャリ」感が出て来たのだった。かといってデフォルトの牛骨製ピンほどのシャリシャリはない。もしかしたらこれがベストマッチかも?
最後にミニギター用に購入したローズウッド製のピンも試してみた。これはエボニーよりもさらに音質がマイルドになると同時に低音から高温までまとまりが出たように感じられた。全体的に派手さが弱まり地味めに振れはしたが、部屋弾きであれば音質、音量共にこれで問題はないだろう。
ピンの材質一つでこれほど音に変化が出るとは驚きだったが、総合評価ではエボニー製のピンに、Custom Lightに比べてもう少し力強さの出るLightゲージの弦がピッタリだろうとの結論に達した。次回の弦の張り替え時にその組合わせでいこうと思っている。
あ、それと弦に通してボールエンドを球形にする金属アタッチメントも使ってみよう。弦振動が十分伝わり、ブリッジピンの特性とギターのポテンシャルが向上するらしい。
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ギターから漂って来るバニラのような甘い香り(一説にはその香りは木材ではなくワックスのものらしい)に酔いながら、かわいい愛器をじっくりと育てて行こうと思っている。
私が死んだ後あたりに良質なヴィンテージギターとして評価される事を夢見て。
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