あこがれがやって来た
実は狙っていたギターがヤフオクで落札出来た事をカミさんには報告していなかった。2日前の深夜にホテルで落札、即入金、翌日発送そして到着という速い流れであった事と、もしかしたら問題ありの品だったりしようモンなら、何を言われるかという一抹の不安があったからだ。
はたしてギターは幾重もの梱包の下にいた。防水テープで固められたダンボールの中にはギッシリの緩衝材、それをのけて引っ張り出した頑丈なハードケースを開けるとさらに薄い柔紙に包まれていて、それをめくってようやく本体がお出ましになった。その瞬間、こんな丁寧な包装のブツが仮にもまがい物であるはずがないと確信を持った。
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「うわっ、ずいぶん大きいのねぇ!」
これがカミさんの第一声。それもそのはず、20年以上前にトップを踏まれてひびが入って処分せざるを得なかった生涯2本目のギターだったYAMAHA L6以来、我が家にはフルサイズのギターが存在しなかった。
これは私自身の怠慢でもあったのだが、コンパクトな取り回しとメンテナンスのしやすさという点で、スピーカー付ミニエレキのZO-3、さらにFENDERのアコースティック・ミニギター、極め付けはYAMAHA EZ-AGという電子ギターへの体たらく遍歴で今日に至っている。
そこへ来て、U氏のGibson J45 True Vintage、N氏のMartin D28衝動買いがキッカケとなってフルサイズギターへの回帰、それも40数年来のあこがれだった高級ギターの購入に至ったのだから人生は分からない。50年以上生きて来て一生モノのギターとの縁が出来たというワケである。
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早速、お決まりの記念撮影を済ませ、チューニングしてジャラーン。
「うわっ、音が良いのはさすがに分かるわねぇ!」
これがカミさんの第二声。そりゃそうだ、でなければ大枚はたいた意味がないじゃないの。でもストローク、スリーフィンガー、アルペジオと弾くうちに、さすがに2012年製、まだまだ音がとんがっているようにも感じた。そもそも購入に当たっては数十万円するヴィンテージギターは当然射程外だった。かと言って新品というのも避けたかった。
Martinであればスクエアロッドからアジャスタブルロッドへ移行した1980年代後半以降から2000年前半くらいまでの程度の良いものを探していた。事実、最終候補のひとつは1999年製の000-28だった。これは実物を楽器店で弾いてみたが、なかなか良いジェントリーサウンドを奏でていた。思わず「これください」と言いかけたほど。
ところが私と縁があったのは、あにはからんやMartin D28Mの方だったのである。
D28Mは、トップやサイド&バックに希少材が使われている点が大いに気に入ったのだが、いかんせん製造年が若い。もともと迫力のある音が前面に飛び出してくるD28だが、若いとなればその音もまだまだ固く感じる。枯れた熟成音を奏でるまでに育てるには相当数の時間が必要だろう。
もはやウチの息子共は可愛くもなんともなくなったけど、このギターは十分いとおしいから大事に育てて行こう。
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新しいギタースタンドやカポタスト、ハードケース内の湿度調整剤などの備品をオーダーして再び研修ツアーへ。
今週はこの後東京会場、千葉会場と転戦する。今週が終われば受講者の反応や質疑も一段落し、コンテンツのシナリオも固まって来るだろう。極めて短時間ではあるものの、これも熟成という過程である。もちろんバカ受けする(はずの)取って置きギャグも固まるだろう。ふふふのふ
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