この憤りは何だろ壊?
翻って、本社組織は未だに不明の部分が多い。決まっているのは、現場同様に人員の大幅削減である。我々研修部門はコールセンターを除いても40名以上を擁する組織なのだが、最終的には半分以下に削減されるとの見方が濃厚だ。新組織編成といえば聞こえはいいが、要はリストラである。その青写真を外部コンサルタントに委ねているとなれば、業界でもトップクラスの組織となったこの研修部門が真っ先にターゲットになるのは必然だろう。
新組織で想定される人数に絞り込むためには、まずは年齢というラインで切る。特に50代のベテランはロックオンされ、半ば強制的にでも早期退職制度を勧められるだろう。続いて、若手の営業資格認定保持者。これも営業現場へコンバートしやすいだろう。
ベテランでも薬剤師免許を持っていたりすれば、年収は半減するが最後は薬局勤務という道もある。それを持たないベテランは厳しい。もともと転職が難しい年齢層である上に、昨年から大手の製薬企業が同じような早期退職制度やリストラを行なっているため、この業界は完全な買い手市場と化している。巷には同じように転職を求める業界の人間で溢れているのだ。
ましてや我々のような学術研修トレーナーは、同じように経費節減を行なっている企業ばかりの中で新規の求人などそうそうあるはずもない。プロモーションの成果向上や営業部隊のレベルアップのために研修の持つ重要性は揺るぎないとはいえ、無い袖は振れまい。何せ研修は先行投資であり数字に表れ難い、すなわち利益として目に見え難いという性格ゆえ、研修に投資するというのは、企業にそれだけの余裕があってこそ。
結果、研修効果の高いFace to Face形式の研修スタイルからデジタルコンテンツによる一方通行的な研修手段となるだろう。その方が会場費や出張費が掛からず、はるかに安上がりだから。もちろん効果などは二の次。必然的に研修部門はコンテンツ作成とWeb研修のナレーターが主業務となり、来る日も来る日もその繰り返しとなるだろう。
企業にそれだけの余裕が無くなったのだから方向転換する。それはそれで仕方がない。だが、そういう後ろ向きの方向転換や削減策は、同時に今まで積み上げてきたトレーナーのスキルやコンテンツ作成のノウハウなどの財産が途切れるか消滅してしまう事をも意味する。
ここへ来て、私がふつふつと憤りを感じるのはこれだった。
今まで必死に自身を高め、それを研修の場で発揮してきたものがあっという間に水泡に帰し、去って行く人と共にそれは二度と戻らない。そもそもそれを発揮できる場も残されない。
ならば、これまで長い時間をかけて作り上げ培ってきたのは、いったい何だったのだろうか? 業界トップランクになるための大いなる戦略の一つだったはずだ。リストラしたらハイそれまでよってか?
そして未だに新組織のメンバー配置すら示されないのはどういうつもりなのか? 遅れれば遅れるほど社員の不安は増加する。良くも悪くも早くはっきりしてあげないと動くに動けないだろう。
こういう時こそ会社の良心というものが垣間見えるものである。ああ、ここはそういう会社だったんだ。