やっぱり壊!
それでも今の会社の今の業務は、中学時代に国語の授業で相当シゴかれた恩師の影響もあって、願わくば「教える」という仕事をしたいと思っていた希望に合致し、とてもやりがいのあるものだった。多少はその資質にも恵まれていたのかもしれないが、数十人いる研修トレーナーの中でもトップクラスという評価もいただいて来た。言いたい事も言い、やりたい事に邁進して来られたこの10年余り。このまま後3年、いや、定年後の再雇用までも見通せていたはずだった。
先日の早期退職制度の発表に続いて、昨日、営業の新組織が公示された。
大方の予想通り、営業組織はかなりスリム化され、得意の領域別営業部隊も統廃合されるようだ。もっとも、その目的があればこその早期退職制度や組織再編なのだから、スリム化は当然の結果と言える。それが同時にこの会社の現状をよく表しているとも言えるが。
新組織になると我々の学術研修部門は事実上解体されるのだが、問題はそのトップのHさんを始めとする管理職の誰一人として新組織の責任者に任命されていなかったという事実である。仮にも本社内では50名以上の大型組織なのに、である。
これは多分に新組織における社長直下の3人の本部長の意向によるものだろう。特にその中で今一番影響力のあるNさんの意向、すなわち自分の考えに異議を唱えないイエスマンおよび自分よりも経験のある年長者以外のメンバーを選択した結果だろう。事実、新組織の研修担当と思われる部署のトップはこれまで会った事も話をした事もない人物だった。おまけにその下のマネジャーは新組織の営業マネジャーに入り切れなかったメンバーのコンバートで埋められていたのだった。
これが意味するものは、これまでの研修部門の在り方の否定と今後の研修方法の変更である。という事は、私が大好きだったFace to Faceの集合型研修が今後はバーチャルな手法にとって代わるかもしれないという事である。少なくとも集合型の研修の機会は激減するだろう。今後は研修担当者のメイン業務はトレーナーからコンテンツ作成に移っていくに違いない。そうなってしまえば、それを手掛けるのは必ずしも私である必要もないという理屈になる。
私の今までの転職の理由は、その都度新しく魅力的なステージや環境が現れたからであって、決してその時の現職に大きな不満や不安があったからではない。でも今回の状況は違った。私は初めて落胆し、呆れ、憤りさえ感じたのである。前向きの変革ならばいかようにも受け入れるし、これまでもそうして来た。だがこれではあまりに個人商店的な好き嫌いが前面に出過ぎた人事ではないのか。
今朝、Hさんが私のところへ来てポツリと「相当嫌われていたのかなぁ」と呟いた言葉がすべてを語っていた。
正直、早期退職制度が発表されて以来、割り増し退職金をもらって新天地を探すか、後3年なのだからこのまま頑張ってみようかという思いが交錯していた。そもそもこの年齢で転職しても思ったような職種に出会えるかどうかもわからないし、収入はおそらく半減するだろう。だから、今後多少の不自由さが生じても、出来ればこの仕事を全うしたいとも思って来た。
人はパンによってのみ生きるにあらず。なのかもしれない。