銀河鉄道の夜ふたたび
盛岡には2年前の12月に仕事で来てエラい目にあった。ま、単なる私のワガママなのだが、今回は夏の終わりの研修ツアーという事でお鉢が回ってきたのである。
ならば、過去に同僚が行って感激したという店に行かなくてはなるまい。「番屋 ながさわ」である。内陸の盛岡にあってここの魚介類はイチオシと言う。特に蒸した生ウニをトコブシの貝殻に盛って焼いた「焼きカゼ」は絶品と言う。ただしお値段はちと高め。
確かに店の入口のしつらえからして安い店には見えない。だが、まだ7時だというのに八分目まで客が入って賑わっている。人気のある証拠だろう。さっそく焼きカゼと刺盛り、それに自家製塩辛と穴子天ぷらを注文。生ビールを飲みつつ壁に目をやると、そこに書かれていたのは定番メニューには載せていない品々。岩ガキ、貝の刺身、真カレイ、アワビステーキ、前沢牛ステーキなどなど。ウマそうだが、どれも値段が書いてない!
やがて注文した品が次々と到着。貝殻に盛られた濃黄色の焼きカゼは子供の拳くらいの大きさ。幾重にも盛られたウニにスプーンがスッと入っていく。皿に移して箸で一口。破顔一笑とはこの事だ。ほっこり! 甘い! 香ばしい!
傍らの丼一杯の氷に載せられた魚名の表札付き刺盛りと黄土色の塩辛を見た瞬間、「こりゃあ、ビールや焼酎じゃツマミに失礼だ!」と、すぐさま菊の司の吟醸(500ml瓶)を注文。この酒、どの料理とも相性抜群で進む進む…。
ふとカウンターを見やれば、いかにもワケありカップル然とした2組の客の前に、大きな毛ガニがそれぞれ鎮座している! そういえば、去年来た50代男性と30代女性の同僚が、店長に毛ガニを勧められ、ついに断れなかったという話を思い出した。なるほど、店長もしっかり客を見とるわ。
調子に乗りついでに真ツブ貝刺と真カレイの唐揚げを追加。終わってみると2人で日本酒の瓶が4本、2リットルが消えていた。お勘定も@9000円強と、毛ガニを食べさせられた同僚と同じくらいになってしまった。またもや半分が酒代だ。
ともあれ、2年ぶりの銀河鉄道の夜に乾杯!