Ichiro's way
イチローのシーズン最多安打記録は262本で終了した。
84年前の258本の記録を更新したのはスゴイとしか言いようがない。TVの解説で何度もやっていたが、しなやかな肉体と強靭な筋肉による絶妙のバットコントロールが最大の武器だそうだ。ピッチャーの変化球をスイング途中で修正しつつ芯で捉え、広角に打ち分ける。加えて俊足が内野安打を量産する。彼であるからこそ成し得た偉業であると言える。
メジャーリーグのヒーローは長い間ホームランバッターだった。
力で投げてくる相手の珠を、力で打ち返しスタンドに運ぶ。あるいは逆に、剛球で彼らを押え込むピッチャー。そんなダイナミックな戦いがファンを魅了し続けてきた。いつのまにか選手は筋骨隆々となり、その点が日本の野球と選手がメジャーでは通用しないと言われた所以でもあった。
ところがイチローは違った。
メジャーのパワーとスピードに負けない筋力増加を図ったものの、持ち前の技術と足は殺さない。外観はあくまでスリムな印象でありながら右に左に打ち分け、足でヒットを稼ぐ。守備でも強肩を生かし、レーザービームのバックホームでクロスプレーを演出する。アメリカ人がそれまで想像していたヒーローのイメージとは全く違うヒーロー像を具現化した。だから新鮮であったし、賞賛されるのだ。
今まで日本人選手は、メジャーのパワーに対処できるか、メジャーのようなピッチングができるか、メジャーのようなバッティングができるかという事が、メジャー行きを左右してきた目安であった気がする。それでも何度も破れ、挫折してしまった歴史がある。
イチローのメジャーでの生き方は、これからメジャーを目指したい選手にとって、とてもいいヒントを与えてくれたと思う。