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武蔵、敗れたり

研修は今日から東京場所へ。大阪と同じ内容の1.5日だが、新宿は小滝橋通りに面した会場で、大江戸線で3駅と家から近いのはありがたい。

小滝橋通りと言えば、かの有名なラーメン店「麺屋武蔵」がある。実は、名前は知っていたものの、東京にいながら一度も行った事がなかったのだ。行列を避けるために昼休み突入を13時まで遅らせ、トレーナー同士で200m先の店を目指した。

平日の遅い昼の時間帯が幸いして、カウンターを囲む店内の壁際に5~6人が立って並んでいただけだったので、さっそく券売機に向かった。ラーメン、つけ麺、冷やし麺等があったが、初めてなのでラーメンにしようとしたが、これが何と750円。味玉付きは850円、チャーシュー麺に至っては軽く1000円越えである。場所柄を考えてみても尋常とは言えない値段だろう。

庶民の食べ物だった「素」のラーメンは、今時の物価を考えてもせいぜい600円までだ。だから私は、かねがね700円を越す値段の「素」ラーメンには、よほどの理由がなければならないと思っている。しかし残念ながらそこに納得できたラーメンは今までに数少ない。それでも天下の麺屋武蔵ならと、思い切って750円を投資した。

やがて出てきたのは小ぶりの丼に入った魚介系の風味が目立ったスープと太麺、シナチク、チャーシューだった。スープの色は濃いが、味はそれほど濃くはない。麺は、一度に多くのラーメンを同時に作っているせいか、太い割りに歯ごたえがやや足りない。要するに茹で過ぎ気味なのである。

絶対量が少ないため、かなり早く食べ終えたが、総合的には中野の「青葉」と同じ系統という印象を持った。こういうダブルスープのニューウェイブ系のラーメンは、出始めの頃はモノ珍しかっただろうが、今となっては可もなく不可もないといった程度だ。それゆえ750円がいかにも高い。おまけに若い従業員が仕切っているだけで、あの名物創業者の影も形もない。すでに現場に立たない経営者になってしまったのだろうか。

後で受講者の一人から、かつて1時間行列したと言う話を聞いたが、そこまでして食べる値打ちがあるかは大いに疑問である。少なくとも私はもう結構だ。明日の昼食は地鶏の親子丼でも行くかな。




福島満喫!

結局全快には至らず、シクシク腹を抱えたまま出社し、抜けられないミーティングをこなした後、大阪移動。チェックイン先は福島のホテル阪神。狙いは、かねてから予約していた鳥焼き屋。ここ福島は、串に刺して焼かれたものが供される「焼き鳥屋」と、網や七輪で自分で焼く「鳥焼き屋」が入り混じって鎬を削っている激戦地だ。

大小20軒以上ある店の中で、以前訪れて満足できた「一本松」ではなく、新店開拓の意味を込めて「とり藤」をチョイスした。やや大型の店舗だけに一抹の不安を覚えていたが、もしもダメだったとしても二度と行かなければいいだけの事だ。

ところが、これが大当たり! 関西出身の同僚が、刺身盛り合わせのレバ刺しを一切れ口に入れた瞬間、「う~ん・・・」と唸って言葉を失った。次に運ばれてきたタタキのポン酢和えの時も同じ。「これだけあればもうええわ~!」である。

さらに注文したのが地鶏各部位の鳥焼き盛り合わせ。私のこだわりの膝ナンコツも入った網焼き用の盛り合わせである。ちなみにここでは焼肉用の網で自分で焼く。自分で焼くから「鳥焼き」なのが、言うまでもなくここいらの流儀。

さらにサラダやらアナゴの天ぷらやらのサイドオーダーも次々注文し、文字通り鶏肉三昧を堪能した。しかもこの店、毎週月曜は100種類以上ある焼酎が全て半額という。そう、この日は月曜だ。

それやこれやで3人が腹一杯になったところで会計。半額をいい事に片っ端から焼酎を飲み干しても何と@4000円だった。ここもイチオシ間違いなしだろう。しかもこの店は福島でも古株の老舗だったという事も判明した。やっぱり福島恐るべし。

店を出てふと右の方を見ると、そこに「カラオケスナック」の看板。そういえば最近歌ってないなと思いつつも、かつて痛い目に遭った道頓堀伝説が頭をよぎる。今夜は女性1人を含む3人組なので、事前に値段交渉をしなくてはならない。すると店の老マスター曰く、「ウチは均一料金で、ワンドリンク歌い放題で3000円です」だと! 後から老ママも合流し、最後まで貸切状態のままフィナーレを迎えた。

研修前夜だというのに3人揃ってこれでもかと歌いまくった。でも実はこれが翌日に酒を残さない秘訣ともなったのである。エネルギー発散とアルコール消毒のせいか、私の腹痛もすっかり失せた今日、無事に長丁場の一日研修をやり遂げる事ができた。

・・・・・・・

で、研修初日終了後のちょっと早い今夜、打って変わって魚介類の名店「大黒 福島2号店」へ。この店に連れて来られたヤツは必ず感激する。今夜もかねてから同僚に言っていた、「メニューにある刺身の端から端まで注文して大皿に盛ってもらっても、せいぜい4000円前後」を実証する時が来た。

今夜は2人だったので少し抑え気味に、生マグロ中トロ、ヒラメ、関アジ姿作造り、ヤリイカ、生サバ、ツブ貝、サザエを盛り込んでもらった。これではとても4000円までいかないものの、その同僚、またまた目を剥く。何せ見た目は高級料理屋の豪華刺盛りと遜色ないのだから。

刺身の他にも煮物、揚げ物、焼き物などさんざん注文し、先日旅行で行った指宿市山川の芋焼酎「龍乃中落ち」のボトルまで飲み干して@4000円は予定通りの安さだった。生まれ育った東京の下町と同じ臭いのする街、大阪福島。ここに住めたらホント幸せだろうなと思った。

始まりの早かった今夜は切り上げも早く、ホテル阪神の誇る天然温泉スパに初めて入る事ができた。このホテルには何度も泊まっていながらも、ついぞ入浴する機会がなかったので期待は大きい。果たして21:30を超えた時間帯の入浴客はほとんどなく、ジャグジー独り占め状態で温泉満喫。これまた大満足の健康的な大阪の夜が展開したわけである。

かつては「この街のどこが食い倒れなんだ!」と訝かった大阪だったが、ここ数回の福島行脚により全てが払拭された。これで今後の大阪の定宿と店はここ福島の地に決まったも同然。なあに、天満のテッチャンが食べたくなったら車を飛ばせばいいだけの話である。




高崎って・・・

3年前に新宿のオフィスから本社の今の部署に出戻って以来、不思議に初めての高崎出張。ここ群馬の部署は、新潟の部署と相互開催システムで、前回の研修会場は長岡だったが、もちろんそこへもまだ行ってない。また、今回の相棒は埼玉会場での研修終了後に移動して来るため、図らずも「一人高崎」となったのである。

朝からオフィスで雑用を片付け、夕方の新幹線で移動、駅前のホテルにチェックインした後、晩飯を求めて駅周辺を彷徨う。事前に幾つかの店を調べてはいたが、お一人様に適当な店もなく、かくなる上は行き当たりバッタリで飛び込んでやれと思った。まずは無難な駅ビルのレストラン街へ。予想通り全スカ状態。で、駅前ロータリーに出た。

ロータリーの一角に小奇麗な寿司割烹があったが、覗いたカウンターは数組の二人連れが占めていたので断念。まあ、値段も少々高めだったし。他はチェーン居酒屋ばかりでめぼしい店もなく、仕方なしにロータリーの外へ出てみたら、さほど店が見当たらない。やがて大きな赤い看板が目に止まった。

見れば焼肉屋。いきなりカルビクッパが食べたいなあ、という気がムラムラと。それに焼肉屋ならお一人様でもゆったりできるだろう。そう思った時にはすでに入口の扉を押していた。案の定、案内された席は4人がけのボックス席。しめしめである。

さて、まずはメニューを見る。そしてビックリ。なんとホルモンにテッチャンなく、肉にハラミなしと来たモンだ。ホルモンはホルモンとあるだけ。肉はロースとカルビのみ。仕方ないのでそのホルモンとレバー焼、ユッケを生ビールと共に注文した。人手が足りないらしく、広めのフロアを女性店員が一人だけで切り盛りしていた。テーブルにはコールブザーがあるにも関わらず、奥の席から店員を呼ぶ客の声が響く。

やがて運ばれてきたホルモンを見て再びビックリ。生ではなく、湯通しされて味噌ダレに絡めてあるこの姿、これってスーパーで売ってる「こてっちゃん」とほとんど同じシロモノだ。仮にも焼肉屋でこれはヤバイだろ! ユッケに乗ってるのも黄身じゃなくて温泉卵だし! 早々にカルビクッパで〆て退散したのは言うまでもない。カルビクッパはまあ及第点だったけど。レジの横の額には「信頼と実績で北関東に30店」の文字。・・・はぁ。

結局、一杯きりに終わった生ビールのカタキをコンビニで買ったスミノフ・アイスで取り、一緒に買ったシューストリングポテトで胃袋のスキマを埋めたのだった。

それでもこの店、月曜夜7時過ぎでほぼ満員。それもほとんど地元の客だ。高崎ってこんなレベルなの?



名古屋で焼肉もアリだわ

研修ツアーの2会場目は、いよいよ名古屋。3月に続いての連チャンで、2泊3日というのも一緒。かつて2年ほどいた古巣の支店なので気持ちは楽だが、問題は食い物屋である。何せ名古屋はジャンクフードの聖地だ。で、先日、名古屋から出張して来た同僚にその事を嘆いたら「ならばお任せあれ!」という事で、前泊移動の昨夜セッティングしてくれたのが「焼肉旬菜 松庵 東桜店」だった。

彼曰く、芸能人もよく来る店で、何はともあれ前日までに要予約の裏メニュー「つぼ漬けカルビ」がイチオシなのだと言う。「名古屋だからって、まさか八丁味噌にでも漬けてんじゃなかろうな?」とクギを刺しておいたが、どうやらそうではないらしい。そりゃそうだわな。

店は、イメージしていた小汚い店とは対極のモダンな造りだった。さっそくメニューを眺めると、定番の牛豚鶏肉に加え、ホルモン類も充実している。しかも、そのどれもに相当なこだわりを持っている事がうかがい知れる。これは期待できる。遅れて到着した女性同僚が揃ったあたりで、宴は本格的にスタートした。

小手調べで注文したレバ刺しやユッケなどの生モノのクオリティは高い。次はホルモン。中でも私の好物の「テッチャン(シマ腸)」がまたいい。今のところテッチャンが日本一ウマいと思ってる大阪天満駅前の「とみや」のものより肉厚で脂も落としてある。これが抜群の歯応えを生み出し、今夜はもうこれだけでいいわという満足感すら与えてくれる。2人前があっという間に消えた。もちろん速攻でお替りだ。

その後、女性達には鉄分豊富な焼レバをしこたま食わせ、ハラミが片付いたところで、いよいよ本日のメイン「つぼ漬けカルビ」だ。野菜が上に乗った陶器のツボの中から、何と30cmはあろうかという太いバラ肉(カルビ)がお出ましになった。まるでヘビのようである。それを折り曲げながら網に乗せ炭火で焼き、焼き上がればハサミで一口大に切って、後はかぶりつくのみ。激ウマ! ツボには2人前2本(計1メートル!)が入っていたが、4人でちょうど良いボリュームである。

焼酎ボトルが2本目に入ったあたりで、例によって記憶がボヤける。〆のゴハン物すら不要なほど肉を食いつくし、@7000円弱だったらしい。男女2人ずつとは言え、この味と質なら十分リーズナブルと言っていい。次回はクッパ類もぜひ食してみたい。・・・と書いたところで、しっかりカルビクッパと石焼ビビンパをシェアしていた事が同僚の言葉から判明! 道理で朝食が食えなかったワケだ。

それはともかく、「名古屋で焼肉」は大アリだった。

今夜は3月に行った魚介中心の居酒屋を予定しているが、同僚が食い過ぎでハラを壊したらしい。なので、今夜はどうなるかわからない。それと、名古屋と言えばPOOBメンバーが最も多い地区で、ぜひとも一杯やりたいところなのだが、なんせ仕事で来ているし同僚を置き去りにするわけにもいかず、敢えて連絡しない事にしている。いつの日か単独行の機会があれば、その時は遠慮なく電話させてもらおうと思っている。御免



ささやかな就職祝い

今日からカミさんが看護師として勤め始めた有料老人ホームは、以前まで勤めていた所に比べ大型の施設で入所料も高い、いわゆる高級施設だ。ただ、大手損保会社の経営という事もあり、仕事の効率が悪く、随所にムダが目立つらしい。それでも入所者からは高い金を取ってるので治まってはいるらしいが。

ともあれ、1ヶ月チョイぶりの仕事復帰を祝って、今年の2月に行き始めた代々木の「COVO」に席を取り、今からが本格的な旬を迎える岩ガキを中心にブルゴーニュの白ワインをあわせて、ささやかな就職祝いをした。

今日味わったカキの中では、大分産の「豊後」という岩ガキが出色だった。大振りの身にしっとりとした甘さが溶けていて、一口噛んだとたんにそれが口中に広がってくる。名前の通り豊かな味わいだった。価格も@1000円程度と、天然の岩ガキにあって比較的リーズナブルなのも気に入った。

次にオーダーした鎌倉産の有機野菜を使ったガーデンサラダも野菜本来の味わいが感じられ、カミさんも嬉しそうにしていた。さらに津軽地鶏の網焼きもシンプルな岩塩の味付けが生きていて、地鶏のジューシーなウマさを堪能できた。ヘタな焼き鳥なぞよりよっぽど満足できるに違いない。

〆は、ここの名物の一つである定番「車海老と渡り蟹のトマトソースのスパゲッティーニ」だ。エビとカニのコラボレーションは何にも替えがたいシーフードである。

今夜の食事は、半分は昨日のPOOB総会単独参戦への罪滅ぼしでもあったが、2人という最少人数で1本のワインボトルをじっくり飲むのもオツなものである。いつもならとっくにビールから日本酒、その後にやっとワインへというペースだからして、それはワイワイやる人数でこそやっと許される品のよろしくない光景なのだ。大人の時間はゆっくりじっくり静かに過ぎるが良い。

明日は来月から始まる研修ツアーのうち、私の担当製品の予演会が始まる。カミさんだけでなく現実に向かい合わねばならないのは私も一緒だ。



20杯のバーボンと引き換えに

3日間自主禁酒していた同僚と他部署の同僚とを連れ、いよいよ決戦の時は来た! 今日こそは、何としてもはずれクジ5枚のエレキギター型の光るピンバッジをゲットするぞ! とは昨晩の出来事。

早くも18:30前に入店。プロント夜の部とは言え、この時間帯だとまだ2人連れのコーヒー客などがそこここにいる。我々は空いている奥のテーブル席に陣取った。まずはリーズナブルなマグビール&ディッシュセットでウォーミングアップ。

やがてテーブルにはジャックダニエルのソーダ割り、ライムミント割り、生グレープフルーツ割りなどが並んだ。厚岸産ツブ貝のガーリックグリル、キビナゴのカルパッチョ、牛すじとポテトの煮込みなど、昼のプロントでは考えられないメニューの数々に舌鼓を打ちつつ、ひたすらジャックダニエルを注文してはクジを引く。

この日は不思議と順調にはずれクジが貯まって行く。その確率2本に1本。さすが精鋭部隊! やがて5枚を数えたところで、ついに念願の白いピンバッジをゲットした。手に取って見れば、ボタン電池式でギターの6ヶ所が色とりどりにフラッシュする優れモンだ。やはり予想した通り、他のどんな賞品よりもGood!

傍らには、ここまで引いた当たりクジの賞品であるキーホルダーやマウスパッドやシールの山。それを尻目に満足してると、店員の女性が「黒いギターバージョンもあって、こちらは1コ限定でして・・・」の声。「それ、キープして! 今5枚集めるからね!」瞬時に反応したのは言うまでもない。

それからは飲んでは引き、引いては飲むで通算20杯に近づいたあたりだったろうか。再びはずれクジ5枚となり、黒バージョンもゲット! この時の我々には、見上げていた山に登頂成功したような、何とも言えない達成感が漂った。結局この日は21打数11安打、はずれクジは10枚に及んだ。

支払いの段になり、店長曰く、「あ、そうそう、明日からプロントのEdyカードが¥500から¥300に値下げします。それとドリンク全品20%OFFも始まりますのでヨロシク~!」

ええっ? おいおい、そんな事は先に言えよ! ドリンク10%OFFのためにわざわざ今、Edyカードを買って払ってる我々って何? だったら明日来たものを。ちなみに本日@5000円也。昼ならコーヒー200円の店、プロントの客単価最高記録も達成した。トホホのホ。



4月の馬鹿

毎年3月の終わり頃から4月の初め頃は気ぜわしい。実はカミさんの誕生日が30日、息子の春休みが終わって函館に帰る日が翌31日、そして本日4月1日はエイプリルフール、じゃなかった結婚記念日である。もっとも、わざわざこの日を選んだのは、冗談みたいな日だからこそ忘れないだろうという冗談みたいな理由からだった。

確かに忘れはしないものの、今年も何事があるわけでもなくその日は過ぎ去って行く。今日もカミさんは息子の入学式出席のため、息子と一日遅れで函館へ向かった。私も件の派遣社員の送別会で遅い帰宅となりそうだ。会場は例の生ガキと鯛めしの「海SEN倶楽部 COVO」である。いつもは3、4人で行くのだが、今日は公式行事でないにも関わらず、総勢10名以上の有志で店を占拠する予定だ。

この店は、過去に同じくらいの団体の予約が入っていた日があった。それを知った我々は、その団体の予約時間より早い時間帯に訪れた。だが、当初は生ガキはいらないと言ってた団体からドタン場で電話が入り、せっかく楽しみにしていた生ガキのほとんどの種類をかっさらわれてしまったという苦い経験がある。あの時は、その勝手な団体客の顔を見たら思わず皆殺しにしてやりたくなったわ!

今回は我々が団体側であるゆえ、仕入れ時に店から連絡をもらって、@4個程度を目安に予め注文を済ませておく事にした。これで個人客分に影響は出ないだろう。どうだ、これが大人のたしなみというものである。

・・・・・・・

結局、主賓を含む12名が集結した。それに先駆け、例によって開始時間まで待てない私を含むOYAJI先発隊3名は、プロントの夜の部でジャックダニエル2杯を空けて、それでも開始時間の30分前に入店した。そこから今度は焼酎のロックをチビチビやりながら他のメンバーの到着を待ったのである。

残念な事に、カルチャーショックを受けた白ワインも天然の鯛も今日は入らず、生ガキとコース料理がメインとなった。だが、その生ガキだけは期待を裏切らなかった。隠岐島外湾の岩ガキの濃厚さに圧倒され、続いて兵庫と宮城の3種の生ガキが追い討ちをかける。これにはカキ好きの同僚の女性達も思わず舌鼓を打つ。

白ワインも、裏メニューだというブルゴーニュの気持ちいいドライ感に感激し、鯛めしと同じダッチオーブンの器で供されたブイヤベース調の肉野菜シチューもモチ豚のソテーきのこソースも絶品だった。〆はピリ辛トマトソースのパスタ。明日になれば、飲み食い込みでほぼ@8000円という、送別会にしては高価格を幹事から知らされるだろうメンバー達も、今夜ばかりは大いに満足したに違いない。

これで素直に帰ればいいものを、駅前に最近オープンした博多一口餃子と生ビールでダメ押しをしてしまうところがOYAJI達の真骨頂。ああ、今日も重くなった胃袋を抱えて家路に就いたとさ。

こりゃ4月馬鹿だな、やっぱり。




松本でクジラ!

一夜明けた松本は、雪の予報もどこ吹く風、快晴のさわやかな朝を迎えていた。

昨夜の後遺症もないままに研修も順調に進み、いつも通りの遅い昼食休憩になった。名古屋時代の同僚に誘われて昼食に訪れた店は、クジラ料理をメインとする小さな店だった。ランチタイムこそ天丼類が供されるが、店内に張り巡らされた品書きからはただならぬグルメのオーラが出ているではないか!

同僚によれば、この店のウリはクジラに馬肉にトラフグだと言う。メニューを見る限り決して安い店ではないが、なぜか好奇心を揺さぶられた。そして研修終了後、はやる気持ちを抑え切れず、帰りの列車までの時間にパートナーの同僚と二人で偵察に入ってしまったのである。

生ビールに大トロ馬刺しとクジラ刺しまでは予定通りの注文だった。十二分にサシの入った地元産の馬刺しはもちろん、一見赤黒いクジラ刺しの柔らかな歯応えとふくよかな風味に我々は圧倒された。その時同僚が囁いた「自由席だったら遅い特急にも乗れますよ」という悪魔の言葉に直ちに反応し、8時ちょうどのあずさ号で帰る事を即決したのは言うまでもない。

そうと決まればフグ皮の湯引きに続き、メインのハリハリ鍋を注文。辛口の地酒の冷酒もガンガン進む。ハリハリ鍋は、秋田のしょっつる鍋とも通じる魚醤のダシ汁に、溢れんばかりの水菜と下ごしらえした鯨肉が入る。それを輪切りの青唐辛子のピリリとしたアクセントが締める。言う事なし!

ふと、メニューのイラストを見ればどこかで見たようなクジラの絵。そう、伊丹空港から大阪市内へ行く途中にある大きなハリハリ鍋の店の広告に描かれているクジラの絵と同じものだった。訊けば、ミナミにあるその店でご主人が修行し、唯一暖簾分けされた店だと言う。納得だが、よりによって松本の地で営業しているというのはいかにも不思議だった。

300mlの冷酒3、4本が空いた頃、〆の雑炊に突入。出汁のせいか、シンプルなのにこれがまたウマい! 店からのサービスで出されたデザートのフルーツを口にする頃には、我々は十分に幸福感に包まれていた。これで@7000円。腹も心も大満足だった。

クジラと馬とトラフグゆえ、メニューの大部分が1000円以上というのはちょっと驚くが、松本の地には信じ難いクオリティの高さだった。ここは新宿から特急で2時間30分もかかるが、この店を目指すなら年に1回位はガマンしようじゃないか、なあ、「信州 徳家」さんよ。オレたち、料理にもおカミさんの明るい笑い声にもたっぷりシビれたぜ!




瀬戸内シリーズ

研修瀬戸内シリーズの初日、今年から新たに首を突っ込む事になった専門営業部隊の研修打ち合わせ会議があったので、小雨降る中、荷物を抱えて出社。午後早目の便で広島へ移動した。着いた広島は心地よい春の西陽に溢れていた。春はやっぱりこれでなくっちゃ!

目をつけていた店は貸切でボツ。しょうがないので去年行った「村上水軍」へ赴く。今回のパートナーは女性の同僚で、前回は鉄板焼きの店に行ったと言うので、今回は魚介系の店でいいだろう。実はもっと高級なおいしいと言われる店も候補に挙がっていたのだが、それでなくても彼女は今回の研修ツアーの長岡でエラい目にあっているので、そうそうギャンブルもできない。行った事のある店なら安全パイだ。

で、予め頼んでおいた刺し盛りもマグロトロ、白身、サザエなどで文句なしの彩り、地穴子の白焼き、タコの唐揚げ、カキフライ、その他いくつかの料理と〆の太巻きの寿司、日本酒、飲みきり焼酎ボトル込みで@8000円ならいいんじゃないの。パートナーも十分満足してたわ。

そういうワケで私にとっては久方ぶりの広島が始まったが、明日はどうなる事やら。いろいろ変な事が起こるこの会社だけど、今後もまだここにいるのならガマンせざるを得ない部分もあるだろう。今夜はそれがパートナーとシェアできただけでも有意義な夜だと自分に納得させて、おやすみなさいっと。




相変わらずのウマさ!

春休みという事で息子が帰ってきて早や2週間が過ぎた。帰ってくると決まって一度は焼き肉屋へ行くのだが、私の全国研修ツアーやお気に入りの「なかむら」閉店などで、その機会を失っていた。で、ついに今晩行こうという話になり、目指したのは新中野にある「焼肉食道かぶり」

初めて訪れたのはだいぶ前だったなとブログ検索したら、やはり1年以上も前だった。でもそこには「またもおいしい焼肉屋」と題して、エラく満足した様子が記されてあった。ただしこの店はほとんど予約が利かず、開店後すぐに満席になるので、仕事帰りのカミさんとは直接店で落ち合う事にして早目に息子と家を出た。

店に着いたら、日曜の晩だというのに4つの座敷席はすでに満杯。同じく4つあるテーブル席こそ空いてはいたが、そのうち1席は予約済みだった。今回は息子相手だったので、厚切りのタン塩、レバ、塩カルビ、ハラミの定番はもちろん、大阪天満でお気に入りのホルモン(大阪ではテッチャン)も注文し、それを食べさせた。炭を入れた七輪の上に収まる真っ赤な排気パイプ共々、息子はその味と雰囲気にまんざらでもない様子だった。

男の食いモンは男が教えるのがいい。いいのだけれど、家庭料理ではそれを司どっているのは女だから、女がイニシアチブを取るのは仕方ない。そのアドバンテージは作ってる女の側にあるからだ。とこがそれが外食にまで及んでしまうといささか厄介だ。だから誰にもジャマされないこの機会に、私は息子にホルモン(テッチャン)の味を教えたのである。ホルモンの類なぞ、所詮はカミさんから見れば私だけが食べるゲテモノに過ぎないという認識があるからだ。

そのカミさんが合流し、私の飲み切りサイズの焼酎もなくなりかけた頃、〆の魔具舞(マグマ)ご飯がやって来た。石焼の中にオコゲのご飯と生タマゴ、そこにビピンバの具とユッケジャンスープをかければ、ジュージューとマグマの噴出ような有様になり、それが大いに食感をそそる。これはまぎれもない食の発明だ。そんなこんなで今夜もまたも大満足!

さて、明日からは広島、岡山の瀬戸内研修ツアーが始まる。早春の鰆の刺身に出会えるのを楽しみに頑張っていこう。




やっと名古屋でも・・・

前回の1月度研修に引き続き、今回も第二の古巣である名古屋に昨日の午後から来ている。ロールプレイング研修のDr役の人数が不足しているため、本来の出番の前日からヘルプで入ったというワケだ。

私の知る限り、埼玉県と並んで低食文化の地である名古屋、今度こそ何とかいい店を見つけたいと思い、ネット検索で2軒の居酒屋をピックアップした。それを同僚に渡し、彼のチョイスでそのうちの1軒に行った。その店は錦3丁目、通称「キンサン」にある「いっちょらい」という、福井の銘酒「黒龍 いっちょらい」を彷彿とさせるシャレた名前の店である。

例によって、まずは生ビールと牛スジ大根煮で研修で乾いたノドを潤す。そしてアスパラお浸しや筍の炭火焼などで春の訪れを味わう。続いて生ホタルイカ、サザエと白身の魚を中心とした7~8種類の刺盛り、店のウリのひとつでもある肉汁が溢れる沖縄やんばる島豚の黒コショウ焼とメンチカツと立て続けに注文。変わったところでイカ白子の炭焼もモチモチとした食感が新鮮だった。総じて名古屋とは思えぬレベルの高さである。

こういう肴なら焼酎では失礼だ。地元に敬意を表し「醸し人 九平次」から注文。嬉しい事にそれは渋い陶器の徳利と猪口で供され、きっちり一合あった。こういう地酒は枡に入れたグラスで出す店が多く、そのほとんどはせいぜい七、八勺だからである。この店は価格の方も500円程度と良心的だった。

その後、酒は「黒龍 いっちょらい」に落ち着き、生ホタルイカとサザエ刺をお替りしつつ、都合@四合まで行ってしまうほどいい時間が流れ、お互いの満足度は高いものがあった。例によって注文したものを全部覚えてはいないが、ここまでさんざん飲んで食って@7000円くらいだったと思う。この店も2人より4人位の方がさらにリーズナブルになるだろう。

住んでいた時も今までも、名古屋の飲食店には一種の諦めがあった。きしめん、ひつまぶし、あんかけスパゲティにも飽きたし、味噌カツ・味噌おでんやどて煮・味噌煮込みうどんなどの八丁味噌系は始めからNG、名古屋コーチンや寿司もバカ高い。でもこの店なら他の同僚にも勧められそうである。そう、なまじ寿司や魚などの専門店よりも、一軒単位で経営している居酒屋の方が狙い目じゃないかと思う。

名古屋でいい店に出会うと、不思議と他の地域よりそれが嬉しく感じられる。今後もいい店発掘研究にいそしんでいきたい。



君は「鳥皮の刺身」を知ってるか?

やっとこさ今日から全国各地で20℃前後に達し、ここに来てやっと春本番に差しかかったかなと思われた。ここ大阪でも東京から着て来たコートも今日は不要だったほどである。

大阪2日目の夜は、同僚の勧め通りの福島駅前「一本松」だ。2ヶ月前にここを訪れた同僚が感激しきりだったと聞いていたものの、まさかこの地でこの私が焼き鳥のカルチャーショックを受けるとは思ってもみなかった。

何がスゴイかと言えば、鶏肉のさまざまな部位を一口大に丸められた刺身の味、それに加えて焼き物、茶漬け、デザートまでを盛り込んだコースがリーズナブルだったのはもちろん、さらにオプションの鳥皮の刺身が絶品だった事である。鳥皮刺しとは、生で食べられる鳥皮を皮下脂肪共々一口大にタタいて丸めたもので、クリームのような色と味。鳥皮と言えば、パリパリに焼くもの湯引きするものという私の思い込みは木っ端微塵に砕け散った。少なくともこれまでで初めて出会った食感だし、最高の食感だった。ウン、絶品!

そもそもこの店は「焼き鳥屋」ではなく「鳥焼き屋」だと知らされたのは、テーブルに七輪が出た時だ。モモ、キモ、クビ、ムネ、シリなど鶏肉5部位と野菜をそこで焼く。自分の加減で焼く。だから「鳥焼き」なのだ。それを天塩と甘ダレとポン酢のいずれかでいただく。これが牛肉だったら、まさしく高級焼肉屋のレベルだろう。

その後は〆の鶏茶漬けとアイスクリーム。これで@3000円のコースだから大満足は言うまでもない。ここ大阪市福島区は、近年こういった本格焼き鳥店の激戦区だそうだ。大阪という土地柄を加味すれば、掛け値なしにホンモノがひしめく地区なのは間違いない。これが味わえる東京の店はと問われても、今の私にその答えは見当たらない。

昨日の晩は焼酎ボトルが1/3残ったが、今日は全部平らげた。それほど私は満たされ酒が進んだのである。今後の大阪出張は福島のホテル限定と言い切ってもいい位だ。これこそホントの「食い倒れ」だろう。今夜も文句なし!




やっぱココやねん

研修初日の情報共有と修整の目的としたミーティングがあるので、大阪移動の日にも関わらず重い荷物を抱えて出社。しかも、今週から春突入の予報だったのに朝から雨は降るは寒いはで、踏んだり蹴ったりである。せっかく春用テンプレにしたのに。

ミーティングが早めに終わったので、飛行機を1時間早めての大阪入り。なんと東京よりもだいぶ暖かい。今日から2泊3日の滞在なので、夜が2度来る。初日の夜は8ヶ月ぶりの「大黒」だ。今回はホテルのすぐ近くの店に初見参した。同僚は初めてなので、期待に胸膨らませているようだが、さてどうか?

店の造りはどこの支店でもほぼ同じで、実に簡素。今まで行った2店は、広間にチャチなテーブルと煎餅布団、そこに地元の連中ばかりがギッシリ並ぶ。ここはファミレス仕様の設えテーブル席とカウンターの店だったが、基本的なシンプルコンセプトは何ら変わりない。この大阪で地元に支持される店はホンモノだ。それでなくてもほとんどの刺身が500円以下で質もいいからスゴい。前回も5~6人で〆の寿司まで行って@3000円程度だった。

で、同僚に渡したメニューの軒並み400円台を見ながら、彼は刺身5種類を始めとして揚物やら煮物やら思いつくままバンバン注文し始めた。彼は先週、研修先の長岡の鮨屋で、たった3品で諭吉1枚をはたいたばかりだった。しかも最後の握りは大将が勝手に握り始めたもので、注文すらしていなかったそうだ。その反動がなせるワザだったのだろうが、この店ではビクともしない。ちなみに彼が長岡の鮨屋で2500円とられたノドグロ焼(しかも干物)が、この店ではなぜか380円で出ていた。まあ、好きなモンいけや!

最後は湯豆腐まで食べて10品を優に越えた。それに生ビールや日本酒や焼酎ボトルも含めて@5000円。人数が2人だったので、あまりシェアできなかったせいもあるが、それでもこの値段で大満足! 珍しく焼酎ボトルが残ったので会社名でキープした。お近くまで来られた節はどうぞ!

せっかく早仕舞いが成ったのだから、この時間を有効に生かして日頃のストレスを発散させるとしよう。こんな事もあろうかと密かに持ってきたDS「DQM(ドラゴンクエストモンスターズ)」でもやりながら眠りに入るとしようか。

明日も良い一日でありますように。



まだ冬景色、だからウマい!

先週の沖縄と真逆の札幌へは、それでも陽のあるうちに着いた。空港を始めとして除雪しているエリア以外は一面雪に覆われている。三寒四温で着実に春に向かっている東京とは違って、景色だけならまだまだ冬の北海道である。

明日から3月度全国研修ツアーが始まる。トレーナーの人数が減ったため、私は今回、ここ札幌を皮切りに10ヶ所程度を担当するハメになった。それでも昨年10月以来の久しぶりの札幌(沖縄から帰ってすぐの札幌というところまで去年と同じなのは奇妙な偶然だが)、ワクワクしながら乗り込む先はもちろん「揚子江」。今回はどんなサプライズが待ってるだろうか?

集まったメンバーは、同領域と他領域のトレーナー各1名、新製品の女性プロダクトマネジャー、そしてクサレ縁の地元同僚を加えた5名だ。この店は少人数よりも5~6名集まった方がよりメリットが生じる。なので、ますます期待が高まろうってモンである。

この店じゃ驚くに値しないけど、序盤は特大毛ガニがお出迎え。お通しには何とクジラベーコンの和え物である。これがウマいのなんの! 身のギッシリ詰まった毛ガニは、例によって甲羅裏のミソを熱燗で押し流す。続くは塩水ウニ、アワビ、大トロ、ミル貝、ホタテ貝、平目などなどの刺盛り。さらに続いて白子と活タコのポン酢あえにアワビの唐揚げのツープラトン! トドメはウニ入りかき玉とネギトロ巻&握り寿司。ど~だ、まいったか! 生ビール8杯、焼酎ボトル2本、熱燗と氷冷酒までいって都合@7000円だい!

平日の木曜の晩だというのにまたも満席。家族連れまでいる。これだけでも、この店の評価がわかる。だからここに行く事で明日の研修により力が入るってモンだろう。受講者にモチベーションを与えるためには、まずはトレーナー自身がモチベートされないとね!




料理を殺した料理店

会社の前にあるランチも出していた喫茶店が半分ほどに縮小し、そこへ新規開店した魚介系居酒屋へランチに行ったのが半月程前だったか。ランチの海鮮丼の具の種類は多目だったものの、大きな椀のわりに味が薄く具も少ない味噌汁付きで¥980の価格がチト不満だった。

その後、改修工事みたいなものでしばらく休んだようだったが、私の久しぶりの出社の今日、同僚の言ってた言葉がふいに脳裏をかすめた。「ランチの質と値段には賛否はあるでしょうが、魚の味を謳った店ですから夜は期待できそうです」

で、工事も終わって再開したようなので、その同僚と行ってみた。テーブル席が3つ、カウンター席が5~6席程の小さな店である。カウンターと厨房に板さん3人、フロアには40代後半くらいの細身の柴田恭兵風のオーナーらしき男性と40代前半くらいの女性店員がいた。早い時間だったせいか、客は我々2人が口開けだった。

本日のオススメを書いた紙を示しながら、その女性店員が言った「刺身は別々に注文するよりも盛り合わせがお得ですよ」の言葉通りに盛り合わせを注文。さらに自家製塩辛とアナゴの白焼きも注文した。その間、その女性に向かって「魚の煮物も薦めて!」というオーナーの指導(?)の声もしっかり聞こえたが。客の前でOJTかい!

出てきた刺身は文句なく高水準。素材はもちろん、カウンターでもくもくと仕事をしてる初老と若い2人の板前の仕事もきちんとしたものだという事は良くわかった。その他の料理の質も決して悪くない。だが、その刺身に合わせるよう注文した燗酒からケチが付き始めたのである。

あろう事か、紙パック酒が厨房入口に持って行かれたのを私は見逃さなかった。やがて2合徳利で出て来た酒、オーナーはお燗の温度を気にしていたが、私の気持ちの中ではとっくにその酒が冷え切っていたという事は想像すらしていなかっただろう。

気が付くとそのオーナーは、タバコを吸わない我々しかいないにも関わらず、厨房と客席の間の荷受けカウンターに灰皿を置いてタバコを吸い始めているではないか! しかもそれに先立って、グラスに氷を入れ焼酎を注いでチビリチビリと飲み始めているではないか! 当然、タバコの煙がこっちにも漂って来る。時間はまだ18時半である。

今度は、オーナーと夫婦かどうかは知らない女性店員が、我々の眼と鼻の先にあるカウンターの端席に入口の方を向いて座ってしまったのである! それは我々の後から来た男女の客がカウンターに座った後でもそうだった。もちろん、初めての客でもある我々と世間話の一つもしていない。料理を出す時と下げる時の「失礼します」以外、とにかく言葉がない。今後、店にとって強力な贔屓客になるかもしれない我々なのに。

これはいったい何なんだ? あんたらは商売のド素人なのか客をナメてるのか、どっちなんだ?

同僚は背中越しだったが、私の位置からは全てが間近に見えていた。その同僚も、念のため今日の夕方に予約の電話を入れた時の応対が実にそっけなく、言葉も鷹揚だったと後で呟いていた。

料理屋にとって素材の質は大事だ。けれども素材の味を生かしたウマい料理さえあれば、それでいいってものではない。それを引き立てるのは店の雰囲気であり、接客が醸し出す空気である。それらが揃ってこそ、客はまた来てみたいと思うのである。

優良な料理を自らが殺してしまった料理店を見た。



まずは泡盛、海ブドウ

学会聴講のために4ヶ月ぶりの沖縄に昨日来た。誤解のないよう断っておくが、この学会聴講は重要な仕事で、場所がたまたま沖縄だったというだけの事である。この日の東京は11℃、何とかコートなしで20℃の沖縄へ移動できた。

那覇空港で札幌と高知のメンバーと合流。その札幌のメンバー、「沖縄の観光スポットと言えば、守礼の門だよな。見に行くか」などと言い出した。高知のメンバーも「一度見ておくのもいいかもしれませんな」と追従する始末。すかさず私が「守礼の門は日本3大がっかり名所の一つだぞ。札幌の時計台、高知のはりまや橋、それとこれだ。あんたらの地元だからわかるだろ」と教えてやった。一同納得。

その後、それぞれのホテルにチェックインし、国際通り近くのモノレール駅にて再度合流。国際通りの観光もそこそこに、あたりをつけていた居酒屋へGO! 18時前だというのに、まだまだ昼のように明るい。着いた店は「あっぱりしゃん」という、こぢんまりとした店だった。

ここは沖縄民謡のライブも行なわれているらしいが、メンバーの店主が出張中でライブはなし。メゲずに奥の座敷に陣取り、定番のオリオンビールから宴は始まった。オリオンビールはここ沖縄で飲むと不思議にウマいのだ。初沖縄という札幌のメンバーのためにアグー豚を始めとした沖縄料理を次々に注文。特に北海道にはない海ブドウには大感激してた。

ミミガーの旨さを再認識し、ラフテーをお替りし、もずくの天ぷらやゴーヤチャンプルに舌鼓。変わったところでは長浜水産製の塩辛、石垣牛の刺身など。〆はもちろん八重山そば。そのどれもがウマい! 那覇市の中心部にしては地元の家族連れも来ていたし、かなり正解の店だと思う。

さらには料理だけでなく、2人の女性店員(なぜか福岡と横浜出身)の愛想も抜群で、この店を選んでますます正解だったと一同大満足。でも、たかだか2時間ちょっとの間に泡盛ボトル2本はいささか飲み過ぎだった。一夜明けた今も腹の中に残ってる。早い話が二日酔、うう・・・。

だが仕事は今日からが本番。まずは競合他社のランチョンセミナーを目指して出発するとしよう。




カキ食えば カネが要るなり・・・

「近くにこんな店があったようですね」その店の話は同僚とのチャットからもたらされた。

リンクをクリックして現れたのは、海鮮&オイスターレストラン。この場所は確か焼き鳥屋からイタリアンに替わっていた所だ。さらに去年この店へと替わったらしい。週末という事もあって、同僚3人と軽くチェックしに出かけた。

「海SEN倶楽部 COVO」と名付けられたその店は、キャパ20人くらいの小さな店で、しつらえこそ以前の焼き鳥屋のままだったが、内装等は全く変えてあり、おしゃれな良い雰囲気を醸し出している。2人の女性がフロアやカウンターで接客やカキの殻剥きをしている。

さっそく生カキを注文。かつて新宿のオイスターバーで食べて印象に残っていたUSA産クマモトを始めとして、オススメの宮城産カキ3種、USA産1種の計5種でプレートを組んでもらった。

それに先駆けて、お通しのカモ肉の燻製と前菜の富士五湖産トラウトのカルパッチョは、ELIZAという名の白ワインでいただく。このワインがウマい! ラベルに謳われているパッションフルーツやオレンジの果実風味がそこはかとなく漂う、絶妙のバランスの白ワインだ。白ワインで幸せな気持ちになったのは本当に久しぶりだった。

ここまでは優雅な大人の世界が展開されている。もともと軽くチェックしに来ただけなのだから、それでいいはずだった。・・・生カキのプレートが出るまでは。

ズラリと二段に並んだ殻付きの生カキ達を見ながら同僚がふと呟く。「生カキはこのワインでいいのかな?」「そうそう、生カキに合うワインはないと『美味しんぼ』で言ってたよ」「そうだよな。やっぱここは日本酒でしょ」というワケで日本酒へ。

ところがこの店に置いてあったのは久保田の萬寿と千寿だけ。仕方なく千寿を注文。訊けば、予想通り日本酒はあまり出ないらしい。「一升瓶お買い上げならご希望のものを入れますよ」と笑って言う彼女に、すかさず次回持ち込みのOKを取った。しめしめ。

クリーミーな高級品「クマモト」、宮城の定番「雄勝」、「珠姫」までは覚えているが、もう一つの宮城産の品種を忘れた。そいつをもう3個ずつ追加した頃、千寿は@2杯目になっていた・・・と思う。少なくとも売り切れになったはずだ。

やがて地鶏のソテーと有機野菜とカキを使った料理が運ばれてきた。とっくにカラになった最初のワインボトルを別のオススメボトルに切り替えて宴は続く。いずれも美味しいという記憶はあるが、会話の記憶はすでにない。

いよいよ宴は終盤へ突入。まずは「車海老と渡り蟹のトマトソースのスパゲッティーニ」に舌鼓、フィナーレは30分前に注文しておいた「天然鯛を丸ごと一尾使用した 炊き込みライス」の登場だ! これがまたウマいのなんのって! 見た目は和風の鯛めしのようだが、それよりも味付けはしっかりしていて、宣伝文句通り何杯でも食べたくなる絶品だ。この味だけは今も強烈に記憶に残っているほどである。

軽いチェックどころか、3人で生カキ24個、料理6品、ワイン2本、日本酒6杯。ここまでやったら@1.2諭吉は致し方ない。それでも文句なしに通いたくなる店ができたのは喜ばしい。実は来週、例の「魚籠庵」で最後の寒ブリを食べる会の企画がある。それはヤメにして、またこの店に行こうかな。




今日はほとんど牡蠣しか食ってない!

昨夜のナイトセミナーでは、ちょうどボジョレー・ヌーボー解禁日だったので、会場後方のテーブルにワインとオードブル類が供されて好評だった。ウチの会社にしては珍しく気の利いたサービスだったな。

セミナーは活発な質疑で時間がかなり押し、終わったのは21時過ぎだった。鳥羽に帰らねばならない私は、余った煎餅やナッツ、チョコなどを夕食代わりにカバンに詰め込み、会社メンバーへの挨拶もそこそこに送迎バスに飛び乗った。列車は21時25分発。すでに鈍行しかない時間帯だ。

2両編成のワンマン電車は、座席がほぼ埋まるくらいの賢島に泊まれなかった乗客たちを乗せて発車した。途中、スペイン村入り口の鵜方、的矢牡蠣の志摩磯部などで少しずつ学会参加者を降ろしつつ、鳥羽に着いたのは22時を回っていた。駅前はすでにタクシーの影も形もなくひっそりと静まり返っている。仕方なく宿に電話したら、快く迎えに来てくれたのはありがたかった。

・・・・・・・

今朝は9時から一般演題を聴きまくり、ランチョンセミナーまで一気に駆け抜けた。すでに頭はウニ状態、となれば腹が減ってくるというのが自然な生理現象(?)だわな。

鳥羽に帰っても生牡蠣は食べられるようだが、少々アバンチュール気分で、的矢に近い志摩磯部駅で途中下車。駅員さんから紹介された店は「なか川」といい、食堂然としたレストランである。早速オススメの的矢牡蠣セットを注文した。

セットは、メインのセル牡蠣2コ、カキ酢2コ、カキフライ2コ、牡蠣ご飯、牡蠣入りもずく味噌汁、これにあってもなくてもいいマグロ&イカ刺し、小鉢、香物が付いて2800円とリーズナブルだ。これだけでも計9コの牡蠣が使われていた。

ここまで来てこれだけで終わっちゃなんね~とばかりに、セル牡蠣一人前(5コ、1250円)を追加! どうだ参ったか、って何が?

的矢牡蠣は、殻の長さ10cm内外、身の長さ7cm内外、黒いヒダは短く、北の牡蠣と比べて全体的にコンパクトな印象を受ける。生牡蠣特有のクセは全くなく、非常に滑らかな食感と共に口いっぱいに旨味が拡がってくる。これなら牡蠣が苦手という向きにもOKだろう。満足、満足!

的矢独特の養殖法は、出荷前に紫外線殺菌した海水の流れの中で10数時間浄化する事により、衛生的に安心して生食できるところに最大の特徴がある。佐藤養殖場がルーツとされる。

一方、宿では目の前の鳥羽湾で獲れた牡蠣を焼き牡蠣で出すという。こうなったら食べ比べとばかりに、伊勢志摩限定の地ビール「神都麦酒」と共にオーダーした。

それはまな板の上に載った陶器の蓋と皿に挟まれてやって来た。まだ十分暖かい殻付き牡蠣を剥いてレモンを絞ってパクリ。そこには以前頂いた岡山産の牡蠣を蒸して食べた時と同じような素晴らしい食感が! うん、熱を加えた牡蠣もやっぱ絶品だわ。

名残惜しいが、明日は名古屋経由で帰京だ。トドメに宿の朝食はパスして、駅前の和食屋でまたもセル牡蠣を食らっちまおうかな(爆)



タコ焼リベンジの巻

今年最後の大仕事というか大出張の始まりで、昨夜から最初の地である大阪へ来ている。今回は初日の晩くらいは軽くという事で、家でよく焼いているという同僚を連れて、前回不覚にも翻弄されたタコ焼屋「蛸之徹 マルビル店」へ前回のリベンジである。

前回は日曜日の夜だったので空いていたのだが、この被は3~4組が順番待ちをしていたくらい盛況だった。訊けば、自分で焼くスタイルのタコ焼屋は、大阪でこの店が初めてだという。まさに灯台もと暗しだが、そこが創造性豊かな大阪人に受けたのだろう。そんな事すら冷静に考えられるほど今夜の私には余裕があった。何せ今回はタコ焼経験のある同僚が一緒なのである。

前回は一人前12コ、今回は@1.5人前18コを焼き上げた。これだけ焼けばいろいろ学習できる。悟ったコツの第一は具を入れ過ぎない事だ。この店は天カスと紅ショウガを自分で入れるのだが、それを欲張って入れると周りに大きくハミ出し、後々返す時に収拾がつかなくなって苦労する。当然の事ながらキレイな丸形にもなりにくくなる。

コツの第二は油がかなり大事だという事だ。最初に油を穴と周囲に十分に塗っておく。こうしておけば焼けた部分が回しやすくなる。場所により火力の強弱に差があるため、プロは早く焼き上がって空いた穴に移動させたりするが、素人はやめておいた方がいい。油のなくなった穴に入れるとすぐに焦げ付いて剥がれなくなるからだ。

まあ、そうこうしつつも見事な丸いタコ焼に仕上がる確率は前回よりも増し、何とかリベンジを果たせた。よっしゃ~! もう一人で行ってもビビらないぞ~!

・・・・・・・

一夜明けた今夜は、ホルモン焼肉のメッカ、鶴橋へGO! ホルモンの中でも特に大好きなテッチャンが食べたくなった時は、天満の「とみや」と決めていたのだが、本場と言われる鶴橋もぜひ行きたいという事で、同僚の知っている「万正」へ行く事にした。

この続きはまた明日。・・・と思ったが、9時にはホテルに戻ったので、感想を書く事にする。

最初にオーダーしたのは生キモとユッケ。臭みなぞ全くなく美味。特に生キモはサイコロ状になっていて、その食感共々大満足だった。焼きモノでオーダーしたのが、元々は小腸を指した用語だったものが、この店ではカルビ肉の骨付近のものを指すという事で、我々の期待がますます高まったヒモ、刺身用のサイコロ状のものよりさらに大きいなブロックで出てきたキモ、動脈を細切れにしたコリコリ、ナンコツミンチを彷彿させるウルテなど、一口にホルモンと言っても奥は深いなぁ~! 美味しいなぁ~! と感動させられるモノばかりだった。

ふと見渡せば、観光客など皆無。客はすべてジモティばかり。それほど、店の場所が分かっている人しか辿り着けない場所だ。それでも隣には行列のできるお好み焼き屋「オモニ」がある。

この日は5人で生ビールの次に焼酎ボトル2本も加え、誰もがもう食えない状態になって@5000円程度だった。焼肉屋とすれば十分リーズナブルだろう。大阪でまたいい店に巡り合った。360度関西弁が飛び交う大阪にあって、こういう出会いこそ大阪ならではなんだと自然に認めてしまうのである。

だからナニワは面白い。異議なし!



札幌グルメ、驚きの追記

札幌最終日の今日、どうしてもブログに書きたい衝動に駆られた昼飯を食べたので追記する。

それは研修会場近くの「アジャンタ インドカリィ店」のスープカレーである。前日に過剰摂取したアルコールを身体から追い出すため、その名も「カシミールカリー」を注文した。大好きなカレー専門店「デリー」の超辛口カレーと同じネーミングなので、ちょっと怖くもあるが期待も高まる。

出てきたのは、多目の油と共に赤く染まったルウの中に俵型のラム肉ミンチ団子が4つ、半分ほどの大きさのニンジン、2つ切りのピーマンとボリューム満点。想像したような激辛ではなく、スパイスの効き具合といい、私にちょうどいいレベルだった。これなら1100円というちょっと高めの値段でも納得できるな。

驚いたのはスープそのものの味である。自宅で作ったスープカレーはもちろんの事、札幌市内を含めて他店で今まで食べてきたどれよりもコクがあってウマい! そのままスープとしても一級品だと言えるほど味わい深いのである。それにしても、この旨味の正体はいったい何なのだろうと、しばし考えた。すぐに、しっかりとダシ(ブイヨン?)が取れているせいだと気付いた。

今まで食べたスープカレーにさほど印象がなかったのは、これが決定的に欠けていたせいだろう。単にルウを延ばしただけではこの味は出ない。初めからスープとして調理しているかどうかの差だと思う。これを飲めば、カレーはリッパな飲み物でもあるんだと自信を持って言い切れるに違いない。

ふと壁を見ると、そこには「テイクアウト フリーズパック」の文字が。間髪入れずに2パック注文。初めて来た店で、初めて食べたもののお土産を頼むなんて、私の人生の中でもそうはない事だ。それほどインパクトがあった。

店の外に出ると、頭上の雲がみるみる薄くなり、やがて青空が顔を覗かせた。足元には赤く染まったモミジの絨毯。頬をなでる冷たい風が心地よい。後は空港で同僚への土産に「ジンギスカンキャラメル」や「サッポロビールキャラメル」などのご当地ジャンクフードを買って帰るだけである。

今年最後の札幌、最後の最後までうれしいサプライズだった。最高!


今夜は本物の柳葉魚だ~!

日ハムvs中日の日本シリーズで盛り上がる札幌へ久々の出張。昨日は、先日の沖縄行きとは逆に、24℃の東京から12℃の札幌へ冬用ジャケット一枚で移動した。東京ではまだまだコートはいらないので、江戸っ子のやせ我慢である。なぁに、外を歩かなきゃいいだけの事だ。

今回のホテルは、スープの缶詰で有名な札幌グランドホテルだ。朝食ブッフェでさっそくそのコーンポタージュを堪能したが、改めて味わってみると美味しいには美味しいのだが、特段エクセレントというほどでもなかった。まあ、そんなモンだろな。

昨夜は日曜日だったので、早めの時間帯に予約していた生ラムのある焼肉屋「太好了 すすきの店」へ。ここいらは焼肉・ジンギスカン店が集中しているエリアで、いずれも14、5人も入れば満席の小さな店だ。我々6人も2つしかないテーブル席を占拠。煙が付かないように用意されたカバー付ハンガーにジャケットを納めて準備完了。

この店はANAの機内放送で紹介されたうちの1軒で、そのままでも食べられると謳われたザク切りのラム肉は、まったく臭みがなく、七輪で焼かれた生ラムを初めて食べたという同僚も感心していた。さらにこの同僚のお目当ては、札幌味噌ラーメンの「けやき」である。以前に食べて忘れられない味だったらしく、焼肉の後だというのに皆を引き連れてやって来た。

この味噌ラーメン、一見さっぱり薄味にも感じるが、表面に浮かせたラードと小さく角切りされた肉がスープにコクを与えている。麺は札幌ラーメン独特のコシがあって言う事なし。ボリュームは少な目ながら、飲んだ後のシメにはちょうどいい。この日もあっという間に10人以上の行列ができた理由がよくわかる。が、それにしても800円という値段は、ご当地のくせにいかにも高過ぎるだろ!

札幌といえば、忘れちゃならないのが「揚子江」だ。定休日が日曜なので、必然的に今夜になった。名古屋勤務時のメンバーも久々に合流するので、それも楽しみだ。

今夜の目玉は何と言っても本物の「柳葉魚(シシャモ)」だ。スーパーなどで売ってる青っぽいシシャモは「柳葉魚」に非ず。そいつは北欧産の「カペリン」と呼ばれる全くの別モノである。大多数の日本人は、あれが柳葉魚だとダマされているのだ。本物は純国産種で北海道は鵡川(むかわ)産が最上とされる。色も茶色っぽく、もちろん味にも奥行きがあり極めて美味なのだが、今や東京のデパートあたりで売ってるものは、15cm内外で1匹200円以上もする高級魚になってしまった。

で、ひとり一匹だったけど、言葉を失うくらいにウマかった事は誰も異存はないと思う。その上に、予めテーブルに鎮座していた毛ガニ様は、何と1.5kg超級! 甲羅だけでも20cmに届くかという勢いだ。予約してもなかなか入らないという、この超大型の毛ガニを見ただけで、集まった連中は感激しきりだった。

さらにウニやアワビを交えた刺盛りや厚岸産の生牡蠣、活イカ刺などなど、よくぞこの店に呼んでくれたと感謝、感謝の大合唱である。面白い事に、中華料理店も兼ねているこの店は、カニ玉やスブタ、オムライスまでも食べられるのが特徴だ。今回はとことん飲んで食って@6000円とリーズナブルだった事もあり、誰もが大満足だった。あ~よかった!

ここまで盛り上がれば、二次会に行かないはずがない。女将の紹介でカラオケスナックへ移動。メンバーの年代からして自然と昭和の歌限定となった。やっぱいいねぇ、昭和は。…どれだけ歌って、いつまでいたのかは、例によってよく覚えていないが、今夜もちゃんとホテルに戻ってベッドに寝ていた。

さて、明日は札幌の3日目、最終日だ。我々も、レギュラーメンバーも、そしてこのために来た課長連中も、とりあえずみんな頑張ろうぜ! って、何を?


大阪でタコ焼を焼いた話

今日の大阪便も少し遅れ、空港からバスで大阪駅に着いた頃には午後9時をとっくに廻っていた。明日の営業スキル研修のための前泊休日移動である。

さて、夕飯がてら少し腹に入れておこうと駅前のレストラン街に。降りてすぐの所に「タコ焼」の看板が。ご他聞に漏れず私もタコ焼は大好きである。20年位前にミナミの路上で初めて買った、本場大阪のタコ焼のウマさが今でも忘れられない。

生ビールとタコ焼で軽く一杯とは、まさにナニワの王道だろう。2皿は楽勝だなとばかりに、勇んで店に入って慌てた。テーブルには大型のタコ焼器が鎮座してるではないか! そう、この店は自分で焼く店だったのである。見ると、カップルやらグループ、果てはおひとり様までそれぞれが、ちゃんと焼いて食べてるではないか! 

思えばもう十数年もタコ焼を焼いた事などなかったが、ここは大阪だ。四の五の言っても始まらないので、生ビールと一人前を注文。係のお兄チャンの「それぞれの穴と周りに油を塗っておいてください」の声に、そそくさと油を塗り付ける。

やがてタコとネギが12コの穴へ置かれ、その上からどっと生地が流し込まれた。紅ショウガと天カスはお好みでパラパラとかけるそうだ。ま、ここまでは見た事のあるタコ焼屋の手順と同じなので問題ない。問題はこの後である。

この千枚通しをどう操ったら、あの丸いタコ焼になるのかのイメージが持てない。なんせ目の前の鉄板は、一面具と生地が洪水状態なのである。見よう見まねで、カリカリと引っ掻くように生地をまとめ始めてたら、例のお兄チャンが来て「こういうふうに先っぽを入れて、具と生地を寄せれば、後は回ります」「入れて、回す。入れて、回す」と、まるでそれができないのが不思議だとも言わんばかりの声。

じゃかまし~わいっ! ガキの頃から家でもさんざん焼いてたお前らとは違うんじゃ! 自慢じゃねぇが、こちとらタコ焼なんざ完成品しか食った事がないわっ! そこまで言うならモンジャ焼、焼いてみれ! と、心で叫ぶ。言ってみたところでしょうがない、ここは大阪だ。その間、ロクにビールを飲む余裕すらない。

それでもどうにかこうにか焼き上がってきた。大きさがみんな違うのはご愛嬌。売り物になるデキのものは1コあるかどうかだが、自分で食べるんだから、そんなの関係ネェ! 

タコ焼の本当の厳しさは作成過程ではない。食べる時である。大阪の大型タコ焼は、テイクアウト後でさえ口に入れると、中から熱々のレア生地が飛び出して大騒ぎになる。ましてや焼きたてともなれば、その熱さはハンパじゃない。飲みそびれていたビールの存在が、ただただ嬉しかった。

少なくとも3ヶ所のヤケドを口の中に作って、微妙な思いを抱えつつリーガロイヤルへチェックイン。さて、明日は6日ぶりの本業、頑張ろう!


研修後半戦は岡山から

いくらマイナー路線だからって、何も67番なんて一番端っこの搭乗口はないだろ! 歩いても歩いても辿り着かず、着いた頃には搭乗受付はとっくに始まっていた。それでも午後イチのANA便は外の景色も明るいのがいい。

見渡す限りの雲海の中から黒い頭を出している富士山。その頂に雪はなく、小さな白い雲を乗せていた。やがて山々を縫うように曲がりくねって流れる天竜川。その流域のところどころに大小の集落が見て取れる。それぞれに人が住み、生活がある。

程なく雲も晴れ、地図で見慣れたシャチホコ型の地形が。そう、渥美半島と知多半島の雄姿だ。セントレアもはっきり見える。その対岸は遥かに三重県が広がっている。一大パノラマである。

かつて2年程住んだ名古屋上空。中日クラウンズで有名な名古屋ゴルフ倶楽部・和合コースやナゴヤドームを眼下に見下ろし、やがて伊賀の里から奈良の都へ。広い大阪の街を抜ければ、その先に淡路島が横たわっていた。

景色はいきなり真っ青な海一色となり、瀬戸内海の島なみが見え始めた。ここまで来れば岡山はもうすぐだ。

というワケで、研修前泊移動で岡山全日空ホテルに昨日の15時過ぎにチェックイン。研修も明日から後半戦に入り、トレーナーの組み合わせも変わった。今回からのパートナーは、現在ウチの部署で一番ベテランの同僚である。彼は来年の夏には定年を迎えるが、今回の部長交代劇により、新部長殿からは定年延長オファーが為されるかもしれない。我々も貴重な戦力としてそれを望んでいる。

さあ、半年ぶりとは言え、岡山と来れば「岩手川」だ。今も脳裏に焼き付いている30cm級のノドグロを目指して早い時間にGO!

で、そのノドグロだが、ついに新記録達成した。なんと前回を上回る35cm超級に遭遇したのである! 板さんもさすがにこのクラスの焼きには不慣れだったのだろう。最初に出された段階では中骨付近まで十分に火が入っていなかったため、半身を食べて再度焼き直したほどだった。それほどのボリュームだったというワケだ。ともあれ、もはや極めたと思えるほど、とことんノドグロを満喫した。

同僚はカラオケはしない。だのに二軒目のカラオケパブに行くと言う。で、前回リサーチ済みの店に行って私は歌い、彼は女性と談笑。初日からさっそくフルコース。いいのかこれで?



最強の魚介

去年の「銀河鉄道の夜ふたたび」以来の盛岡へ昨日到着。盛岡とくれば「番屋 ながさわ」である。

今回はカウンター席の端っこに通された。ここは例の「ご同伴御用達席」だ。毛ガニだけは食べるまいと心に誓う。とりあえず生ビールで乾杯。さっそく刺盛りを注文。例によって氷を敷き詰めたガラスの器にタイ、ヒラメ、メジマグロ、ミノダイ、アイナメ、メヌケ、セイダガレイの面々が魚名が書かれた小さなサクと共に鎮座している。後で名前を忘れないように7枚のサクは持ち帰ってきた。

パッと見にも超高品質だというのが分かる刺身たち。どうだと言わんばかりの輝きを見て「こりゃ、やはり焼酎では失礼だ」という事で「菊の司 純米 亀の尾仕立て」の四合瓶を注文。そして、生ウニを重ねて焼いた「焼きカゼ」。これはコメント不要だ。刺身、焼きカゼを交互に口に入れては日本酒を流し込む。

「あ~幸せ! 日本人に生まれてよかったぁぁぁぁ~!」

いい歳こいた2人の男が破顔一笑で見つめ合う。ちょっとキモいがしょうがない。いつも思うのだが、この店は岩手県の内陸部の盛岡にある。なのに、どうしてここまでスゴイ魚介類が提供できるのか? そしてなぜ値段を超越しても味わいたいと思わせるのだろうか?

それでも、この店の値段の書いてないメニューの中で、どうしても注文を躊躇してしまうものが毛ガニの他に2つある。それは「アワビのステーキ」と「前沢牛のステーキ」である。今回は特別にデンジャラスゾーンに踏み込んでみようと、死なば諸ともの覚悟でアワビのステーキを注文。もちろん期待にそぐわず美味この上なしだった。値段は怖くて訊けなかった。

結局2人で四合瓶2本を空けて、かなり早い時間にホテルへ帰還した。@諭吉くらいだったと思う。でも幸せ。さあ、今日はこれから仙台へ移動だ。


1年半ぶりの桜島

先週の金沢では、同僚が薦めてくれた「いたる 柿木畠本店」に突入。季節はずれだったせいか岩ガキにこそありつけなかったが、ノドグロ開きの塩焼きを始めとして、刺盛りの中のヒラメや5kg程度の小型ブリ、バイ貝の刺身の歯応えを確かめ、カレイ唐揚げなどなど十二分に堪能した。そうそう、能登豚の炭火焼も柔らかく旨味タップリで美味しゅうございました。

翌日の研修が終わって、タクシーで空港に向かうついでに立ち寄った「東山お茶屋街」なる所に、昨今観光地化され過ぎた京都以上の風情を感じた。広めの石畳の道に白黒朱の板塀に仕切られたお茶屋が並び、その多くがいまだ「一見さんお断り」だそうな。小雨模様の平日の夕刻だったので人もまばらで、芸者の稽古場からは落ち着いた三味線の音が漏れていた。次回は着流しでも着て、このあたりの店を目指そうかな。私の大好きな心象風景である。

さて、午後の便で前泊移動したここ鹿児島では、すでに行くべき店は決まっている。先週の金沢が2年ぶりだとしたら、今日の鹿児島も「鹿児島よかあんべ」以来1年半ぶりである。1年半前に自ら見つけて初めて訪れ、数十種類の芋焼酎と共に刺身や塩辛などに感激した「魚将さかなちゃん」である。前回は3月だったから、季節の魚も変わっている事だろう。空港から予約の電話を入れたら、相変わらず元気で気持ちのいい仲居さんの声が聞けたので嬉しくなった。

鹿児島が1年半ぶりという事は、桜島を生で見るのも1年半ぶりという事だ。午後3時を廻った青い空に浮かび上がった桜島は、その雄姿はいささかも変わらず、噴煙だけが少な目だった。海と島と活火山という特異な景色はここに来なければ拝めない。遠くに見えるは霧島か。

日も暮れてイザ出陣。目指すは天文館公園。店はその裏にある。で、行ってみてまた驚いた。その店が4階建だというのも初めて知ったのだが、我々はその4階の個室に通されたのだった。それゆえか1階にあるような細かい焼酎メニューもなく、ただ接待のための落ち着いた空間があったに過ぎなかった。それでも質量共に満足できる店には変わりなく、我々に不満はない。

予約の時に頼んであった刺盛りは前回と大きく違い、イセエビ、マグロ、熟成カツオ、ブリ、小アワビなどの定番に加え、珍しいところでソイ刺が鎮座していた。鹿児島ブランドの華アジと屋久島産の首折れサバもやっぱりウマかった。

鹿児島には生まれて初めての訪問だという同僚の口からも信じられない幸福感のコメントが出た。だとすりゃこの店はOKでしょう。紹介できただけでも正解だった。この調子で明日の仕事は完璧に遂行できなけりゃな。何言ってるかよくわからんが、それはそれで今日の所は良しとしよう。ありゃ、もう日付が変わってら。




久々に食い倒れ

2週間で4往復した大阪出張も昨日で終了。これでしばらくは出張もなさそうである。搭乗回数は34回、目標まであと8出張である。

そういえば、出張の合間に出社した際、新人研修の部署に異動した同僚から、私のブログの最近の記事はマジメなテーマばかりで面白くないですよと言われてしまった。ふん、大きなお世話じゃ。何もお前のために書いてるワケじゃないわと言い返しといた。

さて、伊丹空港で同僚が「水茄子」という茄子の漬物のお土産を買っている間、ANA FESTAの外に出てキョロキョロと辺りを見回していたら、どこかで見た二人組が目に入ってきた。

良く見れば、とある新製品の担当者コンビで、一人はウチの部署の30代後半の女性だった。旅行カバンを腕に抱えたまま上を向いてる彼女は、今まさに楊枝に刺した試食品の黒い生八橋を大きく開けたその口に放り込もうとしている。あられもないその姿は、まるでデパ地下の試食品を漁るオバサンそのものだったが、もちろんそんな事は口が裂けても言えない。

とりあえず「あれ~? 偶然だねぇ~。学会でもあったの?」と声を掛けた。
「いやぁ、神戸の支店の販売対策会議に出てたんですよ」
八橋を口一杯に頬張って喋れない彼女の代わりに相方の営業部門の男性が答えた。言われてみれば神戸は、この新製品の売りが最下位クラスだったっけ。

さらに見渡せば、目の前に見慣れた巨大な明太子が鎮座しているではないか! 実は伊丹空港に来るたびに気にはなっていたのだが、あまりの大きさに臆して見えないフリをしていたのだった。大きいものは30cm位はあるだろう。本場博多でもこの大きさの明太子は見た事がなかった。今回は売り子がいたので訊いてみると、伊丹空港限定販売なのだそうだ。

試食したところ、粒も大きめでプリプリした食感が心地良かったので、辛口の2000円ちょっとの大きさのものを購入した。それでも重さは200g以上、長さも20cm以上はある。太いところで直径5cmはあるだろう。

メーカーは「久家」で、その名も「豪海 ジャンボ辛子明太子」という。私は敬意を込めて「お化けメンタイ」と即座に命名した。

今回の大阪短期集中出張の収穫をもう一つ。

久々に食い倒れの街、大阪を感じさせてくれた居酒屋「大黒」である。店のWebsiteがないので、グルメレポートブログ「関西美味礼賛」の記事へリンクさせていただく。大阪市内に5店舗以上構え、そのうち今回は堂山店と京橋店へ行った。

詳しくはこの記事を見れば一目瞭然だが、とにかく驚くのは、ほとんどの刺身など海鮮メニューが500円以下という事だ! 我々レベルで飲んで食べても@3000円台なのだ。特に堂山店では〆に寿司まで食べてこの金額というのもビックリ! もちろんネタの質もいい。刺身以外では鯛の骨蒸しと穴子の天ぷらも大いに気に入った。

午後7時を回る頃には満席になる。しかも地元の予約客ばかりである。それだけ見ても、いかにこの店が当たりかが分かろうというものだ。

混雑時には2時間という規定があるので早い時間に撤収できるし、何より満腹になるまで2時間もかからない。だからこの店だけで終わるなら、極めて満足度の高いリーズナブルな一夜になる事を保証する。

・・・宵の口だというのに歌も歌わずホテルに帰る「鉄の意志」さえあるならば。


ぶらり先斗町

研修ツアーも2週目に入り、今週から大阪、京都、神戸の三都物語シリーズが始まった。日曜日から前泊し大阪を終えた昨日、京都へ移動した。

今回の夕食を兼ねた飲み屋は、いつも行く町屋風居酒屋ではなく、敢えて探索しに出かけた。着いた先は河原町。目指す刺身居酒屋が残念ながら定休日だったので、そのまま風に吹かれて「富士の高嶺に降る雪も~、京都先斗町に降る雪も~」の先斗町へ。だいぶ観光地化されたと言うものの、肩が触れ合いそうな道幅2mちょっとの路地は、下町育ちの私の琴線に十分に触れ、極めて心地よい散策になった。

同僚曰く、このあたりも昔は「一見さんお断り」の店も多くあったとか。さらに、レベルの高い良い店は木屋町通りにつながっている路地に多いとか。見ればまだまだ料亭風の店も軒を連ねている。でも表にメニューすら掲げていない店は少ない。きっとそういう店が、今でも「一見さんお断り」なのだろう。

店々を覗き込む観光客を追い越しながら、路地に出逢うたびに覗き覗きウロウロし、辿り着いたのが「しし蔵」という小さな店だった。

いかにも京都のしもた屋といった雰囲気で、さっそく男二人にはチト狭い小上がりに陣取った。このサイズも京風なんだそうだ。まずは生ビール、間髪入れずツブ貝とよこわの刺身を注文した。なんとこれが大当たり! ツブ貝はまるで北海道品質と見まごうばかりの新鮮さで、それ以上に出色だったのは初体験のよこわの刺身だった。

体長90cm以下の鮪の幼魚を関西では「よこわ」と呼び、関東では「めじ」と呼ぶ。その身の特徴は、トロと赤身が程よく融合した色と柔らかい食感である。

ご主人によれば、それでも赤身、中トロ、大トロと区分けされて売られているのだと言う。そのご主人渾身のチョイスによる日本酒がメニューに並んでいる。もちろんこんな高レベルの刺身には日本酒でなければ失礼なので、まずは「奥播磨」の純米吟醸をいく。

さすがに評判の高い酒で、のど越し後に吟醸香が広がってくる感じがいい。ウン、今度はこの四合瓶をコレクションに加えよう。お次は、定番「松の司」の吟醸である。この酒は、蔵出しから半年以上寝かせると独特の酸味が落ち着き、実にふくよかになる。これの純米吟醸が我が家のワインセラーで眠っている。この店では一升瓶のちょうど最後の一杯だったのが幸いし、いい感じで丸くなっていた。さあ、こうなったらもう止まらない!

ツマミも甘鯛塩焼き、メゴチ天ぷら、地鶏塩焼きなどの焼き物揚げ物を追加。酒もいつしか山形正宗の純米吟醸へ。その後、何種類か杯を重ね、さらに追加のツマミも注文したらしい。当然覚えてないが、大満足でお開きを迎えた事だけは確かだ。この時点で明日の研修なんて正直ブッ飛んでいた。

その後、同僚の大好きなシメの定番、ラーメンへ。例によって、すでに悪魔のささやきが始まっていたが、もはやそれに気付く理性も失せていた。ラーメンを完食してなお、悪魔はささやく。そのお導きに従い、わざわざ案内所で紹介を受けてまで行った先が小さなカラオケスナックだったのである。

居合わせた数人の年配客の年代層に合わせた選曲で何曲歌ったろうか。焼酎ロックをしこたま飲んで、ようやくホテルへ帰還した時には日付変更線を越えていた、と思う。

翌朝。朝食の和洋バイキング会場に行って驚いた! 30~40人いた客の8割以上が外国人だったのである。しかもほとんどが白人系で、やかましい中国系はあまり見かけない。少々二日酔いの身体が、まるで外国のホテルにワープしたような一種異様な感覚に襲われた。さすが国際観光都市である。

9時過ぎから15時過ぎまでの私の担当パートが終わり、後は神戸に移動するのみ。今夜はマジメに「食事」しよう。


マニュアルとホスピタリティ

家の近くに、都内に何軒か支店を出している居酒屋がある。

ランチタイムにはラーメンや手延べ餃子などを中心としたメニューがあり、その中でも熟成白味噌と国産小麦粉麺を使った「北海味噌ラーメン」は秀逸で、特に上に盛られたモヤシや玉ねぎ、ニンジンやニラなどの野菜や豚肉と共に醸し出される味のハーモニーは抜群なのである。七味と炒りゴマを多めにかけていただくのが私のいつもの流儀である。

日頃から贔屓にしている「なかむら」でさえ、こと味噌ラーメンだけはここに一歩譲るだろう。見事に札幌風味噌ラーメンと言うべき完成度なのだ。値段は780円とチトお高いものの、どこにもない食後の満足感を味わいたくて時々足を向けるのである。

私が訪れるのは休日の昼下がりと決めている。平日にはできない事だが、雑誌でも眺めながらゆったりと食べたいからである。明るく広めのスペースに雑誌を左にどんぶりを右にセットして、時間を気にしないペースで食べたいのである。

ところが、ひとつ困った事があるのだ。

この店の中心は大き目のテーブル席で、それが10卓以上あり優に40人以上は座れる広さがある。ところが一人で入店すると、どんなに空いていようが、荷物やバッグを抱えていようが、女性スタッフは例外なく「お一人様ですか~、カウンターへどうぞ~!」と言い放ち、店の隅の5~6人程が座れる薄暗いカウンター席を強要するのである。

昼飯時の込み合う時間帯ならそれも当然だが、テーブル席にほとんど客がいない時でさえ、隅っこのカウンター席だけは4~5人がひしめいているという事がままあるのだ。私は今日もクリーニング帰りにトートバッグに雑誌を入れ、この店の扉をくぐった。

だが、その時は幸運にもカウンター席がほぼ満席状態だったので、さすがの女性スタッフもいつもの声は出せず、4人掛けのテーブル席に座れた。と言っても、この時点で残りのテーブル席の客はゼロ。つまり店の客はカウンターに座っている4人と私だけだったのである。

やがてカウンター席の一人が出て行ったのと同時に、一人の年配の男性客が入ってきた。すかさず女性スタッフの「カウンター席へどうぞ~!」の声。だが、それが耳に止まらなかったのか、彼はテーブル席の方へ向かいかけた。途端、「お客様~! カウンターへ~!」とさらに大きな声。さすがに気づいた彼、昼なお薄暗いカウンターへ踵を返した。

私の言いたい事はもう察しがつくだろう。

客を効率よく配置して座らせるのは飲食店の基本だというのは良く分かる。女性スタッフもマニュアルとしてそれを十分心得ているのだろうが、それは繁忙期の対処であって、ガラガラの時まで無理やり通すのはいかがなものだろうか? 

誰だってゆったりと食事したいのである。だが、混雑時にテーブル席を一人で独占するのは忍びない。その場合でも相席は覚悟の上だし、グループで来る客のためにテーブル席を優先して空けておくのも納得できる。それは十分に分かった上で言っているのである。

だからこそ、せめて空いている時ぐらいはお一人様でも好きな席に座らせたらどうだろう。こんな事は、一度でもマニュアル抜きで客の気持ちになってみれば分かると思うのだが・・・。

臨機応変、それが客商売のホスピタリティというモンだろうに。

それさえなければ、この店にはもっと足繁く通っていただろうなと思う。


博多の昼

出張の夜は山あり谷ありの一夜となる事が多いが、半面、昼はおとなしいものである。夜の部の副作用として、寝不足に加え消化器系の疲弊が現れるので、あっさり軽目の食事を摂る事になるからである。それでも味にはこだわりたい。

それは、ここ福岡でも例外ではない。サッパリ物の代表格、蕎麦は以前書いた「いまとみ」と決めているが、今回はうどん、しかも讃岐うどんにこだわってみた。

福岡の讃岐うどん店で有名なのが「讃岐うどん大使 福岡麺通団」である。去年の出張の時に初めて行ったが、実は期待したほどには印象に残らなかった。讃岐うどん専門店のわりには、本場と比べて「ナンチャッテ讃岐うどん」に近い印象なのである。やや高目の値段設定、固めでコシが抜群のはずのうどん自体すら高松で食べたものと若干感触が違っていたからである。

「どこかに隠れた名店がないものか」そんな思いを抱えてホテルからタクシーに乗って会場のホテルに向かう途中、その近くの横丁に一軒のうどん店が目に入ってきた。看板には「博多さぬきうどん」と「うまい うまい」の文字が。福岡には博多うどんという物もあるのに、なぜ敢えて「博多」と「さぬき」を合体させたのかはあずかり知らぬものの、とにかく昼食休憩の時間に行ってみた。

メニューを見ると、かけうどんが320円なのに、自家製のえび天やごぼう天入りなどが350円という嬉しい価格設定。サイドオーダーした稲荷寿司も小振りながら3個で130円だ。両方併せて文字通り「ワンコインランチ」だった。讃岐うどんといい、宇都宮餃子といい、味に加えてリーズナブルな価格こそが地元の主食と言わしめる所以だろう。

やがて運ばれてきたえび天うどんは、手打ちうどん独特のコシも十分、うどんツユのダシも良好とまさに「お値打ち」である。その証拠に、一緒に行った四国出身の同僚も、こりゃリッパに合格点だと太鼓判を押していたほどである。

改めて店をネット検索すると、出てきたのは同じ場所にありながらも店名が異なる店だった。もっとも、正式な店名が看板に書かれていたわけではなかったので、それがその店なのかは確信が持てないが、地図に載っている場所は間違いないと思う。

改めて紹介しよう。「さぬきうどん渡辺通店」である。

そういうわけで、博多の昼の残る楽しみは、おいしいカレー店の発掘だけとなった。蕎麦屋とうどん屋とカレー屋があれば、最低3日は昼飯に困らないからだ。


博多水炊き絶品! ふたたび

今年初めての営業スキルアセスメントの助っ人で、昨日福岡に降り立った。

福岡と言えば、まだ寒さが顔をのぞかす今年の4月であれば、水炊きも悪くないだろう。先般書いた「いろは」ではなく、通販で取り寄せたスープが絶品の白湯スープだった「博多 華味鳥」中州本店に行った。

福岡市内に数店舗構える店だったが、水炊き単品で2600円、前菜や鳥刺身、雑炊込みのコースでも@3000円~と、「いろは」に比べてもかなり-ズナブルという点も気に入った。おまけに各種アルコール類の飲み放題も1600円である。

いろいろな肴が盛り合わされた前菜もいい感じだし、その後の鳥刺しやタタキもグーッ! お酒と共に十分すぎる位に暖まった所で、いよいよメインの水炊き登場。通販で味わった白湯スープもそのままに、鶏肉とツミレでその美味しさを十分に堪能した後に野菜類が投入される。最後に、そのスープで炊く雑炊も絶品だった。文句なし。

ここは数ある博多水炊きの店でもコストパフォーマンスの点で上位確実な店だと評価できる。

だが、それよりももっと面白かったのは、着物を着た若い仲居さんだった。何と彼女達は中国人だったのである。しゃべる言葉のイントネーションが不自然だったので気が付いたが、見た目には日本人と区別がつかなかった。でも、かの「いろは」の店員とは大違いの細やかな心配りは見事だった。今後は福岡出張の際の水炊きはこの店に来る事になるだろう。

気分を良くした我々は、カラオケを求めて隣のフィリピンパブへ。当然、途中で記憶を無くす事になるのだが、記憶保持者の証言によれば、それぞれ数曲歌って当初の目的は果たせたらしい。長居をしたが、それでも@7000円と中洲のお試し料金の範疇だった。

毎度のごとく一夜明けたらひたすらノドの渇きと戦うハメになった我々。よくよく考えてみると、一次会二次会と10人以上の女性と接したものの、日本人女性とは一度も会話しなかったという摩訶不思議な一夜を過ごしたと気付いたのは翌日の昼前だった。

やっぱり、わかっちゃいるけどやめられねぇ~、かな?


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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコースティックギターやウクレレを弾いて70年代フォークを弾き語ったりするのが大好きです。遂に40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2などの弦楽器に囲まれる生活となって幸せです(^^)

もうひとつの大好きはコンパクト欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経て2010年から「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

そしてさらに10年経って取り巻く環境も変化し、4枚ドアとペーパー息子のために安全装置付きのクルマの必要性が。偶然出会った「MAZDA3 FB 20S Burg-S PMG with SIG-S」を2020年から愛車に迎えました。

現役時代は某企業でプロフェッショナルな社内研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、2nd Stageは頼れる薬局のOYAJIを目指したいとDgSで張り切ってます。

2013年から膀胱がんサバイバーを継続してます。無病息災よりも一病息災くらいがちょうど良いのかもしれません。

とか言ってたら、2020年に肝がん発生。予防接種からのHBV感染〜暴飲暴食からの脂肪肝〜部分的な肝硬変と来ていたので特に驚きませんでした。最期は肝臓だなと覚悟も決めてたし(^^;)

幸いこれも早期で表層だったため、切除手術を経て無事に終わりました。これで「ダブルがんサバイバー」の誕生です(^^)

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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