死んで貰います

師走も2日が過ぎ、正月までもう30日を切った今朝、窓を叩く雨音で目が覚めた。もう8時近くだというのに空は夜明け前のように暗く、台風のような暴風雨が吹き荒れていた。

しめしめ、こんなに激しい雨ならガラスコーティングした車の少なくとも前半分は洗車できるな、なんてコトを考えつつ、「生身のコチラは安全のために自主休日かな?」などとほくそ笑んでいた。ところが、しばらくすると見る間に雲が流れ去り、なんと晴れ間が見えてきたではないか! TVの気象情報の大雨洪水警報も23区から千葉県、茨城県へと15分おきに変わって行ってしまった。

結局、雨に起こされて1時間もしないうちに自主休日は返上の憂き目にあったのである。

雨は上がって空は晴れて来たものの、風はスゴかった。雨よりも、むしろ風のために電車が遅れたりしてダイヤが乱れていたようだ。会社に着く頃にはますます強くなっていて、玄関から離れたエレベータホールにまで枯葉が舞い込んでいた。おまけに気温は22~23℃に達するという。猛暑の後の極寒という自然の帳尻合わせもどこへやら。

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帰宅したら先日注文していた「昭和残侠伝シリーズ」のDVDが届いていた。これは先般92歳で亡くなった俳優・池部良氏の追悼番組で取り上げられていて、思わず通販で衝動買いしたブツだった。

このシリーズには、今から10年以上前、ふとした事から高倉健のヤクザ映画が大好きだと言っていた取引卸のM所長に、3本分をダビングしたVHSテープをプレゼントして大層喜ばれ、以後、何かにつけ世話になったという思い出もある。今夜はそのうちシリーズ第1作の「昭和残侠伝」と最終作の「昭和残侠伝 破れ傘」を立て続けに観た。

公開当時、私は小学生でせいぜい怪獣映画くらいしか知らなかったが、義理と人情のカタルシスと言うべきか、耐えに耐えた果てに爆発する憤怒をドスに込めて殴り込む、そこには必ず健さんに思いを寄せる女と命運を共にする池部良がいた。背中に背負った唐獅子牡丹の刺青が鮮やかに露出する頃、満身創痍の健さんが憎いカタキを追い詰める。そしてひと言、「死んで貰うぜ」。

今風なら友情と勝利と言うべきものをテーマにした映画が、アニメを含めて内外で多く製作されている。シナリオもあれこれと凝ったものが多い。だが、こんなにシンプルに観る者の心を打つ映画は、近年めっきり少なくなった気がする。伏線やウラ読み抜きに安心して酔える素直な展開こそがよりシビレさせるのだ。

特に、それまで二枚目俳優であり、映画俳優協会代表理事として暴力団との絶縁を宣言していた池部良氏は、当然の如くヤクザ映画への出演を断っている。だが、プロデューサーから「高倉健という若手を男にしてやってください」と懇願され、遂に出演を承知したという。

だからこそ、風間重吉役で健さんと殴り込みに行く時、逆に健さんに向かって言う「男にしてやってくだせぇ」のセリフにまた泣かされたりするのである。この時代の役者の立ち居振る舞いや目の迫力、「謡わない」セリフと「踊らない」演技は、近年ハリウッド路線の俳優が多い中、一見の価値大いにアリだ。

おやおや、山城新伍も松方弘樹も北島三郎も若いねぇ。三田佳子も星由里子も。壇ふみが新人だってよ。鶴田浩二は実に色っぽく、いい味出してる。やっぱ名優だねぇ。

手にした焼酎ロックの陶器の器と共に、心地良いひと時が蘇った。




魂の同点劇

全国高校サッカー選手権は大詰めを迎え、今日は準決勝の山梨学院大付vs矢板中央戦と青森山田vs関大一高戦が行なわれた。

過去の優勝校が早々と姿を消した今大会。ベスト4に勝ち上がったいずれの学校が優勝しても初優勝という、今年もまた戦国サッカーを象徴するような大会だった。その中で、事実上の決勝戦と目されていた青森山田vs関大一高戦は、これが高校サッカーの真髄と呼ぶべき、まさに歴史に残る好試合だった。

青森山田は前半31分、攻め込んだペナルティエリアで関大一高キャプテン小谷に倒されて得たPKをFW野間が決めるという予想外の得点で試合が動いた。しかし、試合開始当初は固さも見られた青森山田はこの得点をきっかけに持ち前のクレバーサッカーが出始めた。そしてその8分後には、左膝靱帯断裂を克服して復帰したキャプテン椎名がゴール右隅へ芸術的なミドルシュートを決めて関大一高を突き放した。

他のスポーツよりも1点の重みが大きいサッカーで、2点差というのはかなり厳しい。

試合は2-0のまま後半に入り、いくつかチャンスは得るものの関大一高は1点が奪えない。試合終了まで残りわずかとなり、誰もが青森山田の勝利が濃厚と思った44分、浪速の大砲FW久保綾がゴール前の混戦から左足で半ば強引にゴールにねじ込んでついに反撃の1点をもぎ取った。奇跡の半分が起こった。

だが時間がない。ロスタイム表示は3分。ところがここから奇跡の続きが起きたのである。規定時間の45分が過ぎたロスタイム、途中出場の井村が値千金の同点弾を見事にゴール左に突き刺したのだ! いくら理屈ではサッカーは10秒あれば点が取れると言っても、それがまさかこの大一番で起こるとは誰が予想しただろうか? 

逆に、試合終了目前までセーフティリードと言える2点差を守りながら、最後の最後、わずか数分のうちに追いつかれた青森山田にはまさに信じられない展開だったに違いない。「月まで走れ!」を合言葉に、徹底的に走り込んで来た関大一高イレブンは、相手の足が止まりかける後半20分からがその強さを発揮すると見られていたが、まさにドンピシャだった。

関大一高の佐野監督は、2005年のJR福知山線脱線事故で亡くなった教え子の女子高生の写真を胸に下げている。ピンチになると天国の教え子に力を貸してくれと祈り、あの時から5年経った今大会、ついにベスト4まで進出した。2-0の後半、彼はもう一度力を貸して欲しいと願い、そして奇跡は起こったのである。

スタジアムを揺るがす歓声の中で試合終了のホイッスルが吹かれ、勝負は延長戦ではなくPK戦にもつれ込んだ。これが決勝戦であれば延長戦があり、延長戦になればますます関大一高にとって大きな勝機が訪れたはずだったが、準決勝まではいきなりPK決着という大会ルールがこの後の明暗を分けた。

関大一高は1人目、2人目と連続して青森山田GK櫛引にセーブされ、まるで本戦と同じ絶体絶命の場面でスタートした。それでも勝負は最後の5人目までもつれ込んだが、関大一高は最後の一人がセーブされて奇跡の同点劇はあと一歩力及ばず、青森山田の決勝進出が決まって決着した。

この試合を見ていて、思わず4年前の野洲高が優勝した決勝戦を思い出した。「ファンタジスタ!」のタイトルで書いたエントリだった。野洲高イレブンの、それまでの組織戦という高校サッカーの定石を打ち破った個人技と想像力で全国制覇したユニークサッカーは、観る者すべてにワクワク感を与えてくれた。

今日の試合の関大一高はセオリーをも凌駕する気合と魂のサッカーを見せ、青森山田は超高校級の高いスキルの鮮やかなサッカーを見せてくれた。もう一度言おう、この試合は高校サッカーの伝説になると言ってもいい、歴史に刻まれるべき好試合だった。




超人 柏原竜二降臨!

正月随一のイベント「第86回東京箱根間往復大学駅伝競走」、通称「箱根駅伝」が今年も開催された。

前半の見所は、各校のエースが登場する「花の2区」。今年も日大のダニエル選手がトップの明大と約2分差の13位でタスキを受け取ると、今年も期待通りに区間賞の11人ゴボウ抜きで明大に続く2位に躍進した。また東海大もスーパールーキー村澤選手の10人抜きで4位に浮上した。さすが花の2区だ。

だが私の興味は前回初優勝の東洋大の順位だ。そう、昨年1年生で鮮烈なデビューをしたあの「新・山の神」柏原竜二選手の走りが今年の最大の目玉なのである。5区で彼がタスキを受け取る時のトップとのタイム差はどれくらいか? 逆にどれくらいなら逆転往路優勝が可能な圏内なのか? と興味は尽きない。

彼は前回、トップと約5分差の9位でタスキを受け取り、8人をゴボウ抜きし、かつて山の神と呼ばれた順天大の今井正人選手の区間記録を47秒も更新して往路優勝、そして総合初優勝の立役者となった。だから彼が前回と同じ走りが出来るとしたら5分や6分のタイム差だったら全く問題ない。

果たしてタスキはトップと4分26秒差でつながった。さて彼の走りやいかに?

今年も期待に違わず、あっさり12kmまでに先行選手6人を抜き去りトップに立ち、後は独走態勢。素人目にもスピードも馬力も他の選手とは別格なのが明らかだった。後は彼が目標と語っていた区間新記録へタイムとの勝負のみだ。結果、目標の76分台にはわずかに及ばなかったものの、何と自身の区間新記録を10秒も上回る77分08秒を叩き出したのだった。もはや彼を超人と呼ばずして何と呼べと言うのか! 超人降臨! 卒業するまでの2年間、彼はまだまだ我々を楽しませてくれる事だろう。

だが、2位に3分36秒差は総合優勝のためのセーフティリードとは決して言えないので、復路勝負の楽しみも残った。

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山上りの超人ショーの興奮も冷めやらぬまま、復路が始まった。

東洋大に3分半以上のタイム差をつけられてスタートした2位の山梨学院大は、小田原中継所で2分50秒差まで詰めた。だが、その後はタイム差が縮まるどころか7区では逆に4分半まで広がってしまい、このまま東洋大の逃げ切りV2が濃厚となって来た。

復路のもう一つの見所は熾烈なシード権争いである。

総合10位以内に入れば来年の出場は保障されるが、11位以下だと秋の地獄の予選会をクリアしなければ出場できなくなるから、10位と11位のたった1つの順位の差はまさに天国と地獄、埋めるにはあまりに大きすぎる差なのだ。

8区でそのボーダーラインにいるのが日体大。前回シード権獲得も駅伝メンバー以外の陸上部員の不祥事によってシード権取り消しに加えて対外試合出場を禁じられ、地獄の予選会を勝ち抜いての出場となった。優勝には手が届かなくても、最低でも再度シード権獲得を果たしたいという気持ちが一番強いはずだ。

また、もう一つの地獄である屈辱の繰上げスタートによるタスキリレーの途絶。リレーする相手のいない中継所へ辿り着いたランナーの流す悔し涙と仲間への謝罪シーンはいつ見ても胸が締め付けられるが、それも往路から出遅れた最下位亜細亜大の頑張り次第だ。各選手に大幅なブレーキや棄権せざるを得ないようなアクシデントが起きていないのも見ていて何とも気持ちがいい。

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さて終盤の勝負は、9区への戸塚中継所で2位山梨学院大とのタイム差を5分半まで広げた東洋大の逃げ切りV2がさらに濃厚となった。この差ならよっぽどのアクシデントが発生しない限り総合優勝は確実だろう。シード権争いも、ここまで10位日体大と11位東海大には2分半以上のタイム差がついている。

9区の後半で、1分半差をつけられていた3位の駒沢大が2位の山梨学院大を逆転するという場面があった。去年、無念の途中棄権をした城西大も6位でアンカーへタスキリレーを終えた。去年途中棄権した石田選手は今年は7区を走り、今年は見事に走り切って仲間に万感の思いを込めて感謝するシーンが印象的だった。

繰上げスタート阻止のため必死の走りを続けていた亜細亜大。残り2kmを6分、1km3分で行かなくては制限時間であるトップの通過後20分が来てしてしまう。だが、制限時間になっても中継所に続く150mの長い直線にランナーの姿はなかった。繰上げスタートの号砲が鳴った。この瞬間、記録は続くがタスキは途絶えた。アンカーが繰り上げスタートした無人のゴールに飛び込んだ船村選手は涙に暮れた。

アンカー高見選手が満面の笑みと共に大手町のゴールに飛び込んだ。これで東洋大は箱根駅伝2連覇という、駒沢大4連覇以来の偉業を成し遂げたのである。2位の駒沢大とのタイム差は4分弱、文句なしの完勝だった。一方のシード権争いは、最後の最後で日体大に抜かれた明大までの10校が手中に収めた。11位帝京大とのタイム差は3分弱、しかしこの差があまりにも大きな明暗を分けたのだった。

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日曜日の晩のサザエさんじゃないけれど、箱根駅伝が終われば正月気分に浸るのもそろそろ終わりという気分になって来る。ましてや今年は、じゃなかった今年も! 1月からイレギュラーな研修ツアーが待っている。だいたい出社後1週間までは正月ボケからのリハビリ期間だと勝手に承知している私なのだが、今年もそんな寝言なんて言ってられないわな。





軽井沢シンドローム

先日、mixi日記の中でPOOBメンバーの風酔亭氏から紹介された同世代の漫画家たがみよしひさによる「軽井沢シンドローム」。1980年代前半にビックコミックスピリッツに連載され、洒脱なペンタッチと構成で人気を博した漫画で、もちろん私もリアルタイムで読んでいた。

他の漫画はない独特の特徴として、男女共に骨盤が小さく足が長いイラストデザイン的なペンタッチに加え、8頭身で描かれるシリアスタッチのコマと3頭身で描かれるコミカルタッチなコマとが入り交じる構成、そして登場人物のかなり複雑な関係とそれぞれが抱えている心情を描いていくという、一種独特な「たがみワールド」が炸裂した漫画だったのである。

さらに各PARTは歌の題名から付けられていて、その中の各sceneは登場人物の最後のセリフによって繋がれていくという凝りようだった。だが、当時20代だった私には、自分と同世代の登場人物の心情やストーリー展開があまりにも当時の自分と異なっていたせいか、理解が追いつかず、途中からあまり真剣に読まなくなっていった。ザックリとしたアウトラインはこちらへ。

それから20年経って描かれた続編にあたる「軽井沢シンドロームSPROUT」の存在を知り、懐かしさのあまり全7巻を大人買いしてしまったのが先週の事だった。懐かしいと言っても、前述の通り、途中リタイア読者だったため、読みながらところどころ記憶の穴を埋めていく作業も必要だった。

続編は主人公の息子を新主人公にしてその時代を舞台にしているが、性格や女グセの悪さなどは前作の主人公とほぼ同様。違っているのはオヤジと違って族上がりではなく、現代っぽい高校3年生。それゆえオヤジのような大きな夢を持つ事も追いかける事もなく、大学受験を控えてケンカと女に明け暮れる毎日を送っていたのである。

考えてみれば、今の若者は遠大な夢を描く事も、それを掴み取るためにリスクを省みずチャレンジする事も、昔の世代に比べると許される自由度はかなり狭められてしまったように思う。結局は現実路線にうまく乗っかっていく事、すなわち他人に乗り遅れない人生こそが成功という事なのだ。これでは主人公でなくても閉塞感を覚えざるを得ない。

そうなった時、それを打破させるために息子と真剣にケンカするのも一肌脱いでやるのも決まって旧世代であるオヤジの役目だ。この漫画でもそんな展開によって息子は目覚め、一つ成長する。

同じ漫画を若い主人公と同じ年代で読み、20年以上経って今度は新主人公のオヤジと同じ立場で読める機会なんてめったにない事だろう。それというのもあの当時、数ある漫画の中にあってことさら強烈に印象付けてくれた「たがみワールド」のおかげかもしれない。その点は大いに感謝したい。

・・・が、ひとつだけ残念だった事がある。

続編のシリアスタッチのコマ、特に女性の画のタッチがかなり変わってしまっていたという点だ。前作の見事に艶っぽい女性像は影を潜め、構図的にも狂いを生じているように見えた。明らかに「たがみワールド」の一端が崩壊している。コマ間に書かれた近況報告を見ると、作者の健康状態があまり芳しくない事がうかがわれるが、たぶん相当にアシスタントの手が入っているのではないかと思われる。

ま、それを差っ引いても余りある満足感を得られた事は確かである。よ~し、オヤジ世代もまだまだイケるじゃないか!



最高のガチンコ・ゲーム!

年に一度、新酒の季節に開催する「吟醸酒持ち込み宴会 in 魚籠庵」。今月異動して来たメンバーのうち女性2人を含む5名で賑やかに盛り上がった一夜が明けた今日、例によって少々弱った身体をモノともせず、そそくさと仕事を片付けて家路を急いだ私だった。

これは決して夢ではない。ましてや親善試合でもない。

トヨタカップを賭けたFIFAクラブワールドカップ準決勝、アジア王者ガンバ大阪と何とヨーロッパ王者マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の夢のガチンコ勝負が行われたのである。

マンUと言えば、何を隠そう中学生の時サッカー部員だった私には、あのジョージ・ベストの名声と共に記憶されている英国の超名門チームだ。そんなチームとの真剣勝負、普通ならマトモに試合にすらならないだろうと思われた。だが、今夜のガンバは違った。

捨て身の超攻撃的な前掛かり戦法で、マンUのDF陣の裏にパスを繋いでいく。ファーストシュートから前半4分後の3本目のシュートまで立て続けに放つ。しかも攻撃時のディフェンスラインはセンターラインの高さまで上がっているから攻撃にも厚みが出る。その半面、守備に穴は出て来るけれど、そのリスクをものともせずに前に出る。日本のチームもここまで徹底したサッカーが出来るんだと、観ていて気持ちいいの何のって!

ペナルティエリアでマンUディフェンダーの明らかなハンドの反則もあったが主審はスルー。それよりも流れの中で1点が取れそうなほどガンバの攻撃が冴え渡っていた。しかし前半28分、ついにコーナーキックからのDFヴィディッチのヘッドで先制され、ロスタイムにはやはりコーナーキックから今季世界最優秀選手、MFクリスティアーノ・ロナウドの弾丸ヘッドで2点目を失ってしまった。

やっぱり歯が立たないのかと誰もが思い始めた。だが、歴史はここから動いたのである。

後半29分、DF加地亮が前線へロングパス。受けたMF橋本英郎がすぐに左へ流し、走り込んだFW山崎雅人が右足を合わせてゴール中央に! 遂に遂に王者から1点をもぎ取ったのだ~! これは歴史に残る快挙だぞ~!

その興奮もつかの間、そのわずか1分後、交代したばかりの17歳でイングランド代表入りしたFWウェイン・ルーニー、MFフレッチャー、またルーニーと立て続けに3得点されてしまい、勝負の上では万事休す。さすが攻撃サッカーのマンUだが、このとんでもない破壊力こそマンU最大の魅力でもある。

だがだが、それでも歴史は動く。

今度はマンUにハンド。PKを蹴るのはおなじみ「コロコロPK職人」MF遠藤保仁。名GKファン・デル・サールも及ばぬ面目躍如のコロコロゴールで2点目だ~! さらにさらに、ロスタイムでMF橋本英郎のダイレクトシュートが炸裂~! 遂にマンUにシーズン最多失点をお見舞いしたのである。最後はC.ロナウド得意の無回転フリーキックがGK藤ヶ谷陽介の手に吸い込まれたところで、残念ながらゲームセット。

終わってみれば5対3。しかしマンUとガンバ大阪とではハンデ2点位の実力差は優にあろう。だったら実質ドローだな、ワハハのハ~! 

・・・まあ、勝負には負けたかもしれないが、試合は立派に互角だったと大いに賞賛したい。きっと日本代表でもここまでの試合は出来なかったろう。それほどまでに今夜のガンバはスゴかった。さあ、胸を張って3位決定戦に臨もうではないか!




大助・尚子

WBC世界フライ級タイトルマッチと言えば、17連続防衛中だったポンサクレック選手(30)から昨年7月に王座を奪った内藤大助チャンピオン(33)だ。その3ヶ月後の10月には、ビッグマウスで力不足が明白な亀田大毅選手と無理やりマッチメークさせられ、案の定、大毅が大醜態を晒したのは記憶に新しい。

昨夜は前王者との指名挑戦(同級1位との対戦義務)タイトルマッチだった。結果は三者三様の判定の引き分けで2度目の防衛に成功した。33歳6ヶ月の彼は、自身が持つ世界王座の日本人最年長防衛記録も更新した。同じ選手に過去2度負け、その後2度勝った。彼は高みに立つ事によってさらなる実力を発揮するタイプなのだろう。また、それを発揮するための凄まじい努力と執念があったに違いない。

試合は、例によって全身を使って攻める変則ボクシングの内藤有利に進んだかにも見えた。8回の公開ジャッジで劣勢を知った前王者は、直後の9回に猛攻に出たが、クリンチを振りほどこうとした際に相手を投げ飛ばし、内藤選手は苦痛の表情を浮かべた。不運にも大毅戦に続いて投げを食らったワケだが、2戦連続は珍記録かも。

それにしても、ピークを過ぎたと言われる年齢での快挙は無条件で賞賛に値する。

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明けて今日は、北京五輪最終選考会である名古屋国際女子マラソン。名古屋勤務時代に自宅前の道を猛スピードで選手が走り抜けて行った光景を思い出す。すでに土佐礼子(31)、野口みずき(29)両選手の内定・確実が出る中、事実上、残り1つの代表獲得に注目の高橋尚子(35)ほか、大南敬美(32)、原裕美子(26)、弘山晴美(39)の歴代優勝者のそうそうたる顔ぶれがしのぎを削る「勝負あるのみ」レースである。

名古屋にしては珍しく無風状態の中でスタートした。ところが展開は無風どころか全く逆だった。早くも序盤9kmあたりで高橋尚子が遅れたのが波乱の幕開けだった。その後は有力選手のダンゴ状態で18kmまで来たが、25kmでは15人ほどに、30kmでは6人に絞られた。

勝負どころの32kmでスパートしたのは、初マラソンの中村友梨香選手(21)だった。同じく初マラソンの尾崎好美選手と加納由理選手を置き去り、そのまま2時間25分50秒で優勝した。高橋尚子選手はTV中継終了時でもゴールまで2km地点を走っていて、結局27位に沈んだ。

30代でも強い選手の多い女子マラソン。一概に年齢のせいにはしたくないが、有力選手が揃って討ち死にし、代わって新進気鋭が勝ったという事に時代の転機を感じずにはいられなかった。

だが、マラソン競技は野球などと異なり、速球投手だったベテラン選手が投球術で補えるというものはない。力の衰えが即、選手寿命につながる苛酷な競技である。今日を区切りに引退するベテラン選手が出てもおかしくはない。

思えば、高橋尚子選手には何度も最高のシーンと競技者スピリットを見せてもらった。彼女の性格から、これで引退なんて事はないとは思うが、たとえ第一線から退く事になったとしても彼女が示し続けて来たものにいささかの曇りも生じない。敬意を込めてお疲れ様と言ってあげたい。




目覚めたら東京マラソン

東京も相変わらず寒い日が続いている。少し遅く目覚めた今朝、つけたTVからは「東京マラソン2008」のスタート前の中継が始まっていた。さっそく窓を開けて見ると、都庁上空にTV局だか新聞社だかのヘリの音がこだましている。雨に祟られた昨年とは違い、気温は低いが快晴だ。

ほどなく今年も抽選で選ばれた3万人のランナーが東京・西新宿の都庁前を一斉にスタートした。さすがに号砲までは我が家に聞こえない。今回は北京オリンピック代表選考も兼ねていると言うのだが、男子選手の名前はほとんど知らなかった。ゴルフやバレーボール、フィギュアスケートのように、この種目もやっぱり女高男低なのだ。

昨日のフィギュアの4大陸選手権女子では浅田真央選手(17)がブッチギリ優勝した。以前の彼女はSPとフリーの出来に差が生じ、しばしば優勝を逃す場面もあったが、今回は致命的なミスもなく見事な演技だった。きっと何かを吹っ切ったのだろう。

SP2位に着け、2年ぶりにフリーでの4回転ジャンプを公言していた安藤美姫選手(20)は、トライしたものの失敗に終わり、3位に沈んだ。成功確率の極めて低い4回転を持ち出さなければ優勝の芽が出て来ないとなれば、自分自身に大きなプレッシャーをかける事になり、ますます窮地に立ってしまう。それでもメジャー大会での4回転をせめて一度は見たいと思っている。

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数日ぶりに自宅PCでネットを立ち上げたら「表示できません」となっていた。何回やってもダメだ。

メールの送受信は問題ないので接続トラブルではなさそうだ。IEの設定を様々にいじり、果ては一時ファイル、Cookieを消し、アドオン設定もディフォルトに戻したが効果なし。ここまで数時間費やしていい加減イヤになり、昨夜はあきらめて寝た。

今朝、カミさんにそのことを話したら、やっぱり数日前からおかしかったと言う。カミさんはPCオンチなので、ハナから参考意見は期待できない。しばらくして、そう言えば数日前にメールを見ている時、何かのアップデートみたいなものが起動し、よく分からぬままログアウトしたとだけ呟いた。・・・それを早く言えっての!

定期的なアップデートやファイルチェックと言えば、まず思いつくのはアンチウイルスソフトである。さっそくそれを確かめる。するとメイン画面の中のネットワーク管理項目に「パーソナルファイアウォール有効」の文字があった。もしやと思い、それを無効にしてIEを立ち上げた。

するとIE初期設定画面になり、既存プロバイダ接続をチェックすると、ホームページのYahooが現れたではないか! 結局、アンチウイルスソフトかIEのどちらかの自動アップデートの際に不完全終了した事が設定の不備につながったのだと思われた。

ま、こんな事はPCオーソリティから見ればあっという間にトラブルシューティングできるとは思うが、私の場合は、プロバイダに電話が通じないので問い合わせメールを出したほどである。時代とは言え、アプリケーションやアドオンの頻繁な自動アップデートも考えものである。

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復活して目覚めたインターネットから東京マラソンの結果速報が入った。

ビクトル・ロスリン選手(スイス)が2時間7分23秒の大会新記録で初優勝。日本人トップはマラソン2回目の藤原新選手(JR東日本)で2時間8分40秒の好記録をマークし、一躍五輪代表候補として浮上した。一般参加ランナーは、制限時間の7時間以内のゴールを目指して走り続けている。

去年抽選に漏れて参加できなかった昨年末退職したNさん、今年は参加できただろうか・・・。



「もったいない」の語源

昨日、何気に観たNTV「オジサンズイレブン」の新成人100人対決編で、「電車の中で化粧をするな! やってる女はブスばかりだ!」 と投げかけたメンバーの露木茂氏。 「キレイに見られたいという人は家で化粧してくる。公共の場所でやるのは実にみっともない!」 とブチ上げた。

それに対して、反対している新成人の女性が、「時間を有意義に使うためです。オジサンが本を読むのとどう違うの?」 と言うと、すかさず露木氏が反論した。「みっともないは、みともない、見とうもない。見るに耐えない、という意味だ。あなたが化粧をしている姿を他人は見たくないんですよ!」

さらに大和田獏氏が「客観的に見るといいよ。化粧の時、だらしなく口を開けてるところを人に見られているという事に気が付いてないんだと思うと可哀想」 と続き、ラサール石井氏が「自分の部屋じゃないんだという意識を持って欲しい」とトドメを刺した。

挙句の果てにはテリー伊藤氏、「公共の場で何をやっても許されるようになると、ズルズルとモラルが低下していって、そのうちセックスしだすようになりますよ! ホントに」 とダメ押し。

私も以前、同じテーマを取り上げて書いたが、改めてこのオジサン達が代弁してくれたと思った。電車内の化粧は娼婦の所作という欧米の認識を今さら持ち出すまでもない。それ以前の問題で、プライベート空間と公共の場での意識混同に加え、あわよくばそれがカッコイイスタイルとさえ勘違いした、甘えと堕落の産物だったのである。

電車内だろうが階段であろうが道端であろうが、どこにでも座る「地ベタリアン」も同じ。一人ではそれをやらない連中も、グループでいると抵抗感さえ起きない。誰がどこを歩いた靴で踏んで行ったか知れない路面だと言うのに。

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そんなこんなで、つい番組の最後まで見入ってしまったのだが、良い啓示を受けたと印象を持ったのが、先ほど述べた露木氏の「みっともないの語源」だった。普段、その発祥の意味も分からずに使っている慣用表現の語源を想像してみるのもいいなと思ったのである。

すぐに浮かんだのが「もったいない」という言葉だった。過去にそれをテーマにエントリを書いたせいだろう。語源なぞ、調べればすぐに答えが見つかるのだろうが、今はそれが目的ではない。どういう言葉から派生したのか、しばし想像を巡らしてみるのがいいのである。

すると、一つの言葉が浮かんできた。「もったいない」→「もっとあいない」→「もっと和えな(さ)い」である。粗末にせずにもっと使いなさい、という意味だ。もちろん、これが正しい語源だと言うつもりは毛頭ない。正解はきっとシンプルな由来なんだろう。でもこの自己流解釈、結構いい線行ってると思わん?

(註:ちょいと気になって調べてみたらこうだった。言わんこっちゃない、面白いモンじゃなかった)

「みっともない」と「もったいない」。案外これを意識するだけで、凛とした毎日を送れるかもしれない。



優勝とシード権とリタイア

箱根駅伝往路2区で区間新記録をマークした山梨学院大モグス選手と15人抜きの激走を見せた日大ダニエル選手に続き、復路でも超人の激走が見られた。

東海大のエース佐藤悠基選手が、7区で区間新記録をマークし、3年連続で区間新記録を樹立した。何より彼がすごいのは、毎年別の区間を走り、その3区間全てが新記録だという事である。来年も別の区間で新記録をマークすれば、何と全10区間のうち4区間の記録保持者になるのである。今からそれが楽しみだ。

試合は、首位早大を追う駒大が9区でついに追いつき、しばし並走状態になった。やがて早大を振り切った駒大「太もも筋肉マン」堺晃一選手が単独トップに躍り出ると、タスキはそのまま10区のアンカーへとリレーされた。また、中央学院大の篠籐淳選手が区間新記録をマークし、同校初の3位に浮上した。

同じく9区で熾烈なシード権争いのデッドヒートを展開したのは日大と東洋大。破れた方が11位となりシード落ちになる。ここがある意味、優勝争い以上に天国と地獄の境目だ。優勝争いの行方が見えてくると、代わってこのシード権争いに観衆の注目が集まる。最後の鶴見中継所では日大が落ち、東洋大と帝京大との10位争いに変わって行った。

だが、これでドラマは終わらなかった。

持ち直した日大アンカー笹谷拓磨選手が東洋大を猛追、ついにゴール2.5km手前で捉えた。これで東洋大が無念のシード落ちかと思われたその瞬間、何と前方に東海大の荒川丈弘選手が倒れていたのだ! これで往路の順天大に続き、復路では見たくはなかったが、大東大と東海大が途中棄権となってしまった。特に10区で棄権した東海大は、ゴールテープを切る走者さえもいなくなったのである。

危なげなく走り切った駒大の太田行紀選手が大手町のゴールテープを切り、3年ぶり6度目の総合優勝を飾った。大八木監督自身も3大大学駅伝15勝目の節目だったそうだ。

こうして2日間フルに観戦してみると、各校のランナーにとってこの箱根駅伝が何年経っても人生の大きな部分を占めるほどの影響を及ぼしているというのがよく分かった。挑戦あり、失敗あり、挫折あり、そして栄光ありと、箱根駅伝とは、そのまま人生のプロセスと結果の表れだからである。


珍しくスタートから全部観た

横浜で公務員をやってる長男と何年かぶりで会った親戚宅の飲み会で少々飲み過ぎてしまって迎えた朝だったが、それでも箱根駅伝のスタート時間までには少し余裕があった。

今年は早大が12年ぶりの往路優勝を遂げた。現監督の渡辺康幸氏が現役で走った時以来だそうだ。優勝候補と言われている駒沢大と東海大も2位、8位に付けている。今年はシード権内の10位までのタイム差は6分弱と大混戦、まだまだどこが総合優勝するかは分からない。

駅伝の醍醐味は区間新記録やゴボウ抜きの激走、一方で無念のブレーキが混在し、それらのすべてがチーム全体に波及する事である。良くも悪くもチームがそれをリレーし続けた結果が順位となる。しかも天国と地獄のシード権争いも含めて。

どんなに選ばれし者とて人間、ましてや学生のやる事だからアクシデントは付き物である。熱発明けの選手もいれば、十分な実力がありながら本番でそれを出せない選手。できれば見たくないシーンだが、それも箱根駅伝のドラマの一つである。

今年もそれが起こった。

山上りの5区を走っていた順天大の小野裕幸選手が、上って下って、再び上る地点で足に力が入らず転倒。起き上がって走り始めるが、また転倒。伴奏者から監督と医師が降りてくる。彼は再び立ち上がり走ろうとするも、また転倒。だが、その目はわずか500m先のゴール方向を睨んだまま逸らそうとはしない。ついに仲村監督が彼の肩に手を掛けた。この瞬間、前年覇者順天大の途中棄権が決まった。

選手の将来を思って決断した監督も棄権を知らされたチームメイトも辛いだろうが、何と言っても一番辛いのは本人だ。自分のせいでチームの1年間の精進も母校の名誉も全てをフイにしてしまったのだから。団体戦でありながらも個人競技の集合体という駅伝の厳しい現実である。

風のように走り去る「勝者」も美しいが、アクシデントと必死に戦いながら一歩でも先に進んで仲間にタスキを渡そうとする執念を身体全体から発し、それでも力尽きた「敗者」たち。彼らも同じように美しいと思う。

「これを糧にして次回にぶつけて欲しい」とは傍観者の正論に過ぎない。本人は一刻も早くこの場から消えてしまいたいし、いっそ腹でも切って死んでしまいたいとすら思っているだろう。こればかりは時間に解決してもらうよりしょうがない。自ら汚名返上するか笑い話に風化させるかだろう。

明日、同じシーンがないよう願うが、それでもゴールの大手町でシード権内に入れるか否かの悲喜こもごも劇が待っている。それが箱根駅伝独特のドラマである。


~ 復路に続く ~

2つ目の有終の美

11月に組織変更と幹部の異動があるというのは聞いていた。遅れに遅れた公示を今日になって目にしているが、組織変更に伴う思わぬオマケメールも届いた。

住み慣れた(?)16Fのオフィスから3つ下の13Fへ、部署丸ごとリロケーションするのだという。しかも引越完了日が第4週月曜日だそうだ。そうなると、前週までびっしり出張予定の私は、必然的に荷造りを1週間以上前に済ませておかなければならない。やれやれ大変な事になっちまったわ。

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本拠地札幌ドームで1勝1敗、ナゴヤドームで2連敗し、背水の陣となった日ハム。昇り竜中日に挑むは鉄腕エース、ダルビッシュ有! 昨年のシリーズ第5戦から、ポストシーズンは本拠地4連勝中で、今日敵地で初めて勝てば5連勝だ。シリーズ最多タイの13奪三振で威圧した第1戦の再現を狙い、是が非でも札幌ドームへリロケーション、じゃなくてリターンだ!

そのダルビッシュ、犠牲フライで1点を失ったものの、8回まで11三振を奪う好投を見せた。だが、もっと驚かされたのは中日先発の山井大介投手だった。なんとなんと、日ハム相手に8回までパーフェクト・ピッチングだ! この段階でも日本シリーズ新記録で、当然の事ながら観客の期待はもはやパーフェクト優勝以外にない、と思ったその矢先にまたもやドラマが起こった。

落合監督は9回初っぱなから岩瀬に替えたのである! 場内は割れんばかりの騒動である。それでも情を殺した非難覚悟の交代劇。一部のスキも決して作らず、勝利の確率にだけ徹した監督采配だった。中日にとって53年ぶりの日本一は、そうまでしても断固掴みに行かねばならない悲願だったのである。

であるにせよ、交代はせめてヒットを打たれた後でも良かったんじゃないかと思う。大舞台での完全試合なんて、まず出会えないと言っていい程の大チャンスだ。結末への興味はもちろん、山井自身もチャレンジしたかっただろう。もし達成できたら、ピッチャーにとってこれほど自信となる勲章もあるまい。楽天の野村監督も「10人の監督がいたら、あの場面では10人とも替えないだろう」と言っていた。今となっては所詮、「たら、れば」であるが、いかにももったいない。私だったら勝負の「現実」より「ロマン」を選んだだろう。

最少得点の1点を守り抜いた山井・岩瀬の継投完全試合も初の快挙だったが、シリーズMVPに輝いた中村ノリは、自分で播いた種とはいえ、背番号のない育成選手から今シーズンを始めた末の栄冠だった。お立ち台で涙に暮れた気持ちが良くわかる。スタンドで奥さんも涙していた。

ひと言、優勝監督インタビューのアナウンサーへ。何とか落合監督の涙腺を刺激しようとするのは結構だが、皆が一番聞きたかった「山井交代のワケ」をなぜ訊かない? 自分まで舞い上がってどうすんだ! お前はプロだろが!

こうして少々間延び感のあった日本シリーズは、セ・リーグ2位の中日がパ・リーグ優勝の日ハムに去年の雪辱を晴らす形で終わった。私にとってF1ブラジルGPに続いて2つ目の「記録と記憶と歴史に残る一戦」だった。スポーツにおける有終の美は、いつ見ても気持ちのいいものである。



F1最終決戦、笑ったのはキミ

F1最終戦のブラジルGPを残して、三つ巴のチャンピオン争い。こんなあり得ない名勝負を見逃してなるものかと、沖縄帰りの疲れた身体にムチ打って深夜のTV観戦を敢行した。

十分にアドバンテージを持っていたはずのルイス・ハミルトンは、史上初のルーキーチャンピオンへのプレッシャーからか、予選は2番手だったものの、決勝のスタートでライコネン、アロンソに抜かれると、途中、マシントラブルで大きく順位を落とした。その後、必死で追い上げたが、結局7位に終わった。一方、3連覇を狙うフェルナンド・アロンソも、フェリペ・マッサまで捉えるに至らず、3位。予選3番手だったものの、スタートで2位に浮上したキミ・ライコネンは、終盤で同僚マッサをからくも抜き、見事な優勝!

この結果、ライコネン110ポイント、ハミルトン109ポイント、アロンソ109ポイントという、まさに紙一重の差で、フェラーリのライコネンが驚異の逆転劇でワールドチャンピオンに輝いた。フィンランド人の世界チャンピオンは、1999年のミカ・ハッキネン以来である。日本勢では、デビュー戦の中嶋悟氏の息子、一貴(ウィリアムズ)が10位と大健闘。佐藤琢磨(スーパーアグリ)は12位、山本左近(スパイカー)はリタイアした。

皇帝ミハエル・シューマッハ一人勝ちの時代が終わって以来、久々に見応えのあるレースだった。同時に、間違いなく歴史に刻まれる名勝負だった。

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眠い目をこすりつつ出社。明日から当番予定のDJ型研修「Webトレーニング」のシナリオを自分流に書き換える作業をしつつ、中途入社社員研修の仕上げとなる説明会プレゼンの監修に出る。経験のある同業種からの入社とあって、皆さんそこそここなしていた。後はウチの会社独自のプレゼンスキルを身に付ければ、さらに効果的な説明会ができるようになるだろう。

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さて、沖縄旅行の往復で使ったJALの「クラスJ」には感心した。エコノミー料金+1000円で、ANAでいうスーパーシートの座席が使えるのである。座席は広く、オットマンまで付いているから楽チンで、那覇までの2時間半が苦にならなかった。飲み物の機内サービス時にもお煎餅とおしぼりが提供され、値段以上の満足感を味わえた。あれほどタカビーだったJALもだいぶ良くなって来たようだ。

だが、会社はANA第一優先。来週の札幌往復でプラチナ達成という状況では、もはやJALに浮気をするわけにもいかない。プラチナ・メンバーに付与されるアップグレードポイントで国内線ならスーパーシート・プレミアムを6回利用できる。ま、今はそれでいいけど。


野球にF1にボクシング

気がついたら、どうやら巨人がセ・リーグ優勝を決めていたようだ。視聴率低迷でTV中継が削減された頃から、さっぱり興味の薄れたプロ野球、おまけに熱烈なアンチ巨人の私にとっては「それがどうした?」ってなモンである。

昨日はパ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)で、2位のロッテと3位のソフトバンクによる第1ステージ決勝戦だった。試合はロッテが勝ち、日ハムとの第2ステージ3本勝負に進んだ。これでダイエー時代からソフトバンクは、優勝してもしなくても、どうしても日本シリーズに行けないという状態が続いている。

CSのそもそもは、消化試合解消のために2004年からプレーオフ制度としてパ・リーグで始まった。だが、結局は3位以内に入りさえすれば、結果次第で日本シリーズに出場し、日本一になる事さえ起こり得るのである。そうなるとシーズン優勝の重みも意味もない。ならば、メジャーリーグのようにワイルドカード制にすれば、同一リーグの日本シリーズという意外性も出るだけまだマシだろう。

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7日のF1中国GPでは、大方の予想を裏切るルイス・ハミルトン(マクラーレン)のリタイアで、ルーキーのワールドチャンピオン誕生という偉業がお預けになった。優勝はキミ・ライコネン(フェラーリ)で2位にフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が入り、この結果、ハミルトン107、アロンソ103、ライコネン100ポイントとなり、王者決定は最終戦ブラジルGPに持ち越された。大差のリードを奪っていたハミルトンも青天の霹靂だったろう。

セナ・プロ・マンセル時代以来のF1ファンとしては、近年稀なる三つ巴のファイナルバトルは大歓迎だ。史上最年少のルーキーチャンプ誕生か、3連覇を狙うアロンソか、はたまたライコネンの初チャンプへの執念か? 決勝の21日は深夜からの中継になると思うが、こうなったら何時になろうともこの目で結果を見届けるつもりでいる。

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さて、内藤大助vs亀田大毅のWBC世界フライ級タイトルマッチだ。下馬評では王者内藤が有利だそうだ。上体をトリッキーに振り、見えにくい角度からパンチを繰り出す「戦術の引き出し」の多さに加え、リーチでも約10cm上回る。それでも33歳の遅咲きチャンピオンの年齢と18歳の大毅の体力と勢いを比べれば、いくら判官贔屓の連中でも王者の絶対有利とは言い切れないだろう。大毅のビッグマウス「負けたら切腹するよ」の行方を思いつつ観戦した。

頭を低くしてガードを固めて前に出る大毅、足を使って左右に動く内藤。様々な角度から繰り出す内藤のパンチがヒットする。威力はともかく、その手数は大毅を凌駕した。前半4ラウンドが終わって発表された途中スコアは3-0で内藤で、私の採点も同じだった。

ボクシングは一発KOのパンチ力だけじゃない。攻撃、防御の総合力の勝負だと今さらながら感じる。同時に、チャレンジャーの手数が少なくて勝った試合はほとんどないとも。動き回った内藤よりも手数が少ない大毅の方が、不思議と背中の汗の量が多いのも気になった。前に出てプレッシャーを与えているように見える大毅も、逆に言い知れぬプレッシャーを受けていたのかも知れない。

中盤8ラウンドまでのジャッジも最大6ポイントの大差で内藤が優勢。試合は後半に入った。ここでクリンチ後に強引に投げ技を出す大毅にキレた内藤が、大毅の後頭部へパンチ。1点減点を食らう。しかし、ポイント大差でもはやKO以外に勝機のなくなった大毅も、焦りからか最終ラウンドで二度に渡り相手を投げ、3ポイントもの減点を食らった。

ここに来てついに大毅の未熟さ、脆弱な人間性が出た。もはやボクサーとは呼べない。いやらしい程に亀田寄りのTBS実況アナウンサーに加え、TBSポチ解説者の鬼塚氏は「ポイント差以上に接戦で僅差だ」とか「18歳でチャンピオンと渡り合ってるのがスゴい」とか、相変わらずの亀田ヨイショのバカコメントをしていたが、勝負は誰の目にも明らかだった。

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ふと、昼食後に明治通り沿いのカフェテラスに座って、行き交う人と車を眺めていた時の事を思い出した。

目の前の車道に、襲った小型のハトと共にカラスが落ちてきた。カラスはハトの柔らかいノドの辺りをクチバシで攻撃していたが、すぐに飛び立った。後方から車が来たからだ。おかげで難を逃れたハトが、ひっくり返った体をバタつかせて路上に立ったその時だった。一台のタクシーがあっという間にハトの頭を轢いて行った。その時の「クシュッ」という、無残にもあっけない音が、私の脳裏に鮮明に記憶された。

たとえ自分の生を信じきっていたとしても、諸行無常というものは思いがけない時に、思いがけない形で降りかかってくるものである。



状況対応力の金メダル

有言実行、期待に応えるというはこういう事である。

リオの世界柔道、約3年ぶりの国際大会となる谷亮子は、3回戦でアテネ五輪の決勝で対戦した強敵フレデリク・ジョシネ(フランス)に延長の末に優勢勝ち。準決勝では今年のヨーロッパチャンピオン、アリナ・ドゥミトル(ルーマニア)、決勝では欠場した前大会の覇者ヤネト・ベルモイ(キューバ)にいずれも優勢勝ちした。世界トップレベルの選手を全て直接撃破しての文句ナシ、世界柔道出場7連覇を達成した。

それでも彼女をして、ここまでの道のりは決して容易なものではなかった。4月、代表選考会となる全日本選抜体重別選手権で福見友子(21)に敗れた。02年4月の大会で、当時高校生だった同選手に負けて以来、初めて同一選手に二度敗れる屈辱を味わったが、代表には選ばれた。その理由は「過去の実績」だった。ならば、勝った若い選手はどうすれば選ばれるというのか? との批判が噴出したのを覚えている。

その後も乳腺炎や体調不良による欧州遠征不参加などのアクシデントが彼女を襲う。こういった場面があるたびに、それに対する重圧が特例的に選ばれた代表という立場の彼女を容赦なく襲った事だろう。「やっぱりダメなんじゃないか」と。

32歳の彼女はそれを跳ね除け、ついに「田村で金、谷で金、ママでも金」を見事に実現させた。なにも金メダルはオリンピックでなくてもいいじゃないか。もちろん彼女の事だ、北京でも獲るだろうが。

涙で顔をくしゃくしゃにして笑った彼女がとてもきれいに見えた。

初日こそ100kg級で2連覇を目指す鈴木桂治や復活を期す100kg超級の井上康生の敗退で大きくつまずいたものの、無差別級では棟田康幸と塚田真希が優勝。塚田は78kg超級の銀メダルに続き、2個目のメダルとなった。

これにより日本のメダル数は金3、銀2、銅4の計9個。女子の全8階級中7階級でのメダル獲得は初めて。各階級5位以内に与えられる来年の北京五輪出場枠は8階級(男子2、女子6)で確保したという。

競技柔道は世界に普及するにつれ、いつのまにか「柔の道」から格闘スポーツ「JUDO」へと変貌し、一本勝ちよりもポイント争奪指向となり、国際ルールも技の流れよりも最後に制していた方がポイントになるように変わっていった。日本も「一本勝ちの柔道」から「勝つための柔道」への移行を強いられている。

それに一番対応できていたのが、皮肉にもベテランのヤワラちゃんだったのではなかろうか? 事実、一本勝ちは1回戦のみ。彼女の「状況対応力」には底が見えない。



世界陸上フィナーレ

記録のためじゃなくて記憶のために書いておこう。

昨夜の世界陸上、短距離日本男子のフィナーレ、4×100mリレー。塚原、末続、高平、そして35歳の朝原のラストランでもあった。結果は日本新記録の38秒03。これはアテネ五輪の優勝タイム38秒07を上回るすごいタイムなのだが、結果は5位。何と上位4チームがすべて37秒台だったのである!

100mで孤高のランナーとしての男泣きとリレーチームの健闘を称えて目を潤ませた朝原宣治選手、日本短距離界をリードしてきた実力と共に人間的にもすばらしいアスリートだったに違いない。お疲れさま!

今朝の女子マラソン。5人の日本人選手が出場したが、土佐礼子選手が気迫と根性の走りで3位に入り、日本に今大会初めてのメダルをもたらした。40km過ぎから前を行く中国選手を抜き、口を開き歯を食いしばって、さらに上位を狙いつつゴールした。細過ぎる身体でケガを克服しながら結果を出した鋼の女性ランナーを、私は忘れない。

実況アナウンサーが絶叫していた。

「水を取ったトサ! 喰らいついて欲しいトサ! 抜いた抜いたトサ! 後は逃げるだけだトサ!」はご愛嬌としても、「夫唱婦随の銅メダル!」に至ってはチト大げさ過ぎやしないか?

陸上競技で世界に勝てる種目は、瞬発力の要らない長距離で、選手間の体格差が少ない女子とすれば、この女子マラソンという事になるだろう。来年の北京五輪代表選考会も兼ねていたので、他の有力選手は出場を見合わせたようだが、一度は人数に関係なくオールスターキャストのレースを見てみたいと思ったのは私だけじゃあるまい。

ファイナル中のファイナルレースは、男女4×400mリレー。すでに4×100mリレーでは、男女ともアメリカが優勝しているので、これにも優勝すれば、ロス五輪以来のリレー男女完全制覇となる。結果は、圧倒的大差で男女ともアメリカが金メダル。偉業達成となった。

真夏の大阪は世界屈指の苛酷な気象条件と言えよう。そのおかげか、世界新記録こそ出ていない。それでも今シーズン世界最高記録は結構出ているあたり、さすが世界一流のアスリート達である。

大阪の人にとっては、とりわけ高い印象だった入場料。有料入場者数も伸び悩んだと聞く。関西人が決してケチだと言うつもりはないが、選手達が豆粒みたいにしか見えない広い競技場の一角で、猛暑に耐えながら高い入場料を払ってまで見物するのは、私もゴメンだ。今やアスリートのカケラもないこの身には、織田裕二がやかましいものの、選手もアップで見られる涼しいTV前特等席が一番いい。もちろんビール付で。


羽生のせいじゃない

中村俊輔の言う通り、PK戦は運なので何が起こっても不思議じゃない。だからこの結果も十分あり得るのである。

サッカーアジア杯の3位決定戦の日韓戦で、PK戦の末6-5で日本が敗れた。最後のキッカーとなった羽生はその場に泣き崩れた。歓喜の韓国は、後半途中から退場者を出して10人となり、日本に有利な状況が続いた。それでも延長戦30分を終わっても1点も取れなかった。

1人少ない韓国は当然引き気味になり、相手の縦パスやセンタリングをカットして守ろうとする。人数が少ないから、それはやむを得ない。だからドリブル突破で来られるのが一番嫌なのである。ディフェンスラインが崩され、攻撃側にフリーの選手を作られるからである。

なのに日本のパス回しが自陣のディフェンスゾーンで長い。バックパスも目立つ。逆にドリブル突破があまり見られず、前線へは縦パスがいくがカットされる。これなら守備側の負担は軽い。何よりも1点が必要な局面なのに、先日のサウジ戦でも見られた悪いクセが出てしまった。

もっと早くボールを回し、ドリブル突破を交えて相手を撹乱してこそ勝機が生まれる。連戦の疲れもあり、慎重になるのも分からなくはないが、これではパワープレーのメリットが生かされない。

一方、韓国にしたら不利な状況にもかかわらず、120分間で1点も入れさせなかったのだから「してやったり!」というところだ。おまけにPK戦をモノにして次大会のシード権まで手にしたのだから言う事なしである。

考えて走るエレガントサッカーも韓国の執念の前にはカラ回りだった。サポーターは、試合後「残念だがサッカーにおいて、また人生において勝つ事もあれば負ける事もある」とコメントしたオシム監督と共にひたすらガマンしてきたが、このままではワールドカップも危ういと感じたのは私だけだろうか?




Ichiro's way 2

メジャーリーグ・オールスター戦。場所はサンフランシスコ・AT&Tパーク。5回表、イチローの第3打席。2m超のクリス・ヤングの真ん中やや低めの速球を一振すると、打球は右中間スタンドに向かって一直線に伸びていった。オーバーフェンスこそ至らなかったものの、フェンスに当たったボールはライト線に向かって転々と転がっていく。

フェンス越えを確信していたかのようにゆっくり走っていたイチローは、一塁ベースを回って大加速。バックホームがそれた時には悠々と本塁を駆け抜けていたである。

オールスター史上初、もちろん日本人初のランニング、いやインサイド・パーク・ホームランの誕生である!

試合もア・リーグが辛勝し、晴れてイチローがこれまた日本人初のMVPを獲得した。Congratulations!

思えば3年前、「Ichiro's way」で、それまで力勝負が注目されがちだったメジャーリーグで、彼のパフォーマンスは良きヒントになるだろうと書いた。今や彼はヒントどころか、ヒーローの新しいジャンルを確立したと言えるほどの存在となった。

その証拠が、試合前に報じられた「マリナーズ残留、5年1億ドル(約123億円)で契約合意か」と地元紙が報じたニュースだ。プロスポーツにおける真のプロフェッショナルとは、客を呼べるプレーヤーに他ならない。一見破格とも思える年俸は、それができる彼にこそ支払われるべきだし、受け取るべきものである。

シーズン200本安打達成といい、昨年3月のWBC初代チャンピオンといい、選ばれし男には、舞台とスポットライトが当たるべく運も味方する。「運も実力のうち」とは、プロフェッショナルとして実力がある事の裏返し、彼であれば十分納得がいく。言い得て妙なり。


しばし、異空間の旅

昨日から同級生のお宅にお泊りに行ってて息子は留守、今日も仕事に行ってるカミさんの冷ややかな目に耐えつつ9連休最後の日をひとり過ごしている。

連休が明けた今週末からは「POOB総会in琵琶湖」と全国研修ツアーの始まりで、ほとんど毎日旅の空状態となる。ゆっくりできるのは今のうちなので罪悪感は湧かないのだ。

結構本格的な雨模様の昼下がり、とあるコミックス単行本を片手にドトールカフェへ。単行本の題名は「宗像教授異考録2」。現在もビックコミック連載中の伝奇マンガで、作者は星野之宣氏。私は彼をデビュー当時から知ってはいたが、その頃はSFマンガにもかかわず妙に落ち着いた画風がつまらなく感じ、以降は遠ざかっていた。

今回改めて読もうと思い立ったのは、テーマが民俗学なので彼の画風にマッチしている事と、何よりストーリーにとても興味を引かれた事である。東亜文化大学民俗学教授の宗像伝奇が、昔話や言い伝えの歴史の謎を解いていくという物語で、例えばこうである。

邪馬台国はどこにあったのか? 

畿内説(奈良県)と九州説が有力だが、魏国から卑弥呼に下賜された100枚の銅鏡がある場所が卑弥呼の墓、すなわち邪馬台国の決定的証拠となる。だが、この2地点は別々のものではなく、古代日本において深くつながっていたのである。

神話の「天孫降臨」すなわち高天原から天孫一行が降り立ったのが九州の高千穂。以後、彼らの子孫は日向(宮崎県)に四代住んだが、やがて西暦248年頃、卑弥呼の死後、一部の勢力は新天地を目指して旅立った。紀伊熊野に上陸後、着いた先は奈良県大和の地で、そこにクニを築いた。これが神武天皇の東征神話で、大和朝廷の草創だった。

驚くべき事は、九州と大和、特に原・邪馬台国とされる福岡県甘木市周辺と新・邪馬台国とされる奈良県桜井市周辺、さらには東征出発地の日向周辺と上陸地の紀伊熊野周辺の地名とその位置関係がほとんど同一だという事実である! まるで鏡に映したかのように。偶然にしては出来過ぎである、実際に歴史的関係があった見るのが自然だろうと宗像教授は言う。

実は東征は邪馬台国のクーデターだった! 

卑弥呼亡き後、新しい王になろうとした男のために内乱が始まったと魏志倭人伝は伝える。卑弥呼が二度と生き返らない呪いのために100枚の銅鏡の全てが割られた。やがて新女王によって内乱は治まったが、分裂派は東征し、大和に新・邪馬台国を築いた。後年、彼らは軍勢を率いて日向に攻め戻ってきた。

彼らの目的は、本家・邪馬台国を潰す他に卑弥呼と共に眠る割られた銅鏡だった。それを大和に持ち帰って量産し、権威を示すために畿内周辺に配るつもりだったのである。だが、後に大和政権が中国から職人を招いて大量の銅鏡を作らせたため、卑弥呼の銅鏡の存在も虚実がはっきりしないままになってしまったという。

「割られた鏡」と題された、このロマンチックな話が、わずか70ページのマンガで味わえるのである。しばし時空を超えた至福の時を過ごした。

この他にも、中国の犬祖伝説、犬を愛した狩猟民族の縄文人とそうしなかった農耕民族の弥生人、さらには里見八犬伝とが絡み合う「花咲爺の犬」、中国、日本、ギリシア神話を結ぶ七夕伝説の「織姫と牽牛」が収録されていた。

たぶん、これらを活字で読むと人名地名漢字のオンパレードとなり、本来のダイナミックさがうまく読み取れず、億劫になってしまうのではと思うが、グラフィック性に優れたマンガであれば、それが十分に伝わってくる。これをキッカケにして本気で勉強したければ、その時きちんと書籍を紐解けばよいのである。

「一流のマンガは一流の書籍に匹敵する価値がある」というのは40年以上マンガを読み続けてきた私の持論である。こういった出会いがあるからマンガはやめられない。


プロフェッショナルたち

昨日見たNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、専門看護師、北村愛子氏の話だった。

生死の境をさまよう重篤患者のケア(クリティカルケア看護)のライセンスを持った専門看護師。高度な専門知識をバックボーンとした看護に対する発想は、しばしば主治医を動かす。だが、ICU4年目で担当した幼い少女の死、親友の死など、経験20年の彼女には乗り越えて来たいくつものつらい経験があった。

これらの経験を重ねて行くうちに「医療ってどうあればいいのか、看護ってどうあればいいのか。何もできないな」と嘆いていた彼女は、一つの事に気づいた。「看護に限界はなく、その限界を作っていたのは自分だった」

そして彼女は看護の仕事を極めるため、「専門看護師」の道を突き進んだ。

番組では、スタジオインタビューの最後に本人にこう訊く。
「あなたにとってプロフェッショナルとは?」

「自分のやる事を分かっていて、本当に責任を持って仕事をする人ですね。そして行動に移す人です。考えてばかりいないで、きちんと行動に移す。責任を持って行動に移すという事ですね」

いつ見てもこの番組には心が洗われ、同時に引き締められる。それはきっとすべての出演者がプロフェッショナルとして仕事をし、その現場から言葉を発しているからに違いない。だから、例えどんなに不器用に聞こえる言葉であっても、聴く者の心にズシンと響いてくるのである。

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そのほか過去出演のプロフェッショナル達の「プロフェッショナル」とは?

ベンチャー経営者、秋山咲恵氏 「プロフェッショナルとは、自分が信じた道をまっすぐにひたむきに歩く人。本当にできるのかと思ったような理想が形になる。それを目指して努力する人が、プロフェッショナルだと思います」

ユニセフ、杢尾雪絵氏 「やっぱり『信念を持って人間の仕事をする』、自分の信じている事に忠実に、それに自信を持って仕事をするという事かしら」

パティシエ、杉野英実氏 「永遠の未完成でいたいと思っているんです。だから、今日よりも明日、明日よりもその次の日が、もっとおいしいお菓子ができるように、あきらめないで自分を高めていきたい。それがプロなんですかね」

小児心臓外科医、佐野俊二氏 「誇りと責任です。誇りを持たないといけない。誇りだけで責任がとれない人はだめです。それをしようと思えば、やっぱり努力しないといけない」

玩具企画開発、横井昭裕氏 「素人が千人集まっても一人の人にかなわない。その一人の人がプロだと僕は思っているのですけれどもね。圧倒的に力の差があるという、その技量、ノウハウを持った人がプロフェッショナルですね」

テストドライバー、加藤博義氏 「嘘をつく必要はない。できる事はできると言えばいい。できないというのは、プロがやすやすと言う事じゃない。なんかやってくれるかもしれない、どうにかしてくれるかもしれない、そう思わせてくれるのがプロでしょ」

商品企画部長、佐藤章氏 「やっぱり愛情がある人だと思いますね。テクニカルなプロじゃだめなんですよね。だから人の気持ちの中に入っていける、その中に入っていける人って、やっぱりプロ」

庭師、北山安夫氏 「逃げられない人。要はアマチュアというのは辞められる、いつでも辞められるんですね。プロは辞められないですよ。引き受けたと言うたら最後までやり通さなければならない」

WHO医師、進藤奈那子氏 「やっぱり情熱じゃないかな。プロフェッショナルとは技と情熱。託されたミッションをきっちり遂行するためには必要な事。漠然と仕事をしてはいけない」

経営者、新浪剛史氏 「ぶれなく信じて率先するという人だと思います。信じた事を常にぶれずに率先する。常に率先してやる人、それがプロフェッショナルだと思います」

樹木医、塚本こなみ氏 「一生この道を究めてみたいと思い続ける人。ここまで行っても、ここまで行っても、究めきれない道なんですけど・・・。でも、究めてみたい」

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どんな大家の書いた啓蒙書より燦然と輝く言葉の数々。これだけで人生指南に十分である。



雨中の大フェスティバル

9時前にゆっくりと目が覚めた。

そういえば、今朝は3万人が走る大都市市民マラソン「東京マラソン2007」である。スタートは9時過ぎで、その号砲は我が家からでも聞こえるはずだ。

この東京マラソンは、今まで「東京国際マラソン」と「東京シティロードレース」で別々に行われていたレースを統合して初めて行う大会だという事である。都庁をスタートし、皇居、銀座、浅草など都心の観光名所を巡って東京ビッグサイトにゴールする新コースで、同時に10キロレースや車いすレースも実施される。

だが、図ったかのような生憎の雨天。それでもTV画面には、東京メトロから配られたビニールカッパを着た驚くほど大勢の参加者が都庁前の道路を埋め尽くしていた。3万人という数の群集とは、これほどの景色を作るものだとしみじみ感じ入った。まさに「人間絨毯」である。

参加選手で記憶にあるのは、歴代2位の2時間4分台の記録保持者のコリル(ケニア)、04年東京国際優勝者で6分台の記録保持者のダニエル(ヤクルト)、アテネ五輪で最も有名な銅メダリストのデリマ(ブラジル)などの外国勢。

日本選手では、アテネ五輪5位の油谷(中国電力)、福岡国際出走後2ヶ月の佐藤(旭化成)、同じくアジア大会出走後2ヶ月の入船(カネボウ)、5年前の箱根駅伝で花の2区でリタイアした記憶も新しい初マラソンの徳本(日清)あたりが耳にしている選手である。

また、女子ランナーは初マラソンの新谷(豊田)を始め、有森、市橋のラストラン、おなじみの谷川、山下、山口らも走る。7時間にわたる都心の交通規制も含めて、まさに市民挙げての大フェスティバルである。スターターの石原都知事もご満悦の表情だった。

それにしても銀座4丁目を大勢のランナーが走っている画は壮観だ。雨天のせいか沿道の人もまばらで、ほとんどの道路に車も走っていない。24時間人も車も動き続ける大都会で、年に一度くらいはこんな日があってもいいだろう。

レースは25kmでジェンガがスパートし後続を引き離す。必死に追う日本勢の入船、佐藤、徳本。しかしその差は開いていく。結局、2時間9分45秒でゴールの東京ビッグサイトに駆け込んだ彼が初代優勝者となった。日本人トップは2位の佐藤。

来日15年のケニア人、ダニエル・ジェンガは優勝インタビューでも流暢な日本語で答え、涙を浮かべ声を詰まらせていた。その表情からは、日本人となんら変わらないという印象を受けた。自分でも言っている通りに、30歳の彼の半分は日本人と言ってもいい。それほど日本に溶け込んでいる。

それにも増して感銘を受けたのは、彼の給水場面だった。

普通、スペシャルドリンクによる給水が終われば容器は路上に投げ捨てられる。だが、彼は手にするドリンクに添えられていた仲間からのメッセージフラッグを丁寧に読みながら走り、なおかつその都度それを外してトランクスにしまって走り続けたのである。

シビアなレース中にも関わらずそんな行為ができるのは、彼の感性という他ない。今まで見た事のないそんな光景を見て、彼の中に宿っている日本人という枠を超えたすばらしい何かを感じた。

50代後半でマラソンフリークの元上司だった人は、惜しくも抽選に漏れて走れなかったそうだが、来年の幸運を祈る。長距離走は、たぶん見ているよりも走っている中にこそステキなドラマがあると思うから。



神の子撃沈

レスリング60kg級で北京五輪を目指していた「神の子」山本”KID"徳郁選手(29)が、全日本選手権準々決勝で井上謙二選手(30)にわずか16秒で巻き投げを食らいフォール負けした。おまけに右ひじ後方脱臼で全治3~4カ月のケガを負った。

K-1で一世を風靡しスターになったKIDが、父の意志を継いでオリンピック日本代表を目指して再スタートした直後の大会だった。だが、そこにはアマチュアレスリングならではの困難な壁があったようだ。

井上選手の投げ技がモロに決まった最大の原因は、両腕のタトゥーだった。それを隠すために前腕部をテーピングで覆って臨んだことが災いしたという。恩師の高田裕司・山梨学院大監督は「テーピングをしていなかったら、投げがすっぽ抜けた可能性もある」と惜しんだ。

私も前々からKIDのタトゥーは気になっていた。K-1のようなショー的プロ格闘競技ならタトゥーもファッションのひとつで問題はない。須藤元気選手も背中に大きな鳥か翼のタトゥーを入れている。だが以前、プロボクシングでタトゥーを入れた選手の選手資格が問題になった記憶がある。ましてやアマレスともなれば物議を醸さないワケがない。

前腕部のテーピングは、例えて言えば腕にまわしをつけて相撲を取るようなものじゃないか。投げ技や関節技の引っ掛かりを作り、スベリ止めを与えてあげてるようなものである。異種格闘技の試合で柔道家が道着を脱ぐのは、パンツ一丁のプロレスラーに対してあまりに不利となるからである。

プロ格闘家ゆえ許されていたタトゥーが、自らを苦境に落とす原因になろうとは皮肉なものである。だからと言って、それを理由に志を曲げる必要は無い。どんなに険しかろうと、そこに道がある限り、歩くのは本人の自由である。

また、プロの格闘技ではパンチやキックといった打撃が許されている。いちいち組んだり投げたりするよりも効果的だし、もともとアマレスのようなポイント制はない。選手は初めからKO狙いで臨むから、当然有効な攻撃を選ぶだろう。事実、KIDの持ち味もそのパンチ力にあった。

だがアマレスは打撃はご法度、グラウンド技でポイントを積み重ねていく競技である。ブランクの長かったKIDには、このギャップこそが想像以上に高い壁になっていたのではなかろうか。昔取った杵柄程度では到底埋められないレベル差だっただろう。

とは言え、まだ北京五輪代表への道が完全に閉ざされてしまったわけじゃない。一縷の望みがあるうちは彼もあきらめはしないだろう。報道では、全日本選手権の8強入りで出場権を掴んだ6月の全日本選抜に向け、左腕一本でも練習を再開するという。

キリスト同様、復活するのも「神の子」に課せられた宿命である。



変貌を遂げたチャンピオン

相手を甘く見た陣営が負ける。進化できなかった選手が負ける。

疑惑の8月2日から4ヶ月半、ランダエタのリターンマッチともなる亀田興毅の初防衛戦。和田アキコの君が代独唱や亀田のサンタ姿でソリに乗っての入場シーンは「またTBSの過剰演出か」とも思わせたが、相手もセコンド陣とお揃いの豹柄スーツで登場したので、これはお互い様か。

前回と変わらずフットワークを抑え、右ジャブからカウンター狙いで打ち気満々のランダエタ。一方、前回までの力任せの猪突猛進スタイルが鳴りを潜め、一転してフットワーク中心のアウトボクシングスタイルに変わった亀田。時折見せるノーモーションのフックやボディーブローが小気味よくヒットする。足を止めない亀田にランダエタのリズムが次第に狂っていった。

KO狙いの戦法ではなかったが、圧倒的な判定勝ち。もし亀田が今後もこの戦法をメインとするなら、試合自体は素人受けするシーンが少なくなるだろうが、負けないチャンピオンとして長く王座に座り続けられるかもしれない。

振り返ってみれば、それまでの戦法に無理があったとも言える。打ち合いを望み、より強いパンチで倒しにかかるというのはハデでカッコよく見えるが、長続きする戦法ではない。相手との距離が近ければラッキーパンチをもらう確率も高いし、動きも読まれやすい。特に相手に合わせてカウンター狙いのタイプの選手には、亀田はポイントの獲りやすい相手とさえ見えただろう。前回、微妙な判定とまで言われたのは、まさにそれが原因だったのだ。だから今回の変貌の意味は大きい。

さて、オフサイトミーティングで「来年に向けてどうするか」という発表が明後日に迫っている。8月の彼はコキ下ろしたが、今日の彼には刮目させられたと同時に、とてもいいヒントを貰えた気がする。

私も「ヒット・アンド・アウェーのできる研修職人」になろう。


雨の中の失速

品川のジャスコまで買い物がてらドライブ。その帰り道にうっかりして東京女子マラソンの交通規制に遭遇してしまった。

小雨の中、ストップさせられたのは、平和島の折り返しから品川寄りのちょうど25km地点の近くだった。15分ほど待っている間、折り返し地点に向かう一般参加者のとてもマラソンランナーには見えない姿に唖然としてたら、とっくに折り返して反対車線を戻って来るペースメーカー、イワノワを先頭に土佐礼子と高橋尚子のマッチレースの姿を見る事ができた。

その早いこと! 早いこと! 

あっという間に目の前を過ぎ去って行き、後は車のTV中継で追っていくしかできなかった。強くなってきた雨の中、高橋はまだ白いキャップを被ってピッタリ土佐に付いていたが、この後30km過ぎに引き離され、結局3位に終わった。10℃を切るコンディションの中、世界陸上代表条件のタイムをクリアできなかった土佐、連覇ならなかった高橋とそれぞれが辛いレースとなった。

高橋はこれで終わってしまうのか? それとも去年のようにマラソン職人として華麗に復活してくるのだろうか? 

本当の理由は定かではないが、小出監督から独立してチームQを立ち上げての取り組みだから簡単にあきらめはしないだろうが、土佐の30歳、高橋の34歳の差は思ったより大きいか。ちょっと心配になった。

その後も行く先々で規制に会い、結局東京を半周する勢いで帰宅するハメになった。普段なら10数kmの距離を倍以上走った。

でも、明日の仕事さえ終われば、遅い夏休みとなる。なんと四季休暇をプラスしての9連休の始まりだぁ~! 

24日からは、前泊で天橋立経由のPOOB鳥取カニ食い総会、そして後泊の三ケ日経由の3泊4日、生まれて初めての長距離1500km超のドライブ旅行が待っている。ワクワク・・・。



作られたチャンピオン

8月に入って、すぐに新製品専門MRの研修が始まった。今日はその2日目。ここまでの学術知識研修はすべて私の担当だった。昨日の晩は懇親会&二次会であわや午前様。今日もDr招聘の勉強会をはさんで一日中しゃべりっぱなし。さすがにヘバった。寄る年波とやらも感じたわ。

今回のメンバーには昔からの飲み友達がいて、彼らを誘って例の代々木の居酒屋「魚籠庵」へ行った。いつもの定番メニューである幻のカツオ刺、豊後サバ刺、砂肝唐揚げ、究極のおでんなどなど、連れて行ったメンバーに気持ちいい位感激されて満足感一杯で帰宅した時、ちょうど亀田興毅のタイトルマッチが始まった。

ここで私はハッキリ言いたい。TBSと協栄ジムは何人のジャッジを丸め込んだんだ、と! 1Rにダウンを奪われ、その後も明らかに有利なラウンドも無く最終ラウンド。ここまでどう見てもランダエタが亀田に一方的に押されたというラウンドは無かった。なのに判定は115-112(ランダエタ)、113-115(亀田)、113-114(亀田)、大きな差で割れてそれぞれに1票ずつ入り、3人目のジャッジはたった1ポイント差で亀田。2対1で亀田の判定勝ちとなった。

戦った本人には応えられない勝利だったろうが、観ているこっちには到底納得できない結果だった。思えばデビュー以来の連勝も疑惑の相手との戦いばかりだったし、このタイトルマッチにしても1階級下でチャンピオンが空位となったゆえの王者決定戦だった。通常の世界戦のようなリアルチャンピオンとの戦いではなく、勝った方がチャンピオンになれるという戦いだったのである。

プロのスポーツ興行というものは、所詮はショービジネスの側面を持っているというのは、こちらも大人として分かってはいる。亀田をバックアップしてきたTBSと協栄ジムにしても傷つく事なくサクセスさせれば、大金を生むスター誕生だという思惑もあろうから、亀田兄弟についてはある程度までは容認もやぶさかでないと思っていた。あくまで発展途上だから、である。

だが、いくら何でもこれはやり過ぎだ! 亀田のどこにダウンを喫した情勢を逆転できる場面だあったと言うのか。ジャッジ間の極端な票割れを見ても明らか、少なくともリアル格闘技でここまでひどい判定が下った記憶は私には無い。プロのジャッジたる者がこんな判定を下すのか? だとすれば何かがあったと思うのが普通だろう。ホームタウン・デシジョンでは済まされまい。この結果には各方面からの議論彷彿が断言できる。

悲願の世界チャンピオンを獲ったはずなのに、私にはその姿がカスんで見えて仕方ない。カスんだヒーローには輝きも見えない。


カリブの海賊2

昨日はカミさんが仕事だったので、終わったら食事がてら映画でも観ようという事になり、久しぶりに大泉のOZスタジオシティにあるT・ジョイ大泉へ行った。

何を観るかという段になって、ちょうどこの日から公開される「パイレーツ・オブ・カリビアン~デッドマンズ・チェスト」のレイトショーをチョイスした。

公開初日に観るなんて、昨年5月の「交渉人 真下正義」以来である。しかも前作や本編シリーズをロクに観ていなかったというところも同じである。さらにこの映画は3作目の公開も決定していて、すでにアナウンスもされている。近頃ハヤリのシリーズものである。

古くは「スターウォーズ」や「ロードオブザリング」、最近では「デスノート」あたりが、続編があるゆえやたら唐突な終わり方をする事で議論を呼んでいる。いくら続きがあると宣言していても、ひとつの映画作品として見れば不完全な構成だという意見である。結局、続編を見る必要性を煽っておいて、同じように観客を動員したい思惑だとか。これなら多少の駄作であっても大コケは免れる保険ともなるらしい。

カリブの海賊2も、ネタバレに過ぎぬよう簡単に書くと、クライマックスは主人公ジャック・スパロウが一人でクラーケンと戦うハメになり、船もろとも海に沈んでゆく場面。クラーケンと言えば、北欧神話やドラクエだったかに出てきたイカの化け物と思っていたが、ここではタコの化け物らしい。そういえば「テンタクルズ」もタコだったな。タコは欧米人にはデビルフィッシュとされ、好まれていないせいからか? その後のジャックの行方は分からないままである。生き残った連中が、世界の果てまで彼を探しに行く事を決意して終了。続きはカリブの海賊3でのお楽しみという事だ。

この映画は、もっと恐いアドベンチャーものだと思っていたが、案外コメディタッチのドタバタ劇に近かったという印象だ。ディズニーランドのアトラクションを意識した場面もあり、結構笑わせてくれた。それでも150分はちと長い。

全体的にはCG(とはもう言わないのかも)をふんだんに使った映像と凝ったメイクが印象に残るが、ストーリーは単純で、ジャック以外のそれぞれのキャラと役どころも予想の範疇だった。ハリウッド大作映画ならもっとハラハラ・ドキドキ、ワクワク・ソワソワさせてくれてもいいんじゃない? それにしても最近の映画の音響のボリュームは大き過ぎる。前から7列目だったせいもあろうが耳にガンガン迫ってくるので、うるさいのなんの。

映画のデキからすれば、同じく公開中の「日本沈没」とどっちを観ても大差ないような気がする。日本沈没は観る気ないけど。



ラストダンスはアズーリと

眠い目をこすりつつ、また見てしまった。いや、「ル・ブルー」フランスvs「アズーリ」イタリアのワールドカップ決勝は見ずにはいられなかった。

先制したのはフランス。前半早々、まさかのPK。開始7分にアンリのパスからマルダが倒されてPKを獲得、ジダンがチップキックで決めた。しかし私から見てもVTRから見てもPKが与えられるような反則には見えなかったのだが。

イタリアも黙っていない。、左右両サイドバックの攻撃参加などで攻勢に出、19分に右CKをマテラッツィが頭で合わせて同点。それにしてもイタリアは早い時間帯に同点に追いついて良かったと思う。あんなPKが決勝点だったらたまったもんじゃなかったろう。

そして、ここから微妙なドラマが始まる。

まずはアンリ。試合は延長に入り、アンリのプレーは精彩を欠き始めた。簡単にボールを奪われた後、右足を押さえた。その直後、ゴールを決められないまま交代となった。無念のアクシデント。

そしてジダン。

マテラッツィと何度か言葉を交わした後、突然胸のあたりに強烈な頭突きを見舞った。マテラッツィはピッチに倒れ込んだが、プレーと全く関係ない場面での行為にレフェリーは気付かなかった。GKブフォンが猛抗議し、主審が確認の上、ジダンにレッドカードを出した。

この瞬間、名誉あるラストダンスが不名誉な退場劇に変わってしまった。

それでもこの試合は、時間が進むに連れフランスの攻守に渡るゲーム支配が目立っていた。イタリアが後半10分に、一気に交代カードを2枚切って攻勢に出てきても、フランスの鉄壁の守りは揺らぐことなく、120分間でイタリアにシュートをわずか5本しか打たせなかった。

試合はPK戦へもつれ込む。ここで非運だったのは、延長前半10分からピッチに立ったトレゼゲだ。PK戦で小刻みな助走から右足を振り抜くが、クロスバーを叩いたボールは真下に落下。すがるような目で副審を見たが、成功を示す旗は上がらなかった。この時、彼こそが世界で一番落ち込んだ背番号20だった。

結局5本のPKを成功させたイタリアが、5-3で過去の決勝でのPK戦全敗の汚名返上の優勝を飾った。敗れながらもMVPのジダンは、ついに表彰式にも姿を現さなかった。彼の心にどんな波風が起こったのか?

これで少なくとも代表引退が決したジダン、34歳。一方ブラジル戦で惨敗後、引退表明した中田、29歳。僅かと思える5つの歳の差は、サッカー界では結構大きな意味のある歳の差だ。

エールを贈るべくは「ご苦労さまでした」のジダンか、「次も頑張れよ」の中田か。



素敵な天敵ジダン

ロナウジーニョが好き!

という事でワールドカップ、ブラジル対フランスを眠気と戦いながら観戦。その前に行われたイングランド対ポルトガルも途中まで見ていたが、膠着状態が続く中、ロナウジーニョのために目覚ましをセットしていったん寝る事にした。

フランスの主将ジダンは、今大会限りで代表引退が決まっている。ジダンと言えば、故障していたとはいえ前回の日韓大会でのぶざまな自滅転倒シーンを忘れる事ができない。世界の一流プレーヤーであってもフィジカルな限界は必ず訪れる。でもそれをこの舞台で見たくはなかった。しばらく起き上がる事ができなかった彼の姿に王者の落日を見た。だがこの時彼は、まだ30歳だったのである。

今回のドイツ大会に臨むにあたり、若手起用が不発に終わっていたフランスは再びジダンを呼び寄せ、ここまで勝ち上がってきた。いや、ジダンが復帰しなければ、ワールドカップに行く事も叶わなかったかもしれない。フランスは欧州予選から深刻な決定力不足に陥っていた。そうそうたるメンバーがそろっていながら、得点が奪えない。チャンスを作り出す選手がおらず、いつしかジダン待望論が沸き上がっていたという。

そして代表引退からおよそ1年後の2005年8月、フランス代表に33歳のジダンが帰ってきたのである。そのフランスと激突する史上最強と言われる今回のブラジル代表、前々回フランス大会決勝以来の雪辱を期しているに違いない。

だが、ブラジルは必殺の「クアトロ・マジコ」ではなく、アドリアーノをベンチに下げ、ロナウドとロナウジーニョのツートップという変則的な布陣。MFであるはずのロナウジーニョがFWにいたら、前線への攻撃的パスは誰が出すんだ? もしかしてこれは、世界最高プレーヤーで彼の大会になるだろうと言われたわりに未だ無得点のロナウジーニョの調子を上げる狙いなのだろうか? 一瞬イヤな予感がした。

やがて予感は的中する。後半12分、前半から冴えまくるジダンの華麗でアグレッシヴな足技そのままに、流れに乗ったフランスが先制点を挙げる。ジダンが左サイドから送ったFKに、ファーサイドで走り込んだのはアンリ。完全にフリーとなって合わせたボレーは、ブラジルのネットを強烈に揺らした。これが決勝点となった。

フランスは攻撃的な布陣のチームだが、ディフェンスが極めて強い。この試合でもフィジカルの強さでブラジルの華やかな攻撃陣を自由にさせなかった事が勝因と言っていい。1点を勝ち越されてから猛攻を仕掛けたブラジルだったが、最後に訪れたロナウジーニョのFKも枠を外れ、ジ・エンド。

またしても天敵ジダンのフランスにしてやられたブラジル、連覇を目指したがベスト8で姿を消し、4強は全てヨーロッパのチームとなった。マンオブザマッチに輝いた34歳のジダンに、ロナウジーニョの何倍もシビレた一戦だった。

サッカーに限らず、総じて運動量の多いスポーツの選手生命は短い。たまにはとことん現役主義を貫く選手がいてもいいじゃないか。

ジダンよ、引退なんて早すぎる。南アフリカ大会にも行け! ついでにカズもまだまだガンバレ!




そして幕切れ

意表をつかれたセレソン達は、さぞ驚いたに違いない。

開始早々からのブラジルの強烈なシュートを、川口が例によってスーパーセーブを連発しながら凌ぎつつ迎えた前半34分、三都主のスルーパスを受けた玉田のノートラップシュートがブラジルのゴールにきれいに突き刺さった。なんと日本の先制点! 

レギュラークラス5人を休ませたブラジル相手だが、ワールドカップで日本代表が見せた最高の場面だった。

目覚めたセレソン、ロスタイムに太めのロナウドのヘディングシュートで同点に持ち込んだ。いくら太めでも頭の高さにボールが来れば問題無かろう。ボールのゆくえに目が行っていたディフェンスのマークも甘かったのだが、ともかく前半が終わって1-1のタイ。せめてリードして終わりたかったが、贅沢は言うまい。後半に期待だ!

後半に入ると話は早かった。本気のブラジルは6分間に2点追加。ロナウジーニョ達が交代してブラジルは完全に二軍体制になったが、さらに36分、トドメの4点目はまたも太めのロナウドの、今度は足によるシュート。これで監督の目論見通り、ロナウドの調整も十分でき、彼の調子も戻ってきた。

結局1-4で試合終了。終わってみれば妥当な結果だけが残った。

その頃、もうひとつの最終試合、クロアチア対オーストラリア戦も終了。こちらは退場者続出のまさに格闘技サッカーの末、引き分け。日本から勝ち点3をもぎ取っていたオージーのサッカルース達が決勝トーナメントの切符を手にしていた。

やはり1つの勝利も得られないチームは先へは行けない。だが今大会無失点のブラジルから点を奪ったのは大きい。しかも文句なしのシュートによる1点だ。日本代表のその姿だけは目に焼き付けておきたい。・・・でも眠い。



偶然の先の必然

オーストラリアに逆転負けを喫した後、報道陣の質問を遮るように中田英寿は言った。

「なぜ、負けとか引き分けを考えないといけない? 常に目の前の試合を勝ちに行かないと」

日本が0-1でクロアチアに負けた1998年のW杯をMFで経験した彼は、こうも言った。

「8年前は関係ない。要は勝てばいい。点を取って失点しなければいい」

そしてクロアチアに引き分けた後、彼は憮然とした表情で言った。

「勝てる試合をもう一度落としたという感じ。緩急をつけられず相手に合わせたペースになった」

勝ち点はこの引き分けの1点だけ。得点は主審もミスジャッジと認めたオーストラリア戦のラッキーな1点だけ。得失点差-2、現時点でF組最下位である。

残り試合は、早くも決勝トーナメント進出を決めたブラジル戦。疲れのある主軸を休ませてくるとはいえ、2点差以上で勝つというのは、もはや奇跡を通り越して幻以外の何物でもなかろう。

クロアチア戦の引き分け以前に、やはりオーストラリア戦での勝ちが必要だった。決勝トーナメント進出を果たせるチームとは、ライバルチームを少なくとも1つは破って勝ち点3を得たチームなのである。それは同時にライバルチームを蹴落とす事になるから、勝利も敗北もすこぶる大きい。

未勝利で決勝トーナメントに進める事などあり得ないし、算数で考えてもそれは明白だろう。一度も勝てていない日本代表の厳しくも必然の現実がここにある。もはや絶望と分かりつつも、代表チームに対する人情路線に一変したマスコミが、それでも決勝トーナメントへの可能性を訴えてはいる。TVでもこの時だけ出番の増える元選手や芸人が、まるで現実を直視するのを憚るかのように一方的にポジティブな熱を上げている。

…もう、いいじゃないか。

中田の言う通り、勝てる試合を二度しくじったチームの結果は自ずと出ている。残された演目は、彼らが世界最高最強と謳われるブラジル相手に何を我々に見せて幕を引くか、だけである。



10分間の大逆転

ラッキーだろうが何だろうが1点は1点だ! 

前半26分、中村俊輔のクロスボールが相手キーパーも触れずにゴールへ。キーパーチャージの反則も取られず得点が認められ、日本は早々とオーストラリアをリードした。この瞬間、まさに日本中が熱狂したに違いない。

クロアチア、ブラジルのいる死のF組。日本はこのオーストラリア戦での勝ち点が決勝トーナメントに進むための必須条件だった。

度重なるオーストラリアのシュートにもGK川口のファインセーブで凌ぎ、リードしたまま前半終了。刻一刻と近づく勝利の予感に誰もがそれを疑わなかっただろう。

確かに後半39分まではいい調子だった。だが、前掛かりのオーストラリアを相手にして、日本の攻撃の連係プレーがペナルティエリアまで繋がらない。どういう訳か攻撃のいい形ができて来ないのだ。40℃近いピッチ温度が追い討ちをかけ、明らかに選手の動きが鈍くなってきていた。

やがて信じられない展開が起こる。

ロングスローから同点、パスワークから逆転、ドリブル突破からトドメの一発! なんとロスタイムも含めたわずか10分間で3失点の大逆転劇を許したのだった!

一番の問題は、本来なら日本がやるべきプレーを相手にやられての失点だった事である。日本がほとんどシュートまで繋がらない攻撃を繰り返しているうちに、相手にチャンスが生じ、それをモノにされた結果である。得点にはスタミナ十分の交代した選手が絡んでいた。

西陽の逆光のせいで、相手の蹴った高いボールが見えないとか、ディフェンス坪井のアクシデントでイレギュラーな選手交代を余儀なくされたとか、もう1点取りに行くのか、このまま1点差を守り切るのかの方針が徹底されていなかったとか、理由はいくらでも挙げられるだろう。だが負けは負けだ。

残り試合の相手はクロアチアとブラジル。たとえクロアチアに勝っても勝ち点3止まり。それだって奇跡に近い。なぜならいずれのチームもオーストラリアより強く、FIFAランクで日本より上位だからだ。日本のワールドカップは終わったと言ってもいいほど厳しい状況だ。

4年に渡る努力がたった10分で水泡に帰してしまったかもしれない。

気持ちを切り替えるべきは、4年後に向けて・・・かも。



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Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコギとウクレレを弾いて昭和を歌ったり、カラオケでも昭和を歌ったりしてます。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きは欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経てゲルマン製装甲車のような「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

それをキッカケにBMWオーナーズクラブの「Club BMW 1(CB1)」「BMWメタボ白髪連合会」などのメンバーにもなりました。

某企業のプロフェッショナルな研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、ステージを替えて今後は頼れる薬局のOYAJIを目指したいと思います。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

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