FC2ブログ

偶然の先の必然

オーストラリアに逆転負けを喫した後、報道陣の質問を遮るように中田英寿は言った。

「なぜ、負けとか引き分けを考えないといけない? 常に目の前の試合を勝ちに行かないと」

日本が0-1でクロアチアに負けた1998年のW杯をMFで経験した彼は、こうも言った。

「8年前は関係ない。要は勝てばいい。点を取って失点しなければいい」

そしてクロアチアに引き分けた後、彼は憮然とした表情で言った。

「勝てる試合をもう一度落としたという感じ。緩急をつけられず相手に合わせたペースになった」

勝ち点はこの引き分けの1点だけ。得点は主審もミスジャッジと認めたオーストラリア戦のラッキーな1点だけ。得失点差-2、現時点でF組最下位である。

残り試合は、早くも決勝トーナメント進出を決めたブラジル戦。疲れのある主軸を休ませてくるとはいえ、2点差以上で勝つというのは、もはや奇跡を通り越して幻以外の何物でもなかろう。

クロアチア戦の引き分け以前に、やはりオーストラリア戦での勝ちが必要だった。決勝トーナメント進出を果たせるチームとは、ライバルチームを少なくとも1つは破って勝ち点3を得たチームなのである。それは同時にライバルチームを蹴落とす事になるから、勝利も敗北もすこぶる大きい。

未勝利で決勝トーナメントに進める事などあり得ないし、算数で考えてもそれは明白だろう。一度も勝てていない日本代表の厳しくも必然の現実がここにある。もはや絶望と分かりつつも、代表チームに対する人情路線に一変したマスコミが、それでも決勝トーナメントへの可能性を訴えてはいる。TVでもこの時だけ出番の増える元選手や芸人が、まるで現実を直視するのを憚るかのように一方的にポジティブな熱を上げている。

…もう、いいじゃないか。

中田の言う通り、勝てる試合を二度しくじったチームの結果は自ずと出ている。残された演目は、彼らが世界最高最強と謳われるブラジル相手に何を我々に見せて幕を引くか、だけである。



10分間の大逆転

ラッキーだろうが何だろうが1点は1点だ! 

前半26分、中村俊輔のクロスボールが相手キーパーも触れずにゴールへ。キーパーチャージの反則も取られず得点が認められ、日本は早々とオーストラリアをリードした。この瞬間、まさに日本中が熱狂したに違いない。

クロアチア、ブラジルのいる死のF組。日本はこのオーストラリア戦での勝ち点が決勝トーナメントに進むための必須条件だった。

度重なるオーストラリアのシュートにもGK川口のファインセーブで凌ぎ、リードしたまま前半終了。刻一刻と近づく勝利の予感に誰もがそれを疑わなかっただろう。

確かに後半39分まではいい調子だった。だが、前掛かりのオーストラリアを相手にして、日本の攻撃の連係プレーがペナルティエリアまで繋がらない。どういう訳か攻撃のいい形ができて来ないのだ。40℃近いピッチ温度が追い討ちをかけ、明らかに選手の動きが鈍くなってきていた。

やがて信じられない展開が起こる。

ロングスローから同点、パスワークから逆転、ドリブル突破からトドメの一発! なんとロスタイムも含めたわずか10分間で3失点の大逆転劇を許したのだった!

一番の問題は、本来なら日本がやるべきプレーを相手にやられての失点だった事である。日本がほとんどシュートまで繋がらない攻撃を繰り返しているうちに、相手にチャンスが生じ、それをモノにされた結果である。得点にはスタミナ十分の交代した選手が絡んでいた。

西陽の逆光のせいで、相手の蹴った高いボールが見えないとか、ディフェンス坪井のアクシデントでイレギュラーな選手交代を余儀なくされたとか、もう1点取りに行くのか、このまま1点差を守り切るのかの方針が徹底されていなかったとか、理由はいくらでも挙げられるだろう。だが負けは負けだ。

残り試合の相手はクロアチアとブラジル。たとえクロアチアに勝っても勝ち点3止まり。それだって奇跡に近い。なぜならいずれのチームもオーストラリアより強く、FIFAランクで日本より上位だからだ。日本のワールドカップは終わったと言ってもいいほど厳しい状況だ。

4年に渡る努力がたった10分で水泡に帰してしまったかもしれない。

気持ちを切り替えるべきは、4年後に向けて・・・かも。



Top Of The World!

古巣パドレスの本拠地ペトコパークのマウンド上でセットアッパー大塚の投げたスライダーが、キューバの次世代ヒーロー・グリエルを三振に切って落とした瞬間、日本のWBC初代チャンピオンが決まった!

メジャーリーグ主導で企画されたWBCは、開催前からさまざまな物議を醸していた。3大ネットワークは全米中継せず、アメリカに有利な組み合わせ、ピッチャーの投球数制限は65球、審判はマイナーリーグ、さらに松井や井口、城島の出場辞退など、公私に渡って利権が絡む新たな世界大会の船出の難しさが十分伺えた。

だが、いち早く出場表明をしたイチローがここで光を放つ。

ともすれば個人主義に徹するクールな男が、自らリーダーとなって誰よりも熱い思いをチームに注ぎ込む。かのサッカー日本代表中田英寿のように。チームはそれに応え、堂々の結果を残した。ホームランの打てなかった4番打者の松中が全力疾走で内野安打をもぎ取ったり、タッチアップを決めた姿も必死の気合の表れだった。

日本野球の歴史で、本家アメリカより目の上のタンコブだったのがキューバである。

アマ世界20連覇、オリンピック3度優勝というのは、さしずめラグビーの無敵王者オールブラックスと言ってもいいだろう。一時代前の日本は目の上のタンコブどころか、相撲で言えば横綱朝青龍に挑戦する幕下といった立場で、やるだけムダとも思われていた。

そのキューバを10-6で破っての優勝なのだから喜びも倍加する。開幕当初は中継もあまり見なかった私も、アメリカ戦でのミスター誤審、デービッドソン判定騒動から俄然注目するようになった。その意味では彼のトンデモ誤審にも少しは価値があったのかもしれない。

崖っぷちから幸運としか言いようの無い、メキシコの助けで準決勝に進出するや、同じ大会で2度も敗れた韓国相手に一番おいしい場面での雪辱で決勝進出を果たした。そしてキューバに先行し逃げ切った。

王監督は胴上げで三度宙に舞った。イチローは全メンバーと強く抱き合った。大一番に弱いと言われた松坂はMVPに選ばれた。そして銀のティファニー製優勝トロフィーに付いた選手達の指紋の数々・・・。

参加国数に絶対的な差があろうが、この熱気があればWBCがサッカーのワールドカップに肩を並べる日もそう遠くない。



カーリング・フリーク 2

1勝3敗と背水の陣だったカーリング女子の日本チームは、その後カナダを下し、世界ランク1位のスウェーデンと互角の勝負の末惜敗。しかし前回覇者のイギリスに勝ち、イタリアにも勝って星を4勝4敗とし、強豪スイスとの最終戦に勝てばタイブレークに持ち込める可能性を残した。

だが、運命とは皮肉なものである。スイス戦では前半に大量リードを許し、第8エンドでトドメをさされ苦渋のギブアップ。一方のカナダはノルウェーに勝ったため、たとえ日本がスイスを下したとしてもタイブレークの芽はすでに無かったのである。

ここまでの道のりを振り返り、その結果を語れば、さまざまな要因が挙がってくるだろう。中でもスキップ小野寺選手の前半の不調が黒星先行の原因だったという指摘を目にした。だが、彼女は後半戦なるにしたがってミラクルショットを連発し、日本を勝利に導いた立役者でもあるのだ。特にイタリア戦での奇跡の一投がなければ望みはつながらなかったのである。

オリンピックという特別な舞台で、ここまで健闘した日本女子チームにこれ以上何を望むと言うのか。戦前は他の種目に比べてもほとんど注目も期待もされてなかったじゃないか。

取材に答えて彼女は言った。「準決勝に進めずに悔しい思いもありますが、強豪チームとも対等に戦えて、この4年間カーリングをやってきて良かったです」

終始安定したテクニックを披露した林選手も「準決勝には進めませんでしたが、手応えをつかむ試合ができたし、カーリングの魅力を日本全国の皆さんに知ってもらう事ができたのではないかと思います」と話した。

そうだ、それでいい。少なくとも私にカーリングの面白さ、奥深さを教えてくれのは、まぎれもなく彼女たちだ。他でもない彼女たちの奮闘ぶりが私をカーリング・フリークにしたのである。私はそれで十分だ。

幸いな事に日本チームは外国チームに比べて平均年齢も若い。4年後のバンクーバーでさらに大きな華になればよい。



カーリング・フリーク

トリノ冬季オリンピックで日本選手のメダルへの道はいまだ遠い。

ある程度予想はされていたものの、予想を超える事態も起こった。最も驚いたのはジャンプの後検量で失格となった原田雅彦である。最終的には自己管理の世界だろうが、ギリギリの部分で勝機を見出すしかない立場なのに、その顛末はまさにお粗末この上ない。コーチや監督のマネージメント能力も疑ってしまう。戦う以前の問題だ。

出張で行ってた一昨日の大阪のホテルのテレビで、何気に見ていたオリンピック中継。偶然映った女子カーリングに思わず引き込まれてしまった。長野オリンピック競技委員長氏の解説がわかりやすく的確だった事もあり、いっぺんでファンになった。

先の先を読む洞察力、10イニングの攻防を見据えた戦術展開など、実に奥が深い。氷上のチェスと言われる所以である。今の今まで地味でおとなしい種目とばかり思っていた私を刮目させるに十分の迫力で、重さ20kgの石を約40m離れた地点にピンポイントで滑らせるためのライン(コース)とウエート(強さ)が勝敗に直結する。だから早い段階ですべてのラインのクセとその日の氷の状態を読み切る事が必須なのだ。

1イニングに交互に8個ずつの石を投げて、最終的にハウスと呼ばれる円の中心に近い位置に石を置いたチームが得点される。だからと言って単にハウス内に石を置いても相手に簡単に弾き出されるので、しばしばガードストーンという防御のための石をハウスの前方に置きに行く戦術に出る。ガードストーンの後ろに石を置ければ、敵の弾き出し攻撃(テイクアウト)から守られるからだ。そのためにカーブをかけて回り込ませるテクニックも見ものである。

この競技は、最後の一投をできる石(ラストストーン)を持っている後攻が圧倒的に有利で、後攻をキープするためにわざと点を取らなかったり、後攻を得るために相手にわざと点を与えてイニングを終了するという作戦もあるくらいだ。

この日の対戦相手ノルウェーは、名前は忘れたが40歳を過ぎても世界最高のスキップ(主将・作戦を指示)と呼ばれる選手を擁する強豪で、力及ばず敗戦。通算成績1勝2敗となってしまった。たった一度のミスが敗戦につながりかねないスリリングなスポーツであるゆえ、コントロール技術が第一で、それがあってこそ戦術が生きてくる。その意味で日本と世界との差が思ったほど大きくない事が伺えたのも嬉しい。

結局試合終了が午前3時。さすがに翌日は眠かったが、何とか乗り切った。帰京後に行われたデンマーク戦も落とした日本。1勝3敗となっては予選通過が極めて厳しくなったが、せめて最後まで応援してあげたいと思う。



ファンタジスタ!

このところトリノ五輪代表の発表が相次いでいるが、またしても見ていて違和感がぬぐえない。

スポンサー絡みで既に半年前から代表が決まっていたと一部で噂されている通称「ロッテ3人娘」の村主・荒川・安藤の女子フィギュア。岡部以外、誰も内定基準をクリアできなかったジャンプ陣。それでも人材不足のおかげか、昨年10月のW杯選考会で落選したにもかかわらず選ばれた37歳の原田。女子モーグルでは、一発勝負のはずだった選考会を兼ねたW杯で惨敗したにもかかわらず、4大会連続五輪出場を手にした里谷・・・。

結局、選考会と銘打った大会の成績より過去の実績を重視するのであれば、選考会とはいったい何なのだ? 五輪出場のためにそれを目指して結果を出し、それでも落選した若手はどうすればいいのか? かませ犬じゃあるまいし、過去実績を持つベテランが引退しなければノーチャンスというのでは、今後も世界に通用する有力人材など、奇跡でも起きない限り出てくるはずがないし、育たないじゃないか。

そんな空気を一変させてくれたのが、高校サッカー決勝戦だった。

怒濤の組織サッカー、鹿児島実業対個人技のアイデアサッカー、野洲。個性の異なる両チームの激突は、まるでヨーロッパ対南米のトヨタカップを見るようだ。鹿実が欧州代表を彷彿させる真っ赤なユニホーム、対する野洲が南米代表の純白のユニホームというのも気分を一層盛り上げる。

試合は前半23分に野洲が先制。南米代表が先制するのは待ってましたの展開。しかし相手は連覇を目指す強豪、このまま終わるはずがない。鹿実は後半34分に同点に追いつき、試合は延長戦へ。延長後半7分、鉄壁の守りを誇る鹿実守備陣を完全に崩しきった野洲がついに決勝点をもぎ取ったのである。

組織でプレスをかけ、組織で攻め寄る鹿実と個人技による意表をつくパスをつなぐ野洲。ここ近年のサッカー戦術は、ディフェンスもオフェンスも組織プレーが主流で、個人技はあくまでプラスアルファ的存在だった。事実、これまで高校サッカー界は、ロングボール主体で走り勝つ戦法が主体だ。勝負にこだわるのであれば、その方が勝てる確率が高いのかもしれないが。

野洲はその個人技を積み上げ、組織プレーにまで高めていったところにそのすごさがある。きちんと組織立って動くチームもすばらしいが、メンバーそれぞれがファンタジスタというのもたいへん魅力的ではなかろうか。しかも高校レベルでそれを実現できたのは驚異であり、さらに全国制覇につなげた事も賞賛に値する。

「負け続けたけど、技術で負けてなかった。自分たちをもう一度信じてやってきた」とは金本主将。

「どこにもマネできへん最高のサッカー」と決勝点のFW滝川。

ヘタなプロの試合よりはるかに面白かった。サッカーファンならずとも、この試合には引き込まれたに違いない。





4回転ジャンプあってこそ

来年のトリノ五輪の代表を決する全日本フィギュア選手権が昨日終わった。前代未聞の採点ミスで織田信成と順位の入れ替わった高橋大輔やアイスダンスの渡辺・木戸組は、はっきり言ってメダルからは遠い存在で、残念ながら参加する事に意義あり選手だろう。

久々に有力人材が豊富で、百花繚乱とも言える女子。不可解な年齢制限の壁で五輪出場の叶わなかったリアル・チャンピオン浅田真央は、代表に花を持たせるためか、彼女にしては無難な演技で2位。代表となった逆転優勝の村主章枝は、持ち前の気力と抜群の表現力で文句なし。2人目の代表、荒川静香も世界レベルの知名度と技術は折り紙つきと言える。

さて、3人目の安藤美姫。選考理由は選考ポイントが高く、4回転ジャンプが成功すれば五輪の表彰台を狙えるからだとされた。だが、SP6位と出遅れたにもかかわらず、NHK杯やGPファイナル同様、フリーで4回転ジャンプをやらず終い。公式戦で成功したのも過去に1回だけ。最強の武器も使わねば何の威力も発揮しない。連戦の疲れもあったようだが、ここ一番で回避してしまうのは、むしろメンタル・マネージメントに大きな問題があるのではなかろうか。

逆に、選考ポイント4位の中野友加里は今季、NHK杯、GPファイナルに続き今大会5位と3戦すべて安藤に勝っている。現時点では、試合毎に成長している彼女の方がむしろ期待できるかもしれない。4位の恩田美栄もジャンプの高さと力強さに光るものがあった。

だが代表選考は、この2年間の試合の順位をポイント化し、今季の成績なども勘案して行われる事になっていた。安藤も、浅田を除きポイントトップは維持した。結果的にはポイント通りの選考となったのだが、人気の高い安藤を出したかった日本スケート連盟の思惑もあっただろう。

女子フィギュアもそうだが、さほど目立たなかったものが急激に注目を集め始めると、往々にして戸惑うのが旧世代の人間である。安藤を出すのもいいが、彼女には休養・調整後の公式戦からは、4回転に自信を持ってチャレンジして欲しいと願う。それこそが激戦を勝ち抜いた代表の姿だし、我々が最も見たい彼女の姿なのである。

チャレンジした上で仮に失敗したとしても、拍手こそすれ笑う者など一人もいないだろうから。



風になったマラソン職人

35km過ぎから突然のスパート。みるみるトップグループの2人を引き離す。やがて2年前の悪夢の失速坂。解説の千葉真子曰く「あっという間に風のように走り去って行った」。そこには彼女以外もはや誰もいない。2年前に抜かれたアレムと去年千葉を抜き去ったバルシュナイテは100m以上後方であえいでいた。

レース2日前の記者会見で、高橋尚子は右足3ヶ所の肉離れを発表した。この時、なぜ敢えてこんな発表をするのだろうと不思議に思っていた。たとえ故障があろうと、走りのプロなら相手を利する事になるものはひたすら隠すのがセオリーである。ましてワールドカップサッカーなどでよくあるデマを流して敵を撹乱するという意図は毛頭無かったはずだ。

後から聞けば、それは彼女の性格だったと言う。戦略でも言い訳でもなく、隠し続けるより言ってしまえば精神的にスッキリする。その代わり結果に対してはとことん執着し、一切の憂い無く全力で向かって行く。彼女の意地が見せた職人スピリットだったのだろう。

残り8kmをスパートして走り切る練習を重ねてきた彼女にとって、前半を慎重に抑えての35km過ぎは、故障再発さえ無ければ勝ちパターンである。2年前に失速した坂も「あれ? こんなもんだったの?」という間に登り切ったと言う。軽傷とは言えない右足は、レース中決して無痛ではなかったと思うが。

そして彼女は風になった。

晩秋の国立競技場の日差しを前面に受けてテープを切った姿は本当に美しかった。職人がその持てる技と精神の全てを注ぎ込む姿は美しい。


早過ぎるよね

今日から2泊3日の札幌出張だというのに、ここ東京は夏日並みの気温になりつつある。それなのに明後日の札幌は初雪という予報のため、薄手のコートを持参しなくてはならない。なんせ予想最高気温6℃だそうだ。

いつもより若干早い地下鉄に乗り込む。さすがにコートを着ている人などいないな、と思っていたら、変なのがいた! 

グレーのチェスターコートにエンジのマフラー! ビジネスマン定番の冬のスタイルである。年恰好は30代だろうか。彼は私のように出張スタイルでもない。第一、夏日でなくても今朝は決して寒くはない。早過ぎるコートとマフラー、どうでもいい事だが彼の意図は計りかねる。

話は変わって、ワイドショーで本田美奈子さんの病死を伝えていた。

私は当然彼女のデビュー当時から知っている。いまや若い世代には珍しくもない「ヘソ出し」も、アイドル系では彼女がルーツだろう。歌そのものは1~2曲程度のヒットだったが、その後雌伏の時を経てミュージカル女優の第一線に躍り出た。見事にアイドルなんかじゃない、重みのある存在となった。38歳の大人の彼女は、まさに「いいをんな」の一人だった。

まるでかの夏目雅子のように白血病で急逝したのは、信じられないという一方で、やっぱりかという感想も持った。最近の医学的調査の発表によると、痩せ過ぎは小太りよりも重篤な感染症や癌になりやすいという。痩せ過ぎのため免疫力が低下するのが原因の一つだという。162cmの彼女は、なんと30kg台の体重だった時もあるという。

たしかに極細の彼女から発せられるあの透明感のある歌声は、他人にはない妖艶な魅力があった。でも、彼女の年齢から見て、その維持のためにかなり無理をしていたんじゃなかろうか。発症した癌は若いほど増殖・転移は早い。臍帯血移植、未承認新薬などの最新の医療技術をもってしても再発を止められなかった。

努力が報われる時間がもっとあってよかった。


長距離ランナーのぬくぬく

2週間に亘った研修ツアーも終わり、休養目的の3連休もノンビリ過ごせた。ツアー前に遅らばせながら取り付けたETCのデビュー戦という事で、町田のグランベリーモールと墓参りに千葉県の八柱霊園に行って来た。特に料金所混雑はなかったものの、しっかり気持ちよく通過できたのには満足だった。

さて、前回のDiaryに引き続きマラソンの話題を。

今日、ベルリンマラソンにアテネ五輪の金メダリストである野口みずきが走るというのでTV中継を見た。だが、見た瞬間に感じたのは、まさに「違和感」であった。彼女の周りを3、4人の男子ランナーが取り囲むように併走しているのだ。解説によれば、彼らは距離によって彼女と契約している「ペースメーカー」だそうである。

大会を好タイムが期待できるよう盛り上げるための「ラビット」や「ペースメーカー」が存在する事は知っていた。だが、画面に映った女子ランナーは彼女だけだし、ペースメーカー役の彼らは彼女のためだけに走っている。これじゃ競技会などではなく、単なる記録会じゃないか。しかも、とてつもなく恵まれた環境の。

マラソンという競技は、断じて個人競技である。「順位」を他人と戦って奪い、「記録」を自分と戦って作るのである。そのどちらも「レース」を通して掴むべきものだろう。自分以外は頼れず、周りは敵という中でこそ「長距離ランナーの孤独と栄光」があるはずだ。しかし今回の彼女には、その「敵」がいないどころか、複数のペースメーカーという「味方」ばかりの中で走るだけなのである。

ベルリンマラソンはコースがフラットで、高橋尚子のように過去にも金メダリスト級の選手が「新記録狙い」を目標に出走してきた。主催者にはTV放映権料が入るし、TV局は視聴率と記録のために諸々の費用にも一枚噛んでいるだろう。もはやビジネスと化していると言ってもいい。だからこういう設定は野口が初めての事ではないのだが、やはりその姿に「違和感」はぬぐえない。

野口の結果は、世界歴代3位に相当する2時間19分12秒の日本新記録で優勝した。でも、ちっとも嬉しくないし、正直、称える気持ちも起きなかった。

少なくとも彼女は「孤独と戦って」それを勝ち取ってはいないからだ。




24時間テレビへ

今年28回目(!)の24時間テレビがあった。そして例年のように他局に見たい番組もなく、BGVのつもりで流していた。そして思った。

今年のテーマは「生きる」。もともと「愛は地球を救う」という大き過ぎるテーマで始まったものが、いつの間にかサブテーマが付くようになった。とは言えサブテーマもかなり漠然とし過ぎていて、だから去年のサブテーマですら思い出せない。所詮インパクトのある文言ではないのだから「愛は・・・」だけで十分。毎年無理して付ける事も無かろうに。

そしてこれも毎回の事だが、あれやこれやのたくさんの企画が目白押し。よく見れば、例の100kmマラソンを軸に、身障者のスポーツチャレンジ、スポーツ選手との交流、感動ドラマ、芸能人の旅レポートなどなどサブテーマを設けても毎年特に変わり映えがしない企画。時にはサブテーマとかけ離れたものもあったりして。

不思議なのはサポートと称する企業である。「○○は24時間テレビを応援しています」と言うなら、テレビ局に払う莫大なスポンサー料を募金に回したらどうなのか。あるいはスポンサー料は払ってもCMは全面カットし、協賛企業のテロップ程度にしておけばいいではないか。

ここにテレビ局側と企業側の「偽善」が見え隠れしてしまうと思うのは私だけだろうか? それとも「偽善番組化」しているのは承知の上の事なのか。

いずれにせよ、どんな金額かは知らないが、テレビ局は制作費に見合うスポンサー料は得ているだろうから損は無いだろう。番組に出演したり武道館にやって来る芸能人・有名人もイメージアップでき、企業もCMを通じて消費者に好印象を与えられる。車の1台や2台だって安いものだ。

その上で番組の視聴者にはひたすら感動を訴え、モチベーションを喚起させ、募金を呼びかける。ほだされた視聴者はせっせと募金に応じ、今年は3億円を突破する勢いだ。このイベントが延々と続いているのは、もしかしたら「光の部分だけしか見ない人々」に支えられているからかもしれない。

こういったイベントは、日本人の感性には特に響きやすい。これをきっかけとして、広い視野で大きなテーマを考えてみる事も大事だろう。

でも「パブロフの犬」となってはならない。きっかけはきっかけとして、それ以上は自分で学び、自分で考える姿勢が大事だと思う。決して「盲目的に迎合」したり「踊らされ」てはならないと思うのだ。


まもなく・いよいよ・このあと

始まるまではさほど興味が湧かなかった世界陸上ヘルシンキ大会。他の番組に面白いものがなかったので、ちょっと見したのが運のツキ。毎度出てくる織田裕二の思わせぶりな前振りに、いつのまにやら深夜族となっていった。

それにしても、目玉種目や目玉選手の出てくるまでの何と長い事か!

「まもなく!」
と言いつつ小谷レポーターのサブトラ中継。って事は、選手はまだ本会場にも行ってないのか? で、金メダル候補の外国選手のヒストリーVTR。それ、前にも見たぞ!

「いよいよ!」
と言いつつ日本選手のヒストリーVTR。またかい! おまけに家族や地元応援団の様子まで、ご丁寧に選手毎に紹介。

「このあと!」
やっとかと思いきや、トドメのCM。ようやく準備にかかる選手たちの姿が見える。

昨日、一昨日のマラソンはこの極地だった。番組が始まるや、この繰り返しで引っ張ること、引っ張ること! ホントにスタートするまで優に1時間以上経っていたぞ!

それと、種目毎の織田裕二の定番アオリコメント。
「今日はスゴいんです!」
「皆さん、この選手を覚えていて下さいね!」
「僕ね、この人が来ると思うんですよ!」
「ぜ~ったい、見逃さないで下さい!」

思えば彼は2年前のパリ大会の時もほとんど同じセリフをまくし立てていた。さも無類の陸上フリークって感じだが、忙しい彼がいちいち世界の陸上競技をチェックし続けられるワケがない。所詮はスタッフの用意したVTRや資料頼りなのは見え見えで、その上で熱血ファンの役を演じているのだから、いきおいコメントが画一的になる。

これらが相まって、スポーツ競技の緊張感が極めて薄まってしまう。毎回この世界陸上は、選手が主体なのか、織田裕二が主体なのかわからなくなるのだ。視聴率のためだと言うなら、甘んじてそれも受けよう。それならせめてLIVEと言いながら編集するな! 黙って全てを見せろ!



PS.すっとんきょうな声で女子マラソンのレポーターをやってた千葉真子! いくらオリンピック選考の谷間だからって、アンタは現役だろ? 二流どころばかりの日本人選手の中で、せめて打倒ラドクリフで盛り上げて走るべき立場じゃなかったのか? 少なくともアンタはしゃべりには向いてないぞ。


サムライのプライド

最近、メジャーリーガーの野茂とJリーガーのカズの去就が話題になった。野茂はヤンキースのマイナー契約、カズはJ2の横浜FCへの移籍でどうやら落ち着いたようだ。

どのプロスポーツの世界でも、一世を風靡したプレーヤーが年齢と共に力が衰えてくるのは人間である以上必然な事である。その時、その事に限界を感じた者は引退し、プレーヤー時代とは別の道へ次の舞台を求めてゆく。人々は現役時代の功績に惜しみない賛辞を贈る。時にはそれが美しき伝説へと昇華する。

同時に「もっとやってくれ」と願う人々もいる。無論、最終的には本人が決める事ではあるが、大抵は「これ以上続けても満足いく結果が出せない」と自身のプライドのためにも引退の道を選ぶ者が多いだろう。あるいは「もう期待に応えられない」とも。続行を願う人々も、所詮は無責任な願望なのだから、出された結論には納得せねばなるまい。

野茂とカズは違った。「まだやる。やれるはず」との思いで、自身の過去の実績やそれによるプライドをも一旦切り離し、可能性のある場所があるのなら、そこへ行って再挑戦する。それも今現在いる舞台を離れずに。

結果は思ったようにはならないかも知れない。そこまで無理せずとも、いっそ野茂なら日本球界、カズならコーチ・監督業など別の舞台に移った方が、結果が出しやすいかも知れない。だが二人は断固今の舞台にこだわり続ける。そこが傍観者として見ているだけの私でさえもすごいと感じるのだ。

目指したものにとことんこだわり、見てくれや批判などくそくらえ。自分が自分である限り、絶えず追求し続けてゆく姿は、まさに「サムライ」そのものだと思う。そして、それこそが彼らだけが持ち得る「真のプライド」なのではないだろうか。物事をスマートにこなし、美しく身を引く。それと対極にあるのが彼らの生きざまである。

今の自分である事にこだわり、今の仕事にこだわり続ける。今後の彼らの結果などより、今の彼らにこそ学びたい。



脚本力 ~「交渉人 真下正義」を観て~

先週の土曜日、三匹めのドジョウ狙い映画「交渉人 真下正義」を公開初日に観に行った。混雑はある程度覚悟の上だったが、それでも開演40分前から100人を越える客が通路に並ばされた。初日という事もあるが、そこそこ盛況だと言えよう。

上映時間2時間以上の作品だったが、最後まで飽きずに観る事は出来た。だが、ストーリー展開があまりにありふれている。最初に早々と事件が起こり、犯人像も大筋でわかってしまう。明らかにならないのは犯人の最終目的だけである。いかにもという展開はTVの2時間ドラマ以上のものではなかった。メインテーマであるはずのネゴシエーターの技の描写も全く物足りない。

連休前に同僚から借りたDVDの映画「ソードフィッシュ」は、静かな会話の直後、いきなりそれが犯行の真っ只中だったという場面から始まり、さらにその4日前に遡ってじっくりと話が始まるという、主役のジョン・トラボルタも感心したというストーリー展開だった。見終わって思わず唸ったのは言うまでもない。

いつも思うのだが、どうして外国の映画やドラマはこうも唸らされるものが多いのだろうか? テーマや素材は日本の物とそう大差は無い。とすれば、それは脚本力の差ではないだろうか? 

思い出すのは、推理物のセオリーを見事に破壊せしめた「刑事コロンボ」シリーズである。犯行を犯人と共に先に見せてしまう常識破りの場面から始まり、後でコロンボが犯人を追い詰めてゆく。当時大ヒットしたのは、犯人の追い詰め方や推理の妙味もさることながら、そんな斬新なストーリー展開が根本にあったからに他ならない。たまにNHKで放映している海外ドラマシリーズにも、思わず唸らされる作品は多い。

いい意味で観客を裏切り、そして唸らせる脚本が日本の映画・ドラマには極めて少ないと思う。たとえ「意外な展開」があったにせよ、それはリアリティーを伴わないゆえ違和感があり、観ている方も納得できないし唸るまでには到底いかない。過度に作り込まれた場面設定や人物像ばかりが鼻につく。当世の脚本家は、徒らに複雑化すれば高度な脚本だという誤った感覚を持ってやしないか?

単なる娯楽作品と割り切れば「交渉人 真下正義」は、その使命を果たしていると言えよう。特段感心もしなかったし、唸りもしなかった。まるで読み捨てが宿命の漫画雑誌のような印象であった。登場人物は「踊る大捜査線」でおなじみのメンバーが多く、それなりに安心感を持って楽しめはするけど。

ヒット作におんぶにダッコ、あるいは何匹目のドジョウ作戦しかできないのなら、この先も日本映画は暗い。手遅れにならないうちに名作秀作と後世言われるようなストーリー展開の書ける本物の脚本家を育てるべきである。


プレーオフ

パリーグのプレーオフは、西武が最終戦でダイエーを破って日本シリーズ出場を決めた。マスコミでは、レギュラーシーズンの135試合で2位西武に4.5ゲーム差をつけていたダイエーの成績がフイになったと伝えていたが、これがプレーオフの醍醐味でもある。

メジャーでもワールドシリーズ出場をかけたプレーオフがあり、ファンは熱狂する。同一リーグの中のチャンピオン決定戦で、勝てばワールドシリーズ出場権獲得なのだから当然だ。パリーグでも毎試合通常ではあり得ない観客動員があり、たぶんTV中継の視聴率も巨人戦より高かったと思う。短期決戦ならではの緊迫感がそれに拍車をかけている。

だが、メジャーと決定的に違うのは、メジャーではワイルドカード出場チーム以外は、同一リーグといえども普段戦わない他地区のチームの中での出場権争いであり、パリーグはついこの前まで優勝争いをしてきたチーム同士だということだ。だからプレーオフで下克上が起きれば、それまでの成績は何だったんだという議論が出る。

パリーグはかつて2シーズン制をとった事もあるが、その時はあまり盛り上がらなかった。前期優勝してもそれは真の優勝ではなく、結局後期優勝が決まるまで実感はない。後期優勝チームが別のチームだった場合、初めてプレーオフとなり盛り上がるが、同じチームだったらそれで終わり。だったら1シーズン制でいいじゃないかという事でまた元に戻った。

それでも今回のパリーグの企画は評価できると思う。対戦はすべて上位チームのホームゲームとした事で、上位チームの利益が増加するし、下位チームへのアドバンテージともなる。とっくに優勝が決まったセリーグを尻目に、全国の注目を集められる。実際、私もプレーオフの試合中継を通して初めてパリーグの優秀な選手を見られた。

いっそのことチーム数をもっと増やして地元密着型にし、全国に4地区以上のリーグを作りプレーオフ制を取り入れたら、最後の日本シリーズまで盛り上がり続ける事まちがいなしだろう。とりあえず今の12チームを3つの地区リーグに分けたっていい。地区にチームがなければフランチャイズを移動したって、新たに作ったっていいじゃないか。ライブドアや楽天だって救われる。シダックスだって参入できる。ファンも地元のチームに根付くだろうし、本当の意味でのフランチャイズができる。

何より私が大嫌いな「全国どこ行っても巨人ファン状態」が解消される。



Ichiro's way

POOBオフ会の2日目からまだ雨が降り続いている。前線の影響というが、季節はずれの梅雨という気がしてならない。

イチローのシーズン最多安打記録は262本で終了した。

84年前の258本の記録を更新したのはスゴイとしか言いようがない。TVの解説で何度もやっていたが、しなやかな肉体と強靭な筋肉による絶妙のバットコントロールが最大の武器だそうだ。ピッチャーの変化球をスイング途中で修正しつつ芯で捉え、広角に打ち分ける。加えて俊足が内野安打を量産する。彼であるからこそ成し得た偉業であると言える。

メジャーリーグのヒーローは長い間ホームランバッターだった。

力で投げてくる相手の珠を、力で打ち返しスタンドに運ぶ。あるいは逆に、剛球で彼らを押え込むピッチャー。そんなダイナミックな戦いがファンを魅了し続けてきた。いつのまにか選手は筋骨隆々となり、その点が日本の野球と選手がメジャーでは通用しないと言われた所以でもあった。

ところがイチローは違った。

メジャーのパワーとスピードに負けない筋力増加を図ったものの、持ち前の技術と足は殺さない。外観はあくまでスリムな印象でありながら右に左に打ち分け、足でヒットを稼ぐ。守備でも強肩を生かし、レーザービームのバックホームでクロスプレーを演出する。アメリカ人がそれまで想像していたヒーローのイメージとは全く違うヒーロー像を具現化した。だから新鮮であったし、賞賛されるのだ。

今まで日本人選手は、メジャーのパワーに対処できるか、メジャーのようなピッチングができるか、メジャーのようなバッティングができるかという事が、メジャー行きを左右してきた目安であった気がする。それでも何度も破れ、挫折してしまった歴史がある。

イチローのメジャーでの生き方は、これからメジャーを目指したい選手にとって、とてもいいヒントを与えてくれたと思う。



あわれ曙

連休三昧の日々も、ついに最終日を迎えた。9日間のインターバルを置いて普段のサラリーマン生活に戻るのかと思うと、いつもの土日とは違った感慨を抱く。不思議なもんだ。

昨日のK-1。またしても曙の醜態が晒された。

これでデビュー以来の5連敗。いくら日本のスターが不足しているとはいえ、これではあまりに惨めである。ほとんど秒単位で、相手を土俵から出すか倒せば勝負が決まる相撲と違って、スタミナもいるラウンド制で戦いながら、スピードと破壊力勝負の打撃系格闘技に曙がついていけるはずがないじゃないか。

試合は、曙が開始直後に相手をコーナーに押していった。相撲でいう電車道、相撲ならこれで勝負あったとなる。だがK-1は違う。ここから如何にKOに持っていくか、相撲の終わりはK-1の序盤に過ぎない。

曙はコーナーでパンチを出すが、打ち合いに自信があると言っていたわりに、その威力は無い。せいぜい相撲の突き押しに毛の生えた程度だ。似たような戦法を使うボブ・サップは、パンチ力があるだけ数段マシだ。

曙が良かったのはそこまで。

あっという間にスタミナ切れで動きが止まる。巨体ゆえフットワークもケリも使えず、相手の攻撃をガードするのが精一杯。予想通り、最後は昨年のチャンピオンのボンヤスキーのハイキック一発で、轢かれたカエルのようにノビてしまった。

こんな曙に対し、K-1プロデューサーの谷川氏は「曙はアンディー・フグのようなK-1王者になれる力を秘めている」などど言う。

冗談じゃない! 話題作りにせよ、そんな心にも無いセリフで煽ってみたところで、曙の限界は最初から誰の目にもはっきりしているじゃないか! K-1解説を長年やってきたベテランとして、言ってて恥ずかしくないのか?

曙にも言いたい。本気でやるならせめてマーク・ハント程度にはシェイプアップしろ! 脂肪を落として筋肉をつけろ! いつもの強気のセリフを口にできるのは、それを具現化できる肉体あっての事じゃないのか? 

・・・でも、もうムリだろうな。曙よ、64代横綱の名誉を胸に抱き、これ以上晩節を汚さず静かに去るがよい。

君はここに来るべきじゃなかった。



 

見えないはずのものが見えた

見えないはずの風が見えた気がした。

台風16号の影響か、昨夜の風はうなりをあげて我が家を揺らした。台風は福井あたりをかすめているはずなのに、東京でこの強風とは・・・。

オリンピックも終わり、やっと寝不足からも開放されそうである。男子マラソンのスポーツ史上稀に見るアクシデント(実況ではハプニングと言ってたが、あれはアクシデントである)で、30秒近くリードしていたブラジルのデリマ選手が3位になってしまった。

この選手は無名に近かったが、20km過ぎからの決死のスパートで2位集団を一時200m以上も引き離した。アクシデントを差し引いても、終盤このリードがモノを言った訳である。ブラジルに初めてメダルをもたらした彼の勇気を持ったパフォーマンスは、アクシデント後にさらに輝いた。かくも笑顔で、陽気にスタジアム入りできたのか。こんなに明るく強い選手だったとは、レース中には全く見えなかった。

一方で日本は油谷の5位が最高だった。メダル獲得を優先するあまり牽制し、いつも通りについてゆくだけで、でも結局沈んでいってしまった日本選手にも、スローペースでもあった事だし、どうせならデリマのような果敢な戦法をとる勇気が欲しかったと思う。

諏訪よ、「まだもう一度走れる」などと終わった後にヘラヘラのたまうな。だったらもっと勝負しろ!

美の競演の新体操。ルックスもスタイルも抜群の選手たちの超美技は、見ているだけでも楽しい。彼女らは演技中は終始笑顔を絶やさないが、引き上げる時に素に戻る。特にうまくできなかった時などは、かなりキツイ顔になる。得点が出る前、待機席で必ずコーチと応援席に笑顔で手を振る。そしてまた素に戻る。得点が出る。思ったより悪かった時には、さらにキツイ顔になる。すかさずコーチがなだめる。そして穏やかな笑顔。あるいは涙。

笑顔と素が、感情と共にめまぐるしく入れ替る。アップになった彼女らの長い足には、演技中には見えなかったいくつものアザや傷が例外なくあった。さながら手負いの白鳥のようだ。美を求め、名誉と賞賛を手にするために支払ったであろう対価は、決して安いものではない。その上でなお、シビアな競争をしている。

この競技の華やかさの裏にある、とてつもなく厳しい現実を垣間見た気がした。


判定

ちょっと仕事が忙しくてDiaryをサボっていたら、オリンピックも進み、数々のドラマも生まれていた。

女子競泳800mの金メダルは、自由形だけに価値あるメダルだ。女子マラソンは苛酷な暑さにもめげず野口が金メダル。金メダルはひとつしかないだけに、結果として高橋尚子が選ばれなくても正解だったと言える。電光掲示板表示ミスだの疑惑の判定だのと問題の多かったレスリング。伊調姉は銀、浜口は銅だったが、吉田、伊調妹の金は見事だった。男子も疑惑の判定と言うより誤審で笹本が涙をのんだ。

野球は意に反し銅メダル。オーストラリア戦では、逆転のチャンスなのになぜウイリアムスvs藤本の阪神対決をさせなきゃならなかったのか。代打はいなかったのか。今思えば、日本は選手層も対戦相手のデータ解析も十分ではなく、よっぽど他国の方が周到だった気がする。

シンクロもどうにもロシアの壁を破れそうにない。柔道、体操、レスリングもそうだが、審判の判定で勝負が大きく左右される競技はとかく論議を呼ぶ。明確な決着がつきにくく、結局は審判の主観が入るからだ。技術不足もあるが、特に体操などは、自国を有利にするために他国の審判とも共謀した疑惑もある。

いずれにせよ、その種の競技の選手はたまったものではないだろう。明確に、しかも公正に勝負の白黒をつける事はスポーツ競技の根幹である。それを担う審判は極めて高いモラルと技術が求められるはずである。

白黒を公正に明確にする事、日本のビジネスシーンでは、しばしば避けられがちな事かもしれないが。



プレッシャー

我が目を疑った。

帰宅後、大本命の井上康生の試合を見ようとTVをつけた。一瞬、画面の井上が100kg級とは思えぬほど線が細く見えたのだ。今大会、柔道は絶好調である。出てくる日本選手の輪郭は線が力強く、しっかりしていた。なのに井上には、そのオーラじみた力強い線が見えない。

変だな、おかしいな。

予感は当たった。全く言っていいほど精彩がなく、技がキレず、準々決勝で一本負け、敗者復活戦でも。哀れなくらいの姿を晒した。

なにか大ケガを負っていたのか? あるいは病気か? 確かにケガはあったようだ。だがそれは他の選手でも同じだ。考えたくないが、プレッシャーか? まさか彼ほどの選手が?

格闘家に限らず、一見強そうなゴツイ体の人ほど、実はやさしくナイーブな性格だと聞いた事がある。そんな弱い自分を変えたくて格闘技を選び、のめり込むのだとも。

先日の泉選手もそうだが、井上も見かけとはうらはらにやさしい目をしている。きっと普段は物静かな穏やかな人なのだろうと思わせるものがある。試合では、だから精神力を極限まで高める必要があるし、それが勝敗を左右すると言ってもいいのかもしれない。

練習や稽古と言うと、肉体の強さを得るのが第一義のイメージがあるし、実際そうだろう。精神力は敗北や挫折の経験から強くなると言われるが、はたしてそれだけでいいのか?

敗北や挫折からは「なにくそ!」という奮起の強さは得られるかもしれないが、重圧・緊張が降りかかる場面で、リラックスできる強さは別のものだと思う。

自分をコントロールする事のなんと厳しく困難な事か。


金メダルラッシュ!

言ってるそばから負けるなよな~、野球!

逆にようやく勝った女子バレーにホッケー。ホッケーのメンバーにはウチの社員がいて、密かに応援している。あ、そうそう、遅かったが男子サッカーも勝った。

卓球の愛ちゃんは4回戦負け。15歳での経験としては上出来だろう。柔道は絶好調のようで、男女共メダルラッシュ。こりゃ今日以降もその勢いは続きそうだ。男子体操団体の金メダルも大快挙である! ここまでの日本勢、予想以上の出来だと思う。

そんな中の北島康介。

平泳ぎ100m&200mのダブル金メダル。日本水泳史上初、これはすごいの一言である! 驚いたのは、彼のインタビューの言葉からは感情過多な発言も出なかったし、逆に変な謙遜も出なかった事だ。特に200mの後のインタビューでは、まるでF1の常勝シューマッハの如く、当然の結果とも言わんばかりに落ち着いた態度で、勝利分析さえしていた。

彼のバックには「チーム北島」というデータ解析専門集団があり、現地の映像もいち早く取り入れ、即時フィードバックしている。昔のような精神論に支えられた師弟関係で戦う事はなく、理想のフォームでマシンのように正確に泳ぎきる事を目的としているという。

それでも彼の精神の保ち方、レースでの集中力は日本人離れしていると思う。前にも書いたが、技術を結果に結びつけるためのメンタリティーの優れたお手本ではなかろうか。






プロの参戦

久々の本降りだった日曜日の雨と、あがった後の肌寒さが新鮮に思えたのもつかの間、本日またも猛暑再来である。37℃はいったかも。

オリンピックの野球が調子いい。最強レベルのキューバにも勝って、今の所負けなしである。メンバーすべてをプロで固めた成果だと思うが、間違って他国のアマ中心のチームに負けでもしたら、日本のプロ野球の問題にもなる。

だからというわけではないが、意外にも興味を持って生中継で見たのは初戦だけであった。なぜなら、勝って当たり前状態なのだからハラハラドキドキ感が極めて薄いのだ。まして夜更かしの危険を犯してまで生で見る必要性も感じなかった。

そして違和感も。プロの参戦が認められているとはいえ、プロ野球がある国は限られているし、アマとの格差は歴然なスポーツである。舞台のアテネは野球に対してさほど熱中しないヨーロッパだ。そのせいか、アメリカもメジャーリーガーチームを派遣していない。日本だってペナントレースのヤマ場だ。金メダルだけがプロチームの理由だとしたら、やっぱり違和感が。

バスケではNBAのドリームチームが負けた。野球でもそんな大番狂わせがあるかもしれない。でもそれは所詮イレギュラーであり、通常ではあり得ない事なのだ。それを期待して見るというのなら、それはそれでブラックジョーク的見方だろうけど。

今回の野球は、決して力の接近したもの同士の手に汗握る戦いではない。同じ野球なら夏の甲子園の方がよっぽど面白い。




日本人のメンタリティ

柔道ヤワラちゃんのオリンピック2連覇+4大会連続メダル獲得や野村選手のオリンピック3連覇には、感動と共にその精神力に脱帽した。ヤワラちゃんは直前の大ケガを、野村選手はどん底の絶不調を克服しての金字塔であった。

たとえ技術的に問題は無くても、勝負の世界では何が起こるかわからない。しかし、それ以上に怖いのは自分のメンタルマネージメントだろう。プレッシャーに飲み込まれれば、本来の実力発揮はおろか、自滅による予期せぬ敗北が待っている。

その好例が女子バレーとソフトボールだった。どちらも普段だったらありえないミスを連発し、攻撃も守備もガタガタだった。試合後、どちらの選手も「初戦で緊張した。カタくなった」と言っていた。

今まで私は、プレッシャーは団体競技よりも個人競技のほうが重く作用すると思っていた。プレッシャーに自分が押しつぶされれば、それですべて終わりだからだ。だから過去、女子競泳チームが千葉選手を中心にことさら「オリンピックを楽しみたい」と連呼していたのには、結果はともかくとして、その考え方には一定の理解はしていた。

だが、プレッシャーというものは知らないうちに人から人へ伝播するのだろう。そうなると個人も団体もない。雰囲気を構成している人数が多い分、団体競技のほうが厄介か。

ある舞台に立った時、
「すごい所に来てしまった」
「失敗は許されない」
「負けられない」
「うまくやらなければ」
などと、その舞台と相手と自分にある種の畏れを抱いてしまうかどうかで、得られる結果が決まってしまうのかもしれない。あるいは期待に応えなければという義務感悲壮感を必要以上に背負い込んでしまった事も一因となるだろう。

「みんな、いつものオレを見てくれよ」
「オレってこんなにすごいんだぜ」
「いいところ見せたら拍手喝采くれよな」
くらいでいいと思う。とはいえ、まじめで責任感が強く、謙虚に誠実であろうとする日本人のメンタリティでは、その境地にはまだ遠い。

ここいらでラテンの血を少し注入してみたらいいかも。



オリンピック夜ふかし第一弾

真夏日の連続記録更新中。

昨夜、ついにオリンピック夜ふかし決行。女子サッカーの大金星に触発され、男子サッカーに期待したためだ。試合開始は午前2時30分。久々に深夜番組などを見ながらその時を待った。思ったより長い夜になったが。

でも期待に反し、パラグアイに4-3で敗れてしまった。試合開始5分、ディフェンスのミスであっさり先取点を取られた時は、こりゃダメだとさっさと寝ようと思った。しかしすぐにPK奪取。これで眠れなくなった。日本の攻撃にもリズムが出てきたからだ。

敵もブラジルを破って出てきただけあって、追いつくもまた点を奪われる。2つ目のPKで盛り返すも、最大2点差が最後まで追いつく事はなかった。

先発メンバーとフォーメーションにミスチョイスはなかったのか?
 
後半、少し引いた小野は見違えるようなパスが出せるようになり、途中出場の田中の抜群の機動力とゴール前の平山の高さが光っただけに、最初からこのメンバーでこのフォーメーションだったら、勝てた試合だったとつい「たられば」をつぶやいてしまう。

いずれにせよ、残りの対戦相手を考えれば極めてキツい状況となった。でももっとキツいのは、言わずと知れた今日の私だ。

眠いったらありゃしない。


鉄道員(ぽっぽや)

浅田次郎作のこの小説は、私は読んでおらず、映画も見ていなかった。もともとベストセラー嫌いの私だが、それでもなんとなく気にはかかっていた作品だった。

先日見た雑誌広告によると、なんとこれが劇画化されていたのである。しかも結構前に発刊されていた。

画は「ながやす巧」。そう、一世を風靡した「愛と誠」や「Drクマひげ」などを描いた一流漫画家である。風景を描かせれば実写以上の美しさ、人物は映画俳優を凌ぐキャラ立ち。昨今の少年誌の漫画家とは一線も二線も画す実力派だが、作品数はそれほど多くはないようだ。きっと「今の流行」とは異なるタッチのせいかもしれないが、彼の画を断固私は認める。

鉄道員もその期待以上の作品だった。

なんと作品が発表されても彼と一面識すらなかった作者浅田次郎をして「神でも苦労するであろう美しい駅舎の描写がそこにあった」と言わしめたのである。

同じく劇画化された浅田次郎の「ラブ・レター」とカップリングで単行本が出ているので、一度読んでみるといい。

書店のコミックスコーナーでも、たまには光るモノはある。



Number of Access
Since 25. Dec. 2001
Day by Day ・・・
My Profile

Chaie<チャイ>

Author:Chaie<チャイ>
最初のWebsite開設は2001年のクリスマスのことでした。その後、紆余曲折を経てこのBlogへ引越して今に至ります。これからも日々の記録とさまざまなテーマについての意見や感想などを屁理屈コラム日記風に綴りたいと思ってます。

生まれも育ちも東京の下町です。東京タワーやチキンラーメンと同い年なので結構生きてますが、せめて精神年齢くらいは若いつもりでいたいなと。

自称「日本酒のソムリエ」のつもりでしたが、検査値との闘いの末に禁酒に踏み切り、それ以来かなり普通の生活を送ってます。

下手なアコースティックギターやウクレレを弾いて70年代フォークを弾き語ったりするのが大好きです。最近は40年来の憧れだったMartin D-28Mと80年代製のKamaka HF2などの弦楽器に囲まれて幸せです。

もうひとつの大好きはコンパクト欧州車! プジョー乗りのサークル「POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)」の関東地区元締めなるものをやってます。

実は、足掛け10年乗って来た愛車「プジョー206XS」のミッショントラブルにより箱換えを余儀なくされ、ここでも紆余曲折を経て2010年から「BMW120iCoupe」を新たな愛車としました。

某企業でプロフェッショナルな社内研修職人を目指して定期的に全国を飛び回ってましたが、2nd Stageは頼れる薬局のOYAJIを目指したいとDgSで張り切ってます。

2013年から膀胱がんサバイバーを継続してます。無病息災よりも一病息災くらいがちょうど良いのかもしれません。

愛と情熱を持ってはっきりモノが言える「熱きガンコジジイ」になりたい!

Search
Translation
PDF Exchanger