グータラK君、ついに華燭の典!
土曜日と言えば、一日中でも寝ていたいグータラK君本領発揮の日である。だがこの日は、朝から嫁さんに叩き起こされて入籍手続きに行き、嫁さんの家族を車に乗せて会場入りと大忙しの休日となってしまった。 …当然だけどね。
その会場がよりにもよってあの帝国ホテルだったのである! よっぽどリッチか格式などを重んじる人間でもなければそうそう選ばない超高級ホテル、なぜアンタらがここ?
それは嫁さんの一言だった。「だってここ、友達の結婚式でまだ誰も使ってないホテルだから」
…そりゃそーですよ。そもそもあなたのご友人達がどーしてこのホテルを選ば(べ)なかったのかをよーく考えてみようね。
それでなくても、これまで独身貴族を満喫して貯金の乏しかったK君、最低見積もり@5諭吉とも言われる超高級ホテルのご指名に少々アセったものの、帝国ホテルともなれば来客のご祝儀もはずむだろうと決めたらしい。
…現実はそう甘くないっての。高級すぎるホテルはむしろメーワクでしかない。こうなったらご祝儀をお米券で持って行ってやろうかとも思ったわ。
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このカップル、実は3年前にK君が初めて親を海外旅行へ連れて行ったツアーで出会っていた。元来、いいなと思った女性にも自分から積極的にアプローチをする事のないK君、その後は彼女の主導で友達以上恋人未満という付き合いを続けていた。
去年、K君は借り上げ社宅の自己負担増加をキッカケに自宅購入を決意せざるを得なくなった。だったらいっそ結婚しましょうよとなって一気に話が進んだらしい。これも彼女の押しの一手だった。
というワケで、彼らは実家の援助もあってスタート時点から恵まれていた。なんと新居が新築一戸建てなのだ! しかも嫁さんの意向で、自身の実家からほんの数分の距離だと。もとより家にはあまり関心のないK君を尻目に、嫁さん&姑さん連合軍は着々と設計を進めているという。ただし完成は9月頃らしいので、それまでの間は独身時代と同様にそれぞれ別居するらしい。
…だったら家ができてから結婚すれば良さそうなものなのにね。
こうして、すでに嫁さん&姑さんに内堀と外堀を埋められていたので、K君の周囲からは、まるでサザエさん家のマスオさんだと嘲笑れている。だがK君(唯一)の武器は、相手の要望を何でも受け容れられる「器?」なのだ!
着ている服は彼女の指示によって一新されている。髪型も床屋から彼女と同じ美容師の手にかかって今風に一新されている。少食の彼女のペースで食事は進み、彼女が食べ終わったらそこで食事は終了。身体の大きいK君がもっと食べたいと言っても、「ダメ! 太るから」
私あたりだったら即刻却下するであろうオーダーを受け容れている限り、この二人は末長くうまく行くに違いない。だからK君、君の使命はこれから一生「ガマン」し続けて行く事に尽きるぞ!
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今風のアレンジされたという披露宴は仲人は置かず、二人の出会いからの足跡が必殺仕事人のテーマソングと共にスライドショーされ、続いて暴れん坊将軍のテーマソングに乗って新郎新婦入場、今どき珍しい鏡割りでの乾杯と続いて行った。
独身グループとして遊び歩いたK君の悪友達によるちょっとスベった余興の後は、お決まりのチュータイム。そして何と新婦によるメッセージの披露となった。開口一番、「私はお見合いをたくさんして来ましたが…」 をい!
本日一番の大受けだったのは、実は新婦の親父さんの挨拶だった。医師免許をお持ちの公務員とはとても思えないフレンドリーさと天然ボケ。これには一同大笑い。K君、君の義父さんは実に愉快ないい人じゃないか! …地獄に仏とはこういう事だぞ。
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無事にお開きになった後、同僚らと共に有楽町駅近辺の居酒屋で二次会。それぞれに披露宴の余韻に浸っていた、と思う。ここでも焼酎ボトル2本が空いたのであんまり記憶がない。
そうそう、二人の新婚旅行はGWあたりにカリブ海に行くそうな。カリブ海と言えば、海賊にジョーズ、バミューダトライアングルである。いくらK君がジョニーデップを気取ったところで、子供が好きと言っていた嫁さんジョーズは狙った獲物は決して逃さないだろうから、せいぜい仲良く異次元トリップを楽しんで来るがいい、アーレ キュイジーヌ!