想像を裏切ってくれたホテル
いつも悩んでしまうのが、休日明けの月曜に予定されている地方会場への移動である。週明け朝からの研修となれば、必然的に前泊移動となる。そのために夕食を自宅で済ませて動くとかなり遅い時間にチェックインせざるを得ない。かと言って夕食を現地で取るにせよ、日曜定休の店もあろうし、その土地でお一人様でも居心地の良い店などもよく知らない。加えて日曜日なのに休んだ気がしないし、休日移動はストレスばかりで割に合わないのが実情である。
それを何とか打破しようとホテルを探したところ、夕食付き宿泊プランをやっているビジネスホテルがあった。通常ビジネスホテルは一泊朝食付きが基本だが、昨今の競争激化による客寄せのためか、こういう企画もたまにあるようだ。エディなどのプリペードカードを付けてるホテルもある。
そのホテルの夕食が、何とサーロインステーキ食べ放題かオマール海老+サーロインステーキのディナーコースだった。もはやこの歳でステーキ食い放題はいささか無理はあるが、オマールとステーキなら十分イケる。もちろん宿泊費も会社の規定内だったので、さっそくこれを予約した。ホテルは「大阪東急イン」だった。
早々と予約を終えていた先日、突如、ホテルの営業担当と名乗るK氏からケータイに連絡が入った。ちょうど車の運転中だったけど、つい出ちゃったんだからしょうがない。
K氏によれば、ディナーを提供する館内のレストランが、この日曜の夜は貸し切りとなっていて、席が空くのは夜8時半くらいになるとの事。夕食の時間帯に合わせて飛行機の時間を予約していた私は、唐突に肩透かしを食らった気がして、予約便の変更も含めて都合がついたら連絡すると、ちょっと気分を害しつつ回答した。
そして今日。予定より1時間ほど遅らせた便で大阪入り。チェックインタイムはほぼ8時となった。貸し切りのレストランからは賑やかな声が漏れている。フロントで連絡があった旨を伝えると、件のK氏が挨拶に現れた。席が空いたら部屋まで連絡をくれと伝えると、飲み物を部屋まで提供したいと言う。思わずビールと言ってしまったものの、考えてみればここはシティホテルなどではなく普通のビジネスホテルである。多少なりとも客に迷惑を掛けたからといって、そこまでサービスするいわれもなかろうよ。
部屋も普段のビジネスホテルクラスの2倍近い広さのツインルーム、応接ソファにくつろいで観るTVもいい。やがてK氏自らがビール瓶とグラスを持って来てくれた。そのビールが空になる頃、テーブルの用意ができたとの連絡があり、私はレストランに降りて行った。その入り口で迎えてくれたK氏、初めの飲み物もサービスすると言うではないか! ビールももらった事だしいいよと言うと、2杯目からはちゃんと付けさせていただきますと言うから、ならばと言葉に甘えてハウスワインの赤をお願いした。
料理はローストビーフ風のオードブルから始まって、コーンポタージュスープにオリーブオイル添のパンが供され、いよいよオマール海老のアメリカンソースが登場! ・・・実は私、これまでオマール海老をマトモに食べた事がなかった。なので、せいぜいスカンピに毛が生えた程度のイメージしか想像してなかったが、これが大間違い。イセエビもかくやと思うほどの味とボリューム、いやむしろイセエビよりも味わい深いではないか! これで半身だから、もし丸々一匹だったらこれだけでメインを張れるだろう。
続いて本日の本当のメインであるサーロインステーキ(180gくらい?)がコンビネーションサラダと共に登場。オーダーの際に焼き方を訊かれてレアと言ったのだが、出て来たのはミディアムだったので、これはマイナス1点。でも肉の味わいは十分。マデラソースとハウスワインとの相性もピッタリだった。
そしてデザート&コーヒーでお一人様ディナー(実際、私一人だけの貸し切り状態だった)はフィニッシュ。このコース単独では3400円という価格だから、ヘタに外に食べに行くと思えば、そのお得感は格別である。デザートの時間に再び現れたK氏のトータルの印象も悪くない。今後、日曜移動の大阪のホテルはここで決まりと言っていい。
さっき乗ったタクシー運転手の話では、このあたりは昔の赤線・青線地帯だったと言うから、決して普通の出張ビジネスマンの好むエリアではないのもこの宿泊プランの提供理由かも。K氏によればディナーもさる事ながら、朝食ブッフェにも力を入れているので、ぜひ明日の朝に味わって欲しいとも。これまた楽しみだわ。
ビジネスホテルと言えど、こんなホスピタリティとコミュニケーションがあったら、コアなファンが増えて行くに違いない。少なくとも私は、これ以前の日からこの日を境にこのホテルの印象が大きく変化し、心地良い裏切りによるシンパシーを一気に持ってしまった。それだけは間違いない。
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